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新コロナシリーズ大特集

1989年より刊行スタートした「新コロナシリーズ」。この度,弊社社員で読書感想文に取り組みました。
書籍よりピックアップした“これは”という1文と感想を是非御覧ください。書籍選びのご参考となれば幸いです。
※各書名のリンクをクリックすると,目次等,詳細な情報がご覧いただけます。

◆新コロナシリーズ
新コロナシリーズ」は,自然科学に興味をもたれる高校生なども含めた一般の読者を対象に自然科学および科学技術の分野で関心の高い問題をとりあげ,それをわかりやすく解説する目的で企画致しました。
また,本シリーズは,これによって興味を起こさせると同時に,専門分野へのアプローチになるものです。

書 名 世界を聴こう -短波放送の楽しみ方-
この1文
(本文より)
「困難なことに挑戦して結果を得たい」という人間本来の狩猟本能を刺激するところがあり,一生この分野にのめり込むファンやマニアが世界的に後を絶たない
感 想
(営業部S)
短波放送局の通信を受信して受信報告書を送付すると,「受信証」を受け取ることができる。そして,短波の性質上,受信機やアンテナの条件などが良ければ,ほぼ全世界の放送を受信できる。これを聞いただけでもワクワクしてくる。本書を読み進めることで短波放送の受信方法から,国内および海外への受信報告書の作り方,短波放送のしくみにいたるまでの基礎的な知識と技術を身につけることができる。1993年発行のため古い情報も散見されるが,当時の空気も含めて短波受信を始めるきっかけになるだろう。radikoを使えば全国のラジオ放送をいつでもどこでも聞くことができる今,短波放送はその便利さとは異なる方向に楽しみが広がっている。



書 名 温泉学入門 -温泉への誘い-
この1文
(本文より)
「我が国の、そして世界の温泉のよりよい理解と正しい温泉利用のための
感 想
(業務部N)
地面から湯が湧けば温泉? と漠然と思っていたが,温泉と規定されるには温度以外にも含まれる成分がしっかり定められていることに驚いた。体に良さそうというイメージはあるが,成分ごとの療養効果や禁忌を詳しく知ることが出来て,成分表示を読むのが楽しくなりそう。
また,歴史上の人物や動物によって発見された伝説の残る温泉の多さにも,温泉というものの歴史の古さとその土地に根付いた親しまれ方をしてきている証拠だと感じた。
なぜ温泉が出来るのか,温泉がどう発展してきたか、温泉がどう利用されているか。とても分かりやすく解説されていて,なんとなく温泉が好きな方がもう一歩温泉好きになるためにお薦めの一冊。



書 名 ネコと遺伝学
この1文
(本文より)
どうして三毛ネコは雌だけなのでしょうか
感 想
(営業部I)
猫は描種による差異があまりなく,被毛による差が描種・個体ごとの識別しやすい違いとなっている。本書はその被毛の毛色について遺伝学から解き明かしている。前半部分は遺伝学の基礎的な内容,後半部分が猫の毛色の仕組みについて書かれている。全体的に平易な書かれ方をしているので専門知識がなくともスムーズに読み進めることができる。今まで読んだ猫の書籍の中で、毛色についてはこの本が一番詳しくわかりやすかったが,姉妹本の『ネコと分子遺伝学』はやや難しい内容となっており基礎を学んでいないと理解しにくいと感じた。著者が参考文献として挙げている「ネコの毛並み」「三毛猫の遺伝学」は品切れとなっており古本でしか入手できない。そのため入手しやすい本書は猫の毛色について知るには最適ではないかと思う。



書 名 洗剤と洗浄の科学
この1文
(本文より)
私たちの日常生活は、「洗うこと」抜きにはとうてい考えられない
感 想
(営業部I)
汚れについてから洗剤の成分・作用,洗浄の仕方や業者が行うクリーニングについて総合的且つわかりやすく説明されている。後半は若干専門的な話があり難しいが読めないということはない。イオンや酵素などよく聞く名称について何となく良いものというイメージしかなかったが本書を読み具体的にどのようなものか知ることができた。洗濯は日常的に行うため誰にでも関係ある内容と言えると思う。



書 名 温度とは何か -測定の基準と問題点-
この1文
(本文より)
『温度とはなにか』といっても特別な目で見られることはない
感 想
(営業部S)
「温度」は,「質量」や「長さ」という物理量とはなんだか違うなというのはなんとなくわかる。でも,なにが違うのか,温度ってなんなのか。これらの疑問に対して,温度の定義とは,温度はどのようにして測るのかといった事柄について,「温度とは何か」という目線から丁寧に解説されている。読み終わった後,「温度ってなにか知ってる?」と人に自慢したくなる。
なお,「温度計測」そのものに関しては,弊社発行の『温度計測-基礎と応用-』にすべて書かれている。温度にかかわりのある実務者・研究者必携。



◆「まえがき」の気になるところをご紹介
以下は,まだ営業部が読めていない書籍ですが,順次感想文を公開していきたいと思います。
それまでは,本書「まえがき」のなかから印象的な部分を引用してご紹介。 ※各書名のリンクをクリックすると,目次等,詳細な情報がご覧いただけます。
書 名 ケーブルの中の雷
この1文
(「まえがき」より)
雷の元は水蒸気が氷の粒となりたがいにぶつかり分離することによって電気を帯びる。地球上に無限にある水分子のうち、ほんの限られた水分子が電気を帯びるチャンスが与えられる。このように考えると、難しく考えられている電気が身近にあることがわかるだろう。そして、何とロマンに満ちていることだろう。


書 名 おもしろセンサ
この1文
(「まえがき」より)
現代の科学技術におけるセンサの占める役割の重要さは「サンサを制するものは、科学技術をも制する」とまでいわれています。人類の夢を実現のものとするには、このセンサの開発が必須です。


書 名 コンピュータ犯罪のからくり
この1文
(「まえがき」より)
コンピュータセキュリティの中に含まれているいくつかの技術的な側面をとりあげ、その実態をまさぐることを試みた。現在ジェーナリスティックに報じられているコンピュータセキュリティの問題特に、コンピュータ犯罪については、まさに氷山の一角である。恐ろしい実態が、われわれの日常社会活動の中に多く隠蔽されている。それに対する正しい根本的な対策を効率よく行うためには、まず、眼をそらさずにきびしい現実を直視し、常に「データに語らせ、データに聞く」態度を保持し続ける必要がある。したがって、本書では、なるべく多くのデータを掲示し、具体的なコンピュータ犯罪の手口を晴天白日の下にさらし、身近なプログラム作成技術の中に潜む数多くの犯罪の芽を明らかにすることに焦点をあてた。本書が、コンピュータセキュリティ、特にコンピュータ犯罪に対して、世情大方の関心を呼び、衆知を結集して、その予防的対処に意を注ぐ端緒ともなれば、幸甚似て瞑するに足りるものである。


書 名 電波で巡る国ぐに
この1文
(「まえがき」より)
いまや世は衛星放送時代。茶の間にいながら世界各国らのニュース、スポーツ、音楽が鮮明な画像と音声を通して楽しめる。この時代にラジオなんて過去のもの、あるいは無用の長物と考えている方のために、あえてこの本を書いた。こういうといかにもパラドックス(逆説)といわれるかもしれない。しかも逆も真、真もまた逆ということがままある。一つの事象も視点を変えることで、まったく別の面が見えてくるからだ。そしてまた、アナクロニズム(時代錯誤)と思われるかもしれない。それも一つの真実、だが短波放送の生命は現実でも脈々と生き続けている。なぜか。


書 名 安全の目盛
この1文
(「まえがき」より)
最近の技術はますます巨大化、複雑化し、とどまることをしらない。なにか起きるのでないかと、市民の不安は絶えないし、実際に大きな事故が起きたこともある。安全技術の向上、また安全管理のなおいっそうの徹底が望まれるところである。
しかし一方では、安全にゴールがなく、いくら努力してもきりがない。どの程度やればいいのか目標がつかめない、と頭を抱える人も多い。設計、施工、管理、運転、保全などの技術は目標をしぼりきれずに悩んでいる。真面目な人ほどそうである。彼らはもう題目やスローガンにはうんざりしており、もっと体系的かつ科学的にシステムを検討して、湖沼や事故数をへらすにはどのような方法をとればよいが、そのための予算や人員をどのように配分すればよいのかを決定するべきだと真剣に考えている。そのためには、安全についての定量的な把握がどうしても必要である。


書 名 やわらかな機械
この1文
(「1章」冒頭の一節より)
人間の夢・メカトロニクスの時代・・・われわれの夢の機械であるロボットが、われわれの生活の場で活躍しはじめている。ロボットは工場の中で生産に従事しているものとばかり思っていたが、意外と身近にいる。あるものはロボットの姿をして、また、あるものは姿を変えて活躍している。同時に、われわれの生活を担う種々の機械は、年とともに急速に変化して、その急変ぶりには眼を見張るものがあり、ある意味では意思をもった知的な機能ぶりを発揮している。


書 名 切手で見る輸血と献血
この1文
(「まえがき」より)
戦後アメリカ軍の指導のもとに始まった売血中心の血液事業は、わずか四十年という世界に類を見ない短期間のうちに一〇〇%輸血に由来する血液事業として定着しました。しかし、その一方で、血友病の患者に使用するために外国から輸入した血液凝固因子製剤によって、エイズ感染という痛ましい事件が起こり、これを契機に自国で使用する血液はすべて自国の献血によってまかなおうという機運が高まり、現在の血液事業を見直すこの時期にあたり、血液とはどんなもので、血液事業はいかなるもので、今後どうあるべきかを、現在までに収集した医学切手を使用して解説してみました。


書 名 宇宙からの交響曲 -超高層プラズマ波動-
この1文
(「まえがき」より)
本書の主題である超高層プラズマ波動は地球周辺や惑星で発生する電磁波動であり、それらの波動の特性やその発生や伝搬のメカニズムを紹介し、地球周辺、すなわち地球電離圏・磁気圏プラズマ環境を紹介します。これらのプラズマ波動はどのように発生するかはきわめてチャレンジングなテーマであり、その一端をみなさんにご理解いただきたいのです。プラズマの中での電波であり、電波自体目では見えないためなかなか理解できないし、電気・磁気はむずかしいものであるため、本書ではその機構をわかりやすい説明に最大限に努力しました。


書 名 おもしろ力学 -ビー玉遊びから地球脱出まで-
この1文
(「まえがき」より)
「力」は私たちに身近なもので、何も特別なものではありません。ビー玉遊びから天体の運行まで、私たちはいろいろな力に支配されたり、利用したりしてダイナミックな生活をしています。じっとしていても地球の引力は作用し、私たちはこれらに身を委ねて意識さえしていません。
自然の法則はまことにうまく織りなされています。私たちの生活の断片のあれこれも、その全体も、例外なく、この法則によってくくられているはずです。身の回りの現象を観察し自然の法則をためしてみることは、考え方によってはまたすばらしい楽しみではありませんか。


書 名 絵に秘める暗号の科学
この1文
(「まえがき」より)
絵に文字を埋め込むというと、読者はすぐテレビの字幕を思い浮かべるようだが、それとは明らかに違う。絵の中に文字をくだいてひそかに埋め込むのである。だから素人が見ても絵としか見えない。文字は見えない。ある仕掛けで文字に相当する情報が入っているに過ぎない。しかも土台となる絵はできるだけ傷つけまいと努力を積み重ねたのである。その努力の過程とその結晶たる成果を恋物語風にまとめたのが、この小冊子である。


書 名 脳波と夢
この1文
(「まえがき」より)
昭和二十二年、戦火を免れて疎開していた北海道から東京に戻った私は、まだ戦争の傷跡も生々しい周囲で、出征したきり帰らない夫や子供を気づかう人々が「ゆうべ夫が無事に帰った夢を見た」、「隣りの屋根瓦の上に兄弟の顔が見えた」、「死亡通知を受け取った一週間前に、夫が夢枕に立った」などと話しているのをよく耳にした。当時六歳の私は、その時はただ不思議で不気味な話と思いながら母親のそばで黙って聞いていた。今思うと話の当事者はきっと不気味さより夢でも夫や子供に会えたうれしさが先行していたに違いない。
そして脳波学を専門とするようになった今、あれはどういうことだったのかと考えることがある。


書 名 ヒューマンインタフェースと画像処理
この1文
(「まえがき」より)
コンピュータと人間の対話、コミュニケーションを円滑にしようとすれば、コンピュータを相手にしても人間同士と同様のコミュニケーションができるようになることが目標となる。すなわち画像、音声、言語を理解する機能をもたせることである。これはパターン認識機能の組込みであって簡単には実現できそうもないが、段階的にはいろいろの可能性がみつけられそうである。


書 名 叩いて超音波で見る -非線形効果を利用した計測-
この1文
(「まえがき」より)
曲がったことは嫌いですか。「非」がつくと抵抗を感じますか。
たとえばいま、夕日にきらきらと輝く水平線を思い浮かべていただきますと、これらは単純に定規で直線を引いただけでは表現できない、多くの要素を含んでいるのは明白です。
定規による直線からの微妙なずれ、すなわち、曲がった非直線部分もその一つで、そこには美しいと感ずるものがあり、また個人個人の感情も入って来ると思われます。
直感的にはこの直線からのずれ、すなわち、非直線的な曲がっているところが、本書で考えようとしている非線形効果に対応するといえます。
従ってごく大まかにいえば、このような特性を計測することにより、対象物の微妙な変化までも検出しようとするのが、非線形効果を利用した新しい計測技術の目的としている方向といえます。


書 名 磁石の世界
この1文
(「まえがき」より)
皆さん、子供のころ磁石をもって楽しく遊んだ記憶をおもちの方が多いのではないでしょうか。磁石は鉄を引き付けますが、子供心も引き付けます。なんと不思議で魅力のあるものでしょう。磁石はこの六〇年ほどの間にすばらしい発展をし、いろいろな種類が知られるようになってきていますが、その中には日本で発明されたものが多いのです。基礎的にも、技術的にも、日本は磁石大国です。磁石に関する学問と技術は日本人に向いているように思われます。生産量も、金額的に恐らく世界のトップです。それによって、応用面もきわめて広い範囲に及び、いまや私達の日常の文明生活に欠かすことができないようになってまでいます。きわめて身近なものです。これらの状況について逐次ご紹介していきたいと思います。


書 名 試作への挑戦
この1文
(「まえがき」より)
発明に試作は付きものである。
ひとくちに試作をするといってもこれはたいへんな労力を必要とする。一回の試作で満足なものができることは、よほど簡単な構造のものでないかぎり、まずあり得ないことである。
よし、やるぞ!と意気込んで試作をはじめてみたものの思いどおりのものができなくて、なんども失敗を繰り返しているうちに挫折して試作をあきらめめる人もいる。
挫折する理由はいろいろあると思うが、思い直して試作を続けるための一つの方法として素早く作るということがあげられる。一つの部品を何日もかけて仕上げたものが失敗すれば気が滅入ってしまうが、すぐにできる方法があると思えば、試作に挑戦するやる気もわいてくるものだ


書 名 体を治す
この1文
(「まえがき」より)
病気を治療するのは医師であり、病院がその中心になっていることは周知のとおりです。昨今は、出産は病気ではないけれど、事前に入院して医師・助産婦・看護婦の管理のもと、分娩室で行われるのが当然のようになっています。しかし、一九四〇年代までは病院での出産は例外的でほとんどが助産婦による自宅分娩でした。日本において、西欧医学を積極的に導入しようとしたのは明治の初期からで、それ以前は病院などはほとんどありませんでした。さらにさかのぼって江戸時代では、医師(漢方医が中心)の治療を受けるなどは庶民にとって無縁なことであったと思われます。
そのような環境にあっても、人々は長い経験の積み重ねによって病気に対処する生活の知恵をもっていました。げんのしょうこやせんぶりを煎じたものは胃薬や下痢止めに、よもぎの葉の汁は虫さされや切り傷の止血に、つわぶきはやけどに、アロエは胃薬ややけどに十分に活用されていました。梅の果汁を煮詰めた飴状の液体は食あたりに有効な薬です。ドイツやフランスではティヨールという草を乾燥させたものを煎じて「風邪に特に効く」としていまも家庭の常備薬にしていると聞きます。これらの治療法は自然の植物を上手に利用した立派な家庭医療といえます。


書 名 夢を追う技術者・技術士
この1文
(「まえがき」より)
技術士とは技術分野における最高ランクの資格であり、科学技術庁が所管している。技術士とは、技術士法に基づく技術士第二次試験に合格して、所定の登録を受けた技術コンサルタントのことで、技術士の名称を用いて、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について、計画、研究、設計、分析、試験、評価、またこれらに関する指導の業務を行うものである。
技術士制度は、技術コンサルタントの健全な発達を図るための国による技術者の資格認定制度である。


書 名 磁石と生き物 -からだを磁石で診断・治療する-
この1文
(「まえがき」より)
遠足や登山で使う方位磁針を、人間の心臓に近づけると「心臓の鼓動にあわせて磁針が振れる」といったら、皆さんは信じますか。実はこれは本当の事なのです。ただし、この振れは目で見る事はできないほど小さいため、この心臓からの磁界を確認するためには最新ハイテク技術が必要です。一九六八年、マサチューセッツ工科大学のコーエン博士は、超電導技術を使った高感度磁気センサーで、心臓からの磁界をはじめ脳からの磁界の測定にも成功し、これを生体磁気と呼びました。私はこの身体がもつ超ミニ磁石の不思議さに魅せられて、一九七三年、同博士の研究室の門をたたき生体磁気の研究に従事する機会を得ました。近年、生体磁気に関する研究の進展は著しく、その一部はすでに新しい診断法として実用一歩手前の段階まできています。
身体に外部から強制的に強い磁界を与えてやると、身体にさまざまな変化が現れます。その変化を診断に応用したのがMRIとよばれる画像診断装置です。また、強い磁界の生体への影響を上手く使う新しい治療法も各種研究されています。


書 名 リサイクル社会とシンプルライフ
この1文
(「まえがき」より)
二十世紀も終わりになり、この世紀が著しい技術進歩を遂げたことは間違いない。特に、エネルギーは化石燃料利用の開発、ついには原子力開発へと目覚ましい発展をみた。こうしたエネルギー開発により、私たちの暮らしはそれまでに想像もできなかった豊かさ、便利さ、快適さを享受するようになった。
私たちはこの一度味わった便利な暮らしへの欲望を止めることはできなかった。そして、さらなる快適な暮らしへの欲求は、エネルギー利用の増大、交通網の発達、物品の大量生産・消費、地球規模の開発を推し進めた。
ところがやがて、暮らしに欠かすことのできない大気、水、土が、暮らしそのものから出される廃棄物で汚染され始めたことを知らされる結果となった。とはいっても、私たちは自分たちの暮らしそのものが原因の一つであるとは信じたくなかった。しだいに、汚染の影響が暮らしの身近に迫ってきてようやく、私たちはいかに肥大化した暮らしであったかに気付かされた。そして、初めて地球の大気、水、土、太陽が私たちの暮らしと密接に結びついていることを理解した。


書 名 電波の宇宙
この1文
(「まえがき」より)
人は電波を発見してから、それをさまざまに利用してきました。ラジオ、テレビ、携帯電話、ナーナビなど、その利用は多様です。これからは、交通機関の料金の支払いに電波を利用したり、パソコンとパソコンを電波で結んだりするなど、社会生活のなかでこれまで以上に電波を使うようになることでしょう。このように電波の利用が進むと、電波は人間だけがつくりだすもののように考えがちです。雷が起こると、テレビの画面が乱れたり、ラジオに雑音が入ったりします。これは雷からくる電波が原因となって起こる現象です。地球から遠く離れた宇宙の中でも電波は発生しています。オーロラの電波、太陽の電波、木星や火星の電波、そして私たちの住む銀河系や宇宙全体を満たしている電波など、さまざまな電波が観測されています。
電波は目に見えません。手でさわることも、耳で聞くこともできません。このように感覚器官でとらえられないものを理解するには想像力をはたらかせる必要があります。宇宙からくるかすかな電波をとらえてそこから想像力をはたらかせて宇宙の中で起こっている現象のからくりを研究するのが電波天文学です。私は、木星の電波や銀河系の電波などを観測し、研究してきました。本書では、電波とはどのようなものなのかに始まり、宇宙の探査と電波のかかわりについての一端を紹介したいと思います。


書 名 住まいと環境の照明デザイン
この1文
(「まえがき」より)
日常生活を振り返ってみると、太陽光だけで生活している人たちはごくまれである。住宅でも、文化がすすむにつれて、人工照明に頼らない住宅は建てられなくなった。一方で、なりわいをみてみると、農業では調光式温室栽培、植木鉢貸出業ではビルディングの植物工場、漁業ではイカ釣り集魚灯夜釣などで人工照明を使っている。
照明は明るさだけでは終わらない。色彩がかかわってくる。本来の自然光も屋内に取り入れる工夫で、自然な環境が保たれ、物が見やすくなってくる。
しかし、なんといっても、その場を利用する人が、自分で光環境をデザインするのが最も好ましいことである。本書は、その目的に合うよう、平易に書かれているので、手軽な照明設計書である。


書 名 心を癒す園芸療法
この1文
(「まえがき」より)
地球上の生物すなわち、われわれを含むすべてが、植物と関連なしでは生存できないので、人類が長い間に進化して文明が発達した現代でも、植物と共存する環境の中にいるといえよう。これが、心を癒す園芸療法の必要性を育むことになったゆえんであり、その効果を期待したいのである。当然のことであるが、昨今は植物との触れ合いを図るうえで不自然な場が多くなり、野原での遊びや食生活での自給ができない社会になりつつある。また、われわれの体は植物に接して調和がとれるよう構成されているにもかかわらず、植物との触れ合いが生活の中から消えつつある現状を知るならば、園芸療法のような植物との触れ合いの重要性を確認したいのである。


書 名 摩擦への挑戦 -新幹線からハードディスクまで-
この1文
(「まえがき」より)
車のワイパがありますね。雨が降ってくると目の前を往ったり来たりする。そのときワイパのゴムが、ガラスをこすっているところが見えるでしょう。こういう、ものがこすれて面、摩擦面を直接見ることができる、これはとても珍しい例なのです。
トライボロジーというのは、その摩擦面でいったい、なにが起こっているのだろうか、という現象そのものを取り扱う、工学の一分野です。


書 名 気象予報入門
この1文
(「まえがき」より)
気象衛星により雲の動きの様子が毎時間見ることができ、天気予報を含む気象情報がテレビやラジオ等マスコミを通じて昼夜の別なくちまたにあふれている今日、日本国民一億数千万人が総気象予報官の時代に入ったといってもよいと思います。
このような状況の中で、通勤・通学の電車等での読書で、気象の基礎的な事項が手軽にわかり、その内容をもとにして一般の方々が気象予報に気軽に親しめるような簡潔な本を著そうと試みたのが本書です。気象予報の理解に必要不可欠な知識を含み、その理解を助けるための気象学の基礎的事項をも平易に記述するように努めました。


書 名 続 もの作り不思議百科 -ミリ,マイクロ,ナノの世界-
この1文
(「まえがき」より)
「もの作り」と聞くと、工場や現場などを想像し、少し堅苦しさを感じる方もいるかも知れませんが、土いじりや粘土細工、ブロック遊びなど、多くの方が幼いころに経験されたことは「もの作り」の原点ともいえます。そして、私たちの生活を支える形あるものは、すべてが創造されたものであるといっても過言ではありません。それほどに「もの作り」は私たちの身近にあります。
本書では、「もの作り」にもう一歩近づくことで、その楽しさや感動、興味を少しでも覚えてもらえればと思い、できるかぎり身近な事例を取り上げ、わかりやすい内容と表現でまとめました。


書 名 磁石のふしぎ
この1文
(「まえがき」より)
きっと、人は何かを知りたくて読書します。中学・高校生のみなさんは、受験が気になりながら他の本も読みあさるでしょう。この本もその中の一冊に入れてください。この本は、磁石のふしぎが楽しくなるように、そのきっかけになればと思って執筆しました。近年、中高生の教科目で“理科離れ”といわれて久しいです。この本を通じて一人でも多くの人が、磁石に興味を持ち、科学の分野の磁石になじんでいただければうれしいです。磁石は、はっきりいってふしぎです。磁石のふしぎは楽しい「ふしぎ」です。この本は、その磁石の「ふしぎ」を知るための初歩として、そのごく一部について述べたものです。