工学を学ぶ人のための 文章の読み方・書き方 - レポート・論文・発表・ビジネス文書・生成AIの活用まで -
エンジニアの作法と論理的構成力を身につけ,誤解されない文章を書こう!
本書では、誤解されない文章を書く力、論理的に構成する力、エンジニアの「作法」を使いこなす力の「三つの力」を身につけることを目標として「紙の教科書」と「Web連動コンテンツ」を組み合わせて学んでいきます。教科書でルールとポイントを理解し、Webではテンプレートや「良い例・悪い例」を確認し、テンプレートを使って自分の課題を書いてみるという学習サイクルを推奨します。技術者に必要な「言葉の技術」を基礎から順に確認していきましょう。
- 発行予定日
- 2026/12/下旬
- 判型
- B5 2色刷り
- 予定ページ数
- 150ページ
- ISBN
- 978-4-339-01462-4
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
本書では,誤解なく,正確に相手へ届けるための「技術者のための文章術」を習得できます。基本のルールと型(パターン)を押さえて練習すれば,文章は着実に改善できることを実感できます。また、Webコンテンツも充実。
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
なぜ、エンジニアに「文章力」が必要なのか?
「理系に進んだから、もう国語の勉強は終わりだ」「計算やプログラミングさえできれば、エンジニアとしてやっていける」と考える人は少なくありません。
しかし、授業のレポートや実務の文書では、言い回しのあいまいさ一つで評価や作業結果が変わることがあります。理系の文章力は、相手に正確に伝えるための「技術」です。
エンジニアの仕事は、ものづくりや実験だけではありません。作ったものの仕様を説明する「仕様書」、実験の結果を報告する「レポート」、新しい技術を提案する「企画書」、日々の業務連絡である「メール」や「チャット」などもあります。これらはすべて、言葉を使って行われるため、文章があいまいだと、つぎのような問題が起こりやすくなります。
・せっかく良い実験結果が出たのに、レポートの要点が伝わらず、正しく評価されない。
・仕様書の書き方が曖昧で、誤解されたままプログラムや装置が作られ、やり直しになる。
・手順書の読み違いにより、実験機材の破損や安全上のトラブルにつながる。
一方で、論理的で正確な日本語が書けるようになると、成果が伝わりやすくなり、無駄な確認ややり直しが減ります。結果として、チームでの意思疎通もスムーズになります。
本書が目指す「技術者のための文章力」
本書で目指すのは、誤解なく、正確に相手へ届けるための「技術者のための文章術(テクニカル・ライティング)」です。特別な文才は前提にしません。回路図やプログラムコードを書くのと同じように、基本のルールと型(パターン)を押さえて練習すれば、文章は着実に改善できます。
また、生成AIが身近になった現在でも、文章力は不要になりません。むしろ、AIが出した文章をそのまま信じず、目的・読み手・根拠に照らして直せる力が必要になります。本書では、AIを「代筆者」ではなく、考えを整理する補助ツールとして使う姿勢も扱います。
電気電子・情報系を軸に、理工系全体へ
本書は、電気電子・情報系の「エクステンションテキスト」の一冊として企画されています。そのため、回路、センサー、プログラム、生成AIなどの例が多く登場します。これらは、文字どおりに動く装置やプログラムを通して、「あいまいな文章がなぜ危険なのか」を学ぶのに適した題材です。
一方で、本書で扱う文章力は、電気電子・情報系だけのものではありません。ボルトの締結条件、薬液の混合手順、材料試験のグラフ、環境測定の記録、研究ノートの残し方など、機械・化学・材料・環境・土木などの分野でも、同じように「誤解されない文章」「根拠に基づく説明」「再現できる記録」が求められます。
そこで本書では、電気電子・情報系の例を軸にしながら、機械・化学・材料・環境系の事例も取り上げます。自分の専門に近い例は実際の課題に引き寄せて読み、少し離れた分野の例は「別の現場では、同じ文章のバグがどう現れるのか」を知る材料として読んでください。分野が変わっても、読み手に正確に伝えるための考え方は共通しています。
本書の到達目標
本書の目標は、以下の「三つの力」を身につけることです。
・誤解されない文章が書ける 誰が読んでもほぼ一つの意味に読める、解釈のぶれが小さい文章を書けるようになります。
・論理的に構成できる 事実(根拠)から結論へと、読み手を迷わせずに導く構成を組めるようになります。
・エンジニアの「作法」を使いこなせる 図表、数式、引用、発表資料、メールなどを、共通ルールに従って扱えるようになります。
本書の使い方:必要な章から読めばよい
この本は、最初から最後まで通して読む必要はありません。いまの自分に必要なことに合わせて、辞書のように必要な章を選んで使ってください。まずは表0.1で自分の状況に近いものを選び、おすすめの章へ進みましょう。
紙面とWeb連動コンテンツの使い分け
本書は「紙の教科書」と「Web連動コンテンツ」を組み合わせて学ぶことを前提にしています。紙面では、必ず身につけたい基本の考え方と型を説明します。Web連動コンテンツでは、テンプレート、チェックリスト、追加演習、詳細解答などを補足します。公開済みの資料から利用し、追加資料は書籍Webページで順次確認してください。
・テンプレート(ひな形):レポート、スライド、日報などの型となるファイルです。最初は真似て使い、慣れてきたら自分の目的に合わせて調整します。
・演習問題と詳細解答:紙面に載せきれなかった追加問題や、間違いやすいポイントの詳しい解説を、順次提供します。
・図表データ:教科書に掲載した図表のデータです。資料作成の参考や、引用・図表番号の練習に利用できます。
・チェックリスト:提出前の確認に使える一覧表です。レポート、答案、発表資料、AI利用時の確認に役立ちます。
付録の使い方:提出前に確認する道具箱
本書の巻末には、各章で学んだ内容を実際の提出物に使うための付録を用意しています。本文で考え方を学び、章末問題で確認したあと、レポートやメール、発表資料を仕上げる段階で付録を開いてください。
付録には、提出前10分チェック、代表テンプレート、記入例付きワークシート、ミニ技術報告書の作成例、表記ミニガイドなどを収録しています。例えば、レポートを書き始めるときは構成メモを使い、提出前にはチェックリストで見落としを確認します。実験レポートでは、結果と考察を分けるシートが役に立ちます。生成AIを使った場合は、AI出力検証シートや利用申告の例を確認してください。
おすすめの学習サイクル
本書を活用したおすすめの学習サイクルを表0.2に示します。
まずは型を真似るところから始めましょう。ただし、テンプレートは「写して終わり」ではなく、自分が伝えたい内容を、読み手に正確に届けるための足場として使ってください。
それでは、技術者に必要な「言葉の技術」を基礎から順に確認していきましょう。
なお、本書の一部図版の作成補助に生成AIを使用し、著者が内容確認・修正・編集を行っています。
2026年12月
舘泉 雄治・舩戸美智子
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.日本語力の基礎―エンジニアに必要な「論理的な言葉」の技術―
1.1 「工学的に正確な日本語」とはなにか
1.2 日本語文法の基本:文のバグを取り除く
1.3 語彙の選び方:「話し言葉」から「技術語」へ
1.4 正確でわかりやすい文章を書くコツ
1.5 例題で確認
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
2.教科書・試験問題の読み方,試験解答の書き方―「わかっているのに点数が取れない」からの脱出―
2.1 学習のサイクル:入力・処理・出力
2.2 教科書の効率的な読み方:「推測」で穴埋めしない
2.3 試験問題を正確に読み解く方法:最初の30秒ルーティン
2.4 試験解答を論理的に書く技術:プロセスを見せる
2.5 論説文の読み方と要約の基礎
2.6 例題で確認
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
3.ボリュームのある文章の書き方―「書き出し」で迷わないための設計図の作り方―
3.1 書く前の準備:要件定義
3.2 準備と構成法:骨組みを作る
3.3 章立て・段落の作り方:ブロックを積む
3.4 推敲と仕上げ:文章のバグを見つける
3.5 例題で確認:設計してから書く練習
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
4.実験テキスト・仕様書の読み方と実験レポート―「再現性」のある記録だけが,技術資産になる―
4.1 技術文書の核心:「再現性」と「客観性」
4.2 実験テキストと仕様書(マニュアル)の読み解き
4.3 実験の実施と記録:現場での立ち回り
4.4 実験レポートの書き方:IMRaD構成の徹底
4.5 図表・グラフ作成とデータ処理:エンジニアの作法
4.6 例題で確認
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
5.日報・週報・研究ノートの書き方―「記録(ログ)」は,未来の自分とチームを助ける―
5.1 実務報告の鉄則:「日記」にならないようにする
5.2 日報・週報の書き方:信頼を積み上げる
5.3 研究ノートとログの残し方:あとから説明できる形にする
5.4 例題で確認
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
6.技術論文の読み方・書き方―先行研究を踏まえ,新規性を示す―
6.1 研究活動のサイクル:先行研究を踏まえる
6.2 技術論文の読み取り方:効率よく読む
6.3 技術論文の執筆方法:IMRaDの論理構成
6.4 引用と研究倫理:よくある不備を防ぐ
6.5 新規性と有用性の言語化
6.6 例題で確認
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
7.プレゼンテーションの要旨とスライド作成法―「読ませる」のではなく,「一瞬でわからせる」技術―
7.1 プレゼンテーションの二大成果物:「要旨」と「スライド」
7.2 要旨(予稿)の書き方:情報を圧縮する技術
7.3 スライド構成・デザイン:視覚情報の制御
7.4 図解とグラフの提示:一瞬で伝える
7.5 質疑応答のルール:ごまかしは必ず伝わる
7.6 例題で確認
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
8.ビジネス文書(メール・送付状・履歴書・ES)の書き方―基本の型で,相手に伝わりやすくする―
8.1 ビジネス文書は「型」が命
8.2 メールの書き方:「件名」で用件の伝わり方が変わる
8.3 履歴書・ESの書き方:STAR法で自己PR
8.4 書類送付のルール:郵送とメール
8.5 例題で確認
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
9.生成AIの実践的活用法―文章作成を支える補助ツールとして―
9.1 生成AIの得意・不得意を知る
9.2 まず押さえる:生成AI利用の基本ルール
9.3 プロンプト設計:指示の出し方
9.4 ハルシネーション対策:検証プロトコル
9.4 文章作成にAIを使うときの安全な型
9.5 例題で確認
理解度チェック
提出前10分チェック
章末問題
本章のまとめ
付録:実践で使うチェックリスト・テンプレート
付.A 提出前チェックリスト
付.B 代表テンプレート集
付.C 代表ワークシート
付.D 総合問題
付.E ミニ技術報告書の作成例
付.F 理工系文章の表記ミニガイド
付.G 分野別ケースマップ
付.H 重要語ミニガイド
索引








