光波工学

光エレクトロニクス教科書シリーズ 2

光波工学

光通信や光ディスクをはじめとするレーザ光応用技術の理論的な基礎を学ぶための教科書。初歩的な電磁理論を出発点として,コヒーレントな光波の基本的法則・現象や特性および光波応用デバイスの基本概念・原理を平易に解説した。

ジャンル
発行年月日
1998/06/25
判型
A5
ページ数
254ページ
ISBN
978-4-339-01141-8
光波工学
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定価

3,520(本体3,200円+税)

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  • 内容紹介
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光通信や光ディスクをはじめとするレーザ光応用技術の理論的な基礎を学ぶための教科書。初歩的な電磁理論を出発点として,コヒーレントな光波の基本的法則・現象や特性および光波応用デバイスの基本概念・原理を平易に解説した。

光通信や光ディスクに代表される光情報処理や光応用計測・光エネルギー利用などの技術分野では,各種のレーザで発生されるコヒーレントな光の空間的および時間的な波動としての特性がたくみに利用されている。このような光波の応用技術は光エレクトロニクスの最も重要な柱の一つであり,近年ますます発展するとともに身近な技術となり重要性が高まっている。

本書は,この光波工学の理論的な基礎を電気系または応用物理学系の大学学部高学年または高専での通年または半年の講義で効率よく学ぶことを目的とした教科書である。専門的な学習や研究に進むための基礎固めにも利用できるよう考慮した。初歩的な電磁理論の知識とマクスウェルの方程式を出発点として,光波の一般的・基本的な法則や現象および特性を飛躍することなく平易に解説する。また工学的応用の諸技法について述べ,光波応用デバイスやシステムの基本的概念を明らかにする。

執筆にあたっては,内容を厳選し,正確かつていねいに解説した。物理的意味を含めた正確な理解を容易にするため工夫した図やグラフを多用したことも本書の特長である。各章の内容の脈絡が明確になるよう注意し,数式は正確さを損なわない範囲で簡潔なものとし,その導出過程を含めて詳しく説明することにより,体系的な理解ができるよう配慮した。

本書が読者の勉学に少しでも役立つことができれば著者の至上の喜びである。おわりに日ごろからご指導ご鞭撻いただくとともに,本書執筆の機会を与えてくださった西原浩先生,神谷武志先生に厚くお礼申し上げる。また,本書の出版に関してご尽力いただいたコロナ社の各位にお礼申し上げる。

1998年5月
栖原敏明

1. 光波工学の概要
 1.1 光の本質と光波
 1.2 コヒーレント光の特徴
 1.3 コヒーレント光の発生
 1.4 光波工学の応用分野
 1.5 本書の構成
 演習問題
2. 光波の基本的性質
 2.1 光波の基本方程式
  2.1.1 マクスウェルの方程式
  2.1.2 媒質の方程式
  2.1.3 境界条件
  2.1.4 波動方程式
  2.1.5 エネルギー密度とパワー密度
 2.2 単一周波数の光波の取扱い 
  2.2.1 単一周波数の光波の複素表示
  2.2.2 マクスウェルの方程式と波動方程式
  2.2.3 複素ポインティングベクトル
 2.3 光波の自由伝搬
  2.3.1 波面
  2.3.2 電界・磁界ベクトルと波動インピーダンス
  2.3.3 偏光
  2.3.4 減衰
  2.3.5 位相速度と群速度
  2.3.6 ガウシアンビーム
 2.4 光波の屈折と反射
  2.4.1 入射面と偏光
  2.4.2 電磁界成分
  2.4.3 屈折の法則
  2.4.4 フレネルの公式
  2.4.5 反射率と透過率
  2.4.6 ブルースター角
  2.4.7 全反射とエバネッセント波
 2.5 幾何光学近似
  2.5.1 アイコナル方程式
  2.5.2 光線と光線方程式
  2.5.3 フェルマーの原理
 演習問題
3. 光波の干渉と回折
 3.1 光波の干渉
  3.1.1 光波干渉の基本式
  3.1.2 2光波干渉の具体例
  3.1.3 多重干渉
  3.1.4 異なる周波数の光波の干渉
 3.2 光波のコヒーレンス
  3.2.1 光波の周波数スペクトルと時間波形
  3.2.2 時間的コヒーレンス
  3.2.3 空間的コヒーレンス
 3.3 光波の回折
  3.3.1 ホイヘンスーフレネルの原理
  3.3.2 回折積分
  3.3.3 平面波展開
  3.3.4 フレネル回折
  3.3.5 フラウンホーファ回折
  3.3.6 レンズによる集光・結像とフーリエ変換
  3.3.7 グレーティングによる回折
 演習問題
4. 光波の伝送
 4.1 光導波路の基本原理と構造
 4.2 導波路内の光波の一般的性質
  4.2.1 マクスウェルの方程式と波動方程式
  4.2.2 導波路の光波モード
  4.2.3 モード間直交性とパワーフロー
  4.2.4 モード展開表示
 4.3 プレーナ導波路
  4.3.1 波動方程式
  4.3.2 ステップ屈折率導波路
  4.3.3 グレーデッド屈折率導波路
 4.4 チャネル導波路
 4.5 光ファイバ
  4.5.1 ステップ屈折率ファイバの解析モデル
  4.5.2 波動方程式と解
  4.5.3 導波モードの特性方程式
  4.5.4 直線偏光モード
  4.5.5 放物関数型屈折率分布光ファイバ
  4.5.6 伝送帯域
 4.6 導波路端面結合
 4.7 導波モードの遠視野像
  4.7.1 回折積分
  4.7.2 遠視野像の例
 演習問題
5. 光波の結合
 5.1 モード結合理論の概要
 5.2 基本的なモード結合方程式とその解
  5.2.1 モード結合方程式
  5.2.2 パワーフロー保存則
  5.2.3 モード結合方程式の解
  5.2.4 結合構造の正規モード
 5.3 モード結合の一般論
  5.3.1 モード展開表示
  5.3.2 モード結合方程式と結合係数
  5.3.3 モード結合方程式の簡単化
 5.4 周期的媒質内での光波結合
  5.4.1 周期的媒質の記述
  5.4.2 結合係数と位相整合条件
  5.4.3 ラマンーナス回折
  5.4.4 ブラッグ回折
 5.5 導波モード間結合
  5.5.1 導波路間の分布結合
  5.5.2 グレーティング付き導波路内の導波モード間結合
 5.6 導波モードと放射モードの結合
  5.6.1 モード結合方程式とその解
  5.6.2 漏洩導波路とプリズム結合器
  5.6.3 グレーティング結合器
 演習問題
6. 光波ホログラフィと波面変換
 6.1 ホログラフィの原理と特徴
  6.1.1 光波の強度分布と位相分布の記録
  6.1.2 ホログラムの記録
  6.1.3 ホログラムの再生
  6.1.4 ホログラムの記録再生の数式表現
  6.1.5 ホログラムとグレーティングの関係
  6.1.6 空間周波数スペクトル
  6.1.7 記録の冗長性
 6.2 ホログラムの結像特性
 6.3 ホログラムの各種形式と特性
  6.3.1 記録媒体の形態
  6.3.2 信号波光学系の配置
  6.3.3 参照波と照明波の形態
 6.4 回折型光学素子
  6.4.1 グレーティングレンズ
  6.4.2 マイクロフレネルレンズ
 演習問題
7. 光波の制御
 7.1 異方性媒質中の光波伝搬
  7.1.1 比誘電率テンソルと光学主軸
  7.1.2 屈折率楕円体
  7.1.3 固有偏光と複屈折
  7.1.4 ジョーンズ行列と波長板
 7.2 電気光学効果による制御
  7.2.1 ポッケルス効果
  7.2.2 バルク型電気光学効果光変調器
  7.2.3 導波路型光変調器・光スイッチ
  7.2.4 半導体材料における電気光学効果と光制御デバイス
  7.2.5 液晶材料における電気光学効果と光制御デバイス
 7.3 音響光学効果による制御
  7.3.1 音響波
  7.3.2 音響光学効果
  7.3.3 バルク型音響光学制御デバイス
  7.3.4 導波路型音響光学制御デバイス
 7.4 磁気光学効果による制御
  7.4.1 磁化された媒質中の光波伝搬
  7.4.2 ファラデー効果
  7.4.3 光アイソレータ
 演習問題
8. 微小光学と光集積回路
 8.1 微小光学
 8.2 光集積回路
 演習問題
付録
参考文献
演習問題略解
索引
  

栖原 敏明(スハラ トシアキ)