原子炉水化学ハンドブック
原子力発電の安全性・信頼性に大きく関わる原子炉冷却系の水化学管理につき,学会水化学研究委員会の20年の活動の成果をまとめたもの。基礎編として水化学の基礎,原子炉における水の役割等,応用編として各種プラントの水化学管理。
- 発行年月日
- 2000/12/27
- 判型
- B5
- ページ数
- 328ページ
- ISBN
- 978-4-339-06597-8
- 内容紹介
- 目次
原子力発電の安全性・信頼性に大きく関わる原子炉冷却系の水化学管理につき,学会水化学研究委員会の20年の活動の成果をまとめたもの。基礎編として水化学の基礎,原子炉における水の役割等,応用編として各種プラントの水化学管理。
Ⅰ. 基 礎 編
1章 水化学の基礎
1.1 高温水の基礎物性…1
1.1.1 水の分子構造…1
1.1.2 誘電率(ε)…2
1.1.3 解離定数(イオン積Kw)…2
1.1.4 表面張力…3
1.1.5 気体の溶解度…3
1.1.6 固体の溶解度…4
1.2 超臨界水の物性と諸特性…4
1.2.1 熱容量…5
1.2.2 密度,温度,圧力ダイアグラム…5
1.2.3 誘電率…6
1.2.4 解離度(Kw)…6
1.2.5 超臨界水の溶解特性…6
1.2.6 水素結合…7
1.2.7 超臨界水の応用…7
1.3 高温水系の熱力学…9
1.3.1 水溶液の熱力学…9
1.3.2 高温における水溶液の熱力学…11
1.4 酸化物の物性…18
1.4.1 遷移金属酸化物の諸物性…18
1.4.2 等電点…25
1.4.3 酸化物への吸着…26
1.5 電気化学の基礎…28
1.5.1 電気化学の体系…28
1.5.2 平衡電極電位…29
1.5.3 電極反応速度…33
1.5.4 分極曲線と活性態,不働態…35
1.5.5 腐食電流と腐食電位…36
1.5.6 電気化学測定法…36
1.6 冷却水浄化技術…38
1.6.1 イオン交換樹脂概説…38
1.6.2 イオン交換の基礎…41
1.6.3 粒子除去機構…43
1.7 水質関連測定技術…46
1.7.1 冷却水中の微量元素分析…46
1.7.2 ガス中の微量元素分析…50
1.7.3 固体中の微量元素分析と形態分析…52
1.7.4 高温水の直接測定…52
1.8 放射化学の基礎…57
1.8.1 核の壊変…57
1.8.2 天然放射性核種…58
1.8.3 核反応と放射性核種の生成…59
1.8.4 ホットアトム化学…62
1.8.5 放射性核種の利用…65
1.9 水の放射線化学…66
1.9.1 水の放射線化学…66
1.9.2 高温水の放射線分解…69
1.10 放射能測定技術…73
1.10.1 測定原理と測定器…73
1.10.2 各種測定器の特徴…74
1.10.3 原子力発電所での放射能測定…78
引用・参考文献…79
2章 原子炉における水の役割
2.1 減速材としての水…84
2.1.1 減速材の役割…84
2.1.2 減速材の必須条件…84
2.1.3 減速材としての水の役割…84
2.2 冷却材としての水…84
2.2.1 冷却材の役割…84
2.2.2 冷却材の必須条件…85
2.2.3 冷却材としての水の役割…87
2.3 遮へい材としての水…87
2.3.1 遮へい材の役割…87
2.3.2 遮へい材の必須条件…87
2.3.3 遮へい材としての水の役割…87
引用・参考文献…87
3章 原子炉材料の基礎
3.1 原子炉構造材とその腐食…88
3.1.1 金属の腐食反応とその抑制法…88
3.1.2 不働態化金属・合金に見られる腐食損傷…90
3.1.3 腐食モニタリングおよび腐食実験法…94
3.2 燃料被覆材とその腐食…97
3.2.1 燃料被覆材の種類と性質…97
3.2.2 ジルコニウム合金の腐食反応の基礎…100
3.2.3 ジルコニウム合金の腐食機構…101
3.2.4 ジルコニウム合金の腐食への水質の影響…104
3.2.5 腐食試験法…107
引用・参考文献…108
Ⅱ. 応 用 編
4章 原子力発電プラントの概要
4.1 わが国軽水炉の歴史的変遷…111
4.1.1 軽水炉技術開発の歩み…111
4.1.2 PWR発電所の変遷…111
4.1.3 BWR発電所の変遷…112
4.2 原子炉冷却系システム…115
4.2.1 PWRの冷却系システム…115
4.2.2 BWRの冷却系システム…116
4.3 原子炉冷却水の概要…117
4.3.1 PWRにおける冷却水の概要…117
4.3.2 BWRにおける冷却水の概要…118
引用・参考文献…119
5章 PWR1次冷却系の水化学管理
5.1 水化学管理の目的…120
5.1.1 ホウ素濃度の管理…120
5.1.2 1次系構成材料の健全性確保…121
5.1.3 燃料健全性確認のためのモニタリング…121
5.1.4 被ばく低減のための水化学管理…121
5.2 1次系の系統構成…122
5.2.1 1次冷却設備…122
5.2.2 化学体積制御設備…122
5.2.3 余熱除去設備…123
5.3 水化学管理基準…123
5.3.1 設定根拠…123
5.3.2 海外の水化学管理基準…125
5.4 構造材健全性の確保…126
5.4.1 SUS材のSCC…126
5.4.2 高ニッケル合金のPWSCC…127
5.5 燃料健全性の確保…130
5.5.1 PWRの燃料集合体…130
5.5.2 被覆管の環境と腐食…130
5.5.3 PWR燃料の健全性…132
5.5.4 被覆管健全性の監視…134
5.5.5 燃料シッピング検査…136
5.6 放射性腐食生成物の挙動…137
5.6.1 被ばく線源の状況…137
5.6.2 発生,放射化および移行挙動の概要…138
5.6.3 挙動解析モデル…140
5.6.4 線量当量率低減対策…141
5.7 運転操作と水化学管理手法…146
5.7.1 水化学管理の変遷…146
5.7.2 試運転時…147
5.7.3 起動操作時…148
5.7.4 出力運転時…149
5.7.5 停止操作時…149
5.7.6 水質調整設備…150
5.7.7 放射性廃液処理設備…151
5.8 サンプリング(試料採取)と分析方法…152
5.8.1 測定の目的と意義…152
5.8.2 サンプリング設備(試料採取設備)…152
5.8.3 分析方法…153
5.8.4 モニタリング…153
5.9 データ管理システム…155
引用・参考文献…156
6章 PWR2次冷却系の水化学管理
6.1 2次系水化学管理の目的…158
6.2 2次系の系統構成…159
6.2.1 復水脱塩装置…160
6.2.2 SGブローダウン回収設備…160
6.2.3 クリーンアップ設備…160
6.3 水化学管理仕様…160
6.3.1 モル比管理…161
6.3.2 ナトリウムおよび塩素イオン…161
6.3.3 硫酸イオン…161
6.3.4 pHコントロール…161
6.3.5 カチオン導電率…162
6.3.6 溶存酸素…162
6.3.7 ヒドラジン…162
6.3.8 全鉄…162
6.3.9 全銅および全ニッケル…162
6.3.10 シリカ…163
6.3.11 海外の水化学管理値…163
6.4 構造材健全性の確保…164
6.4.1 構造材料の腐食環境…164
6.4.2 腐食生成物(鉄酸化物)の挙動と析出…170
6.4.3 SG伝熱管腐食の防止…171
6.4.4 SG管内付着スケール除去対策…174
6.4.5 2次系機器の腐食防止…175
6.5 運転操作と水化学管理法…176
6.5.1 水化学管理の変遷…176
6.5.2 建設試運転時…178
6.5.3 起動操作時…179
6.5.4 通常運転時…181
6.5.5 停止時…183
6.6 水質調整設備…184
6.6.1 浄化設備…184
6.6.2 薬注設備…187
6.7 モニタリングと不純物分析…188
6.7.1 水質モニタリング…188
6.7.2 分析方法…190
引用・参考文献…191
7章 BWR1次冷却系の水化学管理
7.1 水化学管理の目的…193
7.1.1 1次系構成材料の健全性の確保…193
7.1.2 放射線被ばく線量の抑制…194
7.1.3 放射性廃棄物発生量の抑制…194
7.2 系統構成と材料…194
7.2.1 原子炉1次系構成…194
7.2.2 材料選択…194
7.3 水化学管理レベル…196
7.3.1 国内BWRプラントの水化学管理レベル…196
7.3.2 海外BWRプラントの水質管理レベル…198
7.4 構造材健全性の確保…202
7.4.1 炉内の腐食環境評価…202
7.4.2 水素注入の実績…207
7.4.3 材料健全性…210
7.5 燃料健全性の確保…212
7.5.1 BWR燃料集合体…212
7.5.2 BWR燃料の健全性…213
7.5.3 燃料健全性モニタリング…215
7.5.4 燃料シッピング検査…217
7.6 放射性腐食生成物の挙動…217
7.6.1 生成および移行挙動の概要…217
7.6.2 主要な腐食生成物の発生源…223
7.6.3 挙動解析モデル…226
7.6.4 線量率低減対策…229
7.7 サンプリングと不純物分析…235
7.7.1 測定の目的と意義…235
7.7.2 サンプリング法…236
7.7.3 濃縮法…238
7.7.4 分析法…239
7.7.5 分析にあたっての留意事項…241
7.8 運転操作法と水化学管理手法…242
7.8.1 プラント運転操作と水化学管理…242
7.8.2 プラント起動時の水化学管理…242
7.8.3 プラント停止操作時の水化学管理…243
7.8.4 プラント停止期間中の水化学管理…245
7.9 水化学制御技術…245
7.9.1 浄化法…245
7.9.2 水化学制御法と適用実績…249
7.10 放射性廃棄物発生量への影響緩和…253
7.10.1 冷却水水化学制御と放射性廃棄物の関連…253
7.10.2 放射性廃棄物処理システムの概要…253
7.10.3 水化学制御法改善による廃棄物発生量の変化…254
7.10.4 1次冷却水の最適水化学制御と放射性廃棄物発生量低減の両立…255
引用・参考文献…256
8章 その他の炉形での水化学管理
8.1 ATRの水化学管理…259
8.1.1 概要…259
8.1.2 原子炉冷却水の水化学管理…262
8.1.3 重水系の水化学管理…263
8.1.4 重水精製装置の水化学管理…264
8.2 その他の水冷却炉の水化学管理…266
8.2.1 CANDU炉…266
8.2.2 VVER炉…268
8.3 高速炉の水化学管理の概要…269
引用・参考文献…270
9章 除染
9.1 除染の目的と方法…272
9.1.1 除染の目的…272
9.1.2 除染法の分類と特徴…274
9.1.3 化学除染の開発・適用の経緯…278
9.1.4 除染における材料の健全性評価…284
9.1.5 除染の実機への適用方法…287
9.1.6 除染廃棄物・廃液の処理方法…291
9.1.7 除染性の評価方法…294
9.2 除染の適用実績…295
9.2.1 わが国における適用実績と実施例…295
9.2.2 欧米における適用実績…301
引用・参考文献…303
索 引…305