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書籍詳細

音響サイエンスシリーズ 5)

  サイン音の科学
- メッセージを伝える音のデザイン論 -

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岩宮眞一郎 九大教授 工博 著

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発行年月日:2012/03/28 , 判 型: A5,  ページ数:208頁

ISBN:978-4-339-01325-2,  定 価:3,024円 (本体2,800円+税)

ジャンル:

横断歩道や電車の発車ベル,電子レンジなど,身近な存在でありながら,大切な情報を伝えてくれるサイン音。その音に託されたメッセージについて,著者が事例をあげて解説する。今までになかった「サイン音」をテーマにした初の書籍。

【目次】

1. サイン音の役割と実態
1.1 サイン音とは?
1.2 サイン音の種類
1.3 サイン音のあり方
1.4 さまざまな場所で利用されるサイン音
1. サイン音の役割と実態
1.1 サイン音とは?
1.2 サイン音の種類
1.3 サイン音のあり方
1.4 さまざまな場所で利用されるサイン音
1.5 サイン音のデザイン分野の必要性
1.6 本書のねらい
引用・参考文献

2. サイン音の機能イメージと音響特性
2.1 サイン音が伝えるメッセージの認知の実態
2.2 サイン音の擬音語表現
2.2.1 撥音,長音,促音と振幅エンベロープとの関係
2.2.2 母音と基本周波数との関係
2.2.3 有声音が用いられる音とスペクトル重心の対応
2.2.4 繰り返しパターンのあるサイン音の語形変化
2.3 サイン音の機能イメージ,擬音語表現と音響特性の関係
2.4 振幅と周波数の周期的変化とサイン音の機能イメージ
2.4.1 周期的振幅変調音から感じられる機能イメージと擬音語表現
2.4.2 周期的周波数変調音から感じられる機能イメージと擬音語表現
2.5 警告信号音から想起されるイメージ
2.6 スポーツ・ホイッスルにふさわしい音響特性
2.7 インタフェースとしてふさわしいサイン音
2.8 聴覚的な表示(ソニフィケーション)
引用・参考文献

3. 自動車のサイン音
3.1 自動車内のサイン音
3.1.1 リバース報知音
3.1.2 ライト消し忘れ報知音
3.1.3 キー抜き忘れ報知音
3.1.4 ウインカー報知音
3.1.5 自動車内サイン音に関する一般的傾向
3.2 リバース報知音の時間特性とスペクトルの影響
3.3 ウインカー報知音の時間特性とスペクトルの影響
3.4 断続音の程よい周期に関する考察
3.5 望ましいシートベルト・リマインダー
3.6 自動車の警笛の現状
3.7 警笛に関する意識調査
3.8 警笛の聴取印象とその使用意図の判断
3.9 低域強調した改良型警笛の有効性と問題点
3.10ハイブリッド乗用車・電気自動車に付加する接近報知音
3.11接近報知音に求められる音量
引用・参考文献

4. 家電製品の報知音
4.1 家電製品の報知音の実態調査
4.2 報知音の時間パターンに対するJIS規格
4.3 報知音の音量に関するJIS規格
4.4 報知音に対するJIS規格の利用と問題点
4.5 報知音のJIS規格が国際規格(ISO)に
4.6 音声ガイドの併用
引用・参考文献

5. 公共空間のサイン音
5.1 役にたたないサイン音
5.2 公共空間における通路を指示するサイン音
5.3 公共空間における避難誘導
5.4 不快な誘導鈴の快音化
5.5 踏切警報音に対する意識調査
5.6 ハイファイなサウンドスケープづくり
引用・参考文献

6. 警報音のデザイン
6.1 警報音に関する内外の規格
6.2 医療器機の警報音の実態調査
6.3 警報音のあり方
6.4 警報音に求められる音響特性
6.5 緊急避難のための警報音
6.6 防犯のための警報音
6.7 防災のための警報音
6.8 地震速報が自動車の運転に及ぼす影響
引用・参考文献

7. サイン音におけるユニバーサル・デザイン
7.1 高齢者にやさしいサイン音
7.2 視覚障害者のためのサイン音
7.2.1 視覚障害者が日常生活で利用する音
7.2.2 音の利用に関する視覚障害者に対する実態調査
7.2.3 視覚障害者のためのサイン音整備の有効性
7.2.4 視覚障害者のためのサイン音に必要とされる音量
7.2.5 ロービジョンのための音と光の活用
引用・参考文献

8. 音楽的表現を用いたサイン音
8.1 鉄道駅で用いられる発車メロディ
8.2 サイン音楽
8.3 テレビのニュース速報に利用されているチャイム
8.4 ケータイの着メロ
8.5 音程の違いがサイン音の機能イメージに及ぼす影響
8.6 和音がサイン音の機能イメージに及ぼす影響
8.7 分散和音がサイン音の機能イメージに及ぼす影響
引用・参考文献

9. 地域の象徴としてのサイン音
9.1 時の鐘
9.2 大江戸 時の鐘 
9.3 新たに設置された「時の鐘」の効果
9.4 残したい「時の鐘」の音風景
9.5 地域のシンボルとしてのサイン音デザイン
引用・参考文献

あとがき
索引

【関連情報】

【おすすめ本】

【レビュー】

『サイン音の科学』

『サイン音の科学』は、おそらくサイン音(音サイン)の現状を1冊で概観できる初の書籍である。
「サイン音」という言葉は、聞いたことはあっても、特別な用語と感じられるかもしれない。
しかし、本書の目次を眺めただけで、電子レンジをはじめとする家電機器の報知音から、
自動車のクラクションや車内警報音、列車の発車メロディーや音響信号機まで、
生活に溶け込んだ大小さまざまな音が対象とされていることが分かる。

人が受け取る五感情報のうち、80%が視覚情報であり、10%ほどが聴覚情報だとされている。
極端な主張では、90%が視覚情報で3%ほどが聴覚情報だとする説もある。
これら数値の根拠は全く見出せないものの、現代が視覚優位社会であることに異論はない。

しかし、我々の日常生活を振り返ってみると、視覚情報を過信し過ぎている一方、聴覚情報を蔑ろにしていると思わざるを得ない。
例えば、デジタルカメラで写真を撮ってもらうとき、ATMのタッチパネルで暗証番号を入力するときを想像してほしい。
動作音が全くしないと、不安を覚えるのではないだろうか。視覚情報だけでは完結せず、音のフィードバックがあってこそ安心する場合がある。
聴覚と触覚で生活している全盲についても、日本で音のとらえ方や使い方の訓練が行われるようになったのはほんの数年のことである。
確かに、視力がない分、聴覚の使い方は経験則で洗練される。
しかし、誘導音設置でアドバイスを求めても、音量の上げ下げに対する希望と反響音についても不満に終止することが多い。

私は、サウンドスケープデザイナーとしてサイン音を制作・設置する立場にあり、同時に全盲の一人としてサイン音利用者でもある。
『サイン音の科学』に盛り込まれている知見があれば、視覚障害者がサイン音利用者として音量を上げてほしいという場合、必ずしもスピーカのボリュームを上げれば解決するとは限らないことがわかる。
むしろ、スピーカの設置位置や音質を変える方法が効果的で、騒音とならない意味でも有効なことが大半である。

一般的な音のデザインという点では、「音は好き嫌いの個人差が大きいから」という反応がよく聞かれる。
しかし、音の好き嫌いは個人差ではなく一定の共通項があることが、この本のなかで実験データとして明らかになる。
同時に、使うべきではない音質や音域も示されている。
音に興味がある人や仕事で係わる人はもちろん、空間デザインや設計に係わる人にも必ず一読して、手許に資料として備えてほしい1冊である。
常に音環境に係わっている身としても、この書籍は、頭の中を整理する素晴らしいきっかけとなった。
また、サイン音を一般に広め役立つものとするため、新たな可能性と展望を感じ取ることもできた。

視覚情報は、目をそむければ見ずにすませられる。
しかし、聴覚に異常がなければ、あらゆる方向からの音が聞こえ、耳栓をしたくらいでは防ぐことができない。
ところが、無造作に設置されたスピーカー付き掲示板や大音響の街頭テレビ、反響音で隣人の声も聞きづらい空間が散見される。
『サイン音の科学』が多くの人に読まれ、デザインに必須な哲学の感じられる音環境が広がれば嬉しい限りである。
そして、専門用語として「音サイン」が提唱されていることを、頭の隅に置いていただければ幸甚である。

最後に、書評を作成するにあたり、電子データを提供して下さったコロナ社の皆様に、この場を借りて心から御礼と感謝を表したい。

Universal Design Network Japan
サウンドスケープデザイナー 武者圭 武者様のプロフィールはこちらです

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