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構文解析

自然言語処理シリーズ 9

構文解析

構文解析技術は,機械学習,動的計画法,探索法,文法理論などといった自然言語処理の様々な場面で必要となる多くの技術の上に成り立っている。本書では構文解析の基礎技術についてわかりやすく解説した。

発行年月日
2017/08/10
定価
2,640(本体2,400円+税)
ISBN
978-4-339-02759-4
品切・重版未定

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amazonレビュー 978-4-339-02759-4 構文解析

掲載日:2019/10/01

読者モニターレビュー(‎@hiro5585様)

掲載日:2017/08/03

 構文解析とは,文の背後にある「構造」を抽出する処理のことを指します。
 例えば,どの単語とどの単語が一つのまとまりなのかであったり,どの単語がどの単語に係っているかなどを見つけることです。
 一方で,抽出した「構造」に「意味」を与えるのが文脈解析です。
今の例だと,ある単語が別の単語に係っている時に,どういう意味のある関係かを推定するのが文脈解析です。
 詳細はこちらに書いたので,詳しく知りたい方はこちらも読んでみて下さい(Qiitaサイト)。

 以下は,要点になります。
 自然言語処理シリーズの「文脈解析」本では,意味の概念やタスク設定などに重きを置いていましたが,この本では現実に解くことに主眼を置いており,手法の話が詳細に述べてあります。
 特に,系列に対する構造を推定する手法が説明されてあり,言語処理などの系列を扱うタスクに対する,機械学習の適用の仕方が学べます。
 内容はまず,シンプルなタスクに対して,機械学習をどう適用できるか説明して,その後に,その手法の課題点を挙げて,どのような改善がされているか説明しています。そのため,ストーリーを追いながら,手法が発展してきた経緯が分かるようになっています。
 「言語処理のための機械学習入門」で説明が少なかった,構造に対する手法の解説が詳しく書いてあり,非常に有益な情報が含まれていると思います。

 主立った章を簡単に俯瞰すると以下のような感じです。
 ①品詞解析と機械学習
 文の各単語に,どのように品詞を割り当てるか説明されてあり,品詞解析を題材にして,機械学習の基礎が学べるようになっています。
 ②句構造解析
 文を入力とし,句同士の包含関係を階層的にまとめあげる処理について説明されています。文をまとめあげるための文法について説明されてあり,実例からその挙動を理解できるようになっています。
 ③依存構造解析
 句同士の関係がどのようになっているかを解析するための手法が書かれており,句構造より更に上位の概念を取り扱う方法について述べてあります。

 この本では,機械学習を現実のタスクにどのように適用するかが書かれてあり,系列に対する特徴量の扱いや,構造の抽出方法など,他書にない内容が含まれています。
 より現実的に問題を解く方法について学びたい方や,人工知能に関するより深い技術を理解したい方に適した書だと思います。