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機能性食品学

機能性食品学

機能性食品制度の概要にはじまり,栄養の基礎,機能性食品成分と疾病の関わり,機能性食品の課題と今後の動向を安全性と絡めて平易に解説。機能性食品を学ぶ学生,食品開発者はもちろん,一般消費者にも手に取ってほしい一冊。

発行年月日
2017/03/03
定価
2,860(本体2,600円+税)
ISBN
978-4-339-06753-8
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

早稲田大学人間科学学術院健康福祉科学科細胞制御学研究室 山越正汰(学部4年)、原太一(教授)

掲載日:2018/06/05

この「機能性食品学」では、機能性食品制度から始まり、栄養素に関することや具体的な疾病との関連性、今後の課題などについて触れられていた。近年巷では、盛んに機能性表示食品が持ち上げられており、今後は消費者であるわれわれが自ら、食品の安全性・機能性を吟味する力が問われることになる。本書では、機能性食品の科学的エビデンスを理解するための広範囲な知識が、分かりやすく説明されており、初学者の私にとって機能性食品学の入門書としてお勧めの一冊となった。具体的には、食品の機能性に関するメカニズムに加え、疾病の発症機序、生体調節機構など、食品科学から病態生理学までの幅広い知識を教授する内容となっており、食品がどのように生体に機能するのかを考える上で必要な、食品学と生体機能学の両方を一度に勉強したい方には是非ともお勧めです。

化学と工業 Vol70 6月号

掲載日:2017/06/29

日本食生活学会誌 Vol.28 No.1 2017

掲載日:2017/06/29

工学院大学先進工学部応用化学科 山田昌治 教授

掲載日:2017/03/08

 世には食の情報があふれ、手を出せば望みどおりの食品が手に入る時代である。しかしながら、テレビ・インターネットなどで流れている情報は、革新的な機能性食品から怪しげな話まで玉石混淆の状態である。筆者は食品化学を教えている立場であるが、食品という分野は、食品の化学的性質、食品の私たちの身体への摂取から代謝、健康と病気、近年では免疫との関わりなど多岐にわたっており、教えるのにポイントが絞りにくく消化不良の教育に堕する危惧をいつも感じている。
 このたび今井伸二郎先生が著した「機能性食品学」は、上述の課題を克服することができる数少ない著作である。単に食品の機能を論ずるだけではなく、栄養学の基本を押さえ、免疫系および腫瘍を始めとした様々な疾病について言及され、その中で機能性食品について論じている。さらに機能性食品のもつ課題についても踏み込んだ記述がされている。
 ところで平成27年より、新しい機能性表示食品制度が発足した。このことは周知の事実であるが、従来の特定保健用食品制度とどこが異なるのか、消費者にとっての利点は何かについて人口に膾炙しているとは言えない状況である。本書ではこの点についても詳しく解説されている。
 また、随所に盛り込まれているコラムは読んでいて楽しく、著者の造詣の深さを感じた。以上のことから、多くの学生だけではなく、一般の方々にも読んでいただけるよう本書を推薦する次第である。