レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

コピュラ理論の基礎

シリーズ 情報科学における確率モデル 12

コピュラ理論の基礎

本書は,さまざまな確率変数間の相関構造をモデリングするのに有用な関数であるコピュラの理論と,広く応用されるコピュラの代表例を,基礎的・本質的な事項に焦点を絞り網羅的に解説した。巻末では分野の背景と重要文献を紹介する。

発行年月日
2025/06/25
定価
2,970(本体2,700円+税)
ISBN
978-4-339-02842-3
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

IIBMP2025 第13回生命医薬情報学連合大会

IIBMP2025 第13回生命医薬情報学連合大会

掲載日:2025/09/03

読者モニターレビュー【 EST様(業界・専門分野:統計学)】

掲載日:2025/06/23

コピュラの全体感を展望し、興味がある分野を掘り下げいく用途に適しており、コピュラ理論を通じて統計学を学びたい意欲のある学生や実務者に向けた1冊だと感じました(コピュラは強力だとは言われるが、概念をある程度厳密に知りたいし、イメージも持って、理解をしたいという思いがある人)。
内容としては、第1章で、確率について、密度関数、また分布とは、を理解し、読み進めることができ、確率・統計学の中心的な概念と、最も関心のある「なぜコピュラを用いるのか」、について説明されています。数式も多いですが、概念の説明も文章で導入をしつつ、裾従属、ケンドール順位相関係数など、周辺理論のイメージを文章でも理解できるよう説明がされていて、周辺理論の理解にも役立ちました。
また章末問題が、通常は略解が多い中で本書は、文中で証明が進められ、章末問題でそれを復習できるという形式の問題もあり、アウトプットにも活用できると感じました。
過去に読んだコピュラの文献を再読してみようと思います(巻末の引用・参考文献リストも環境、金融、医療、信頼性工学など多分野にわたり充実しています)。

読者モニターレビュー【 Mizu 様(業界・専門分野:組み込み)】

掲載日:2025/06/23

本書はコピュラ理論をたくさんの例を用いて解説した優れた入門書になっている。
予備知識として初等的な数式とあるが、微分積分と確率統計を知っている方が本書の魅力を最大限味わえると思う。

本書にある通りコピュラは一様分布の同時分布関数として与えられる。
2~3章では種々のコピュラがその性質とともに解説されており、著名な分布関数からなるコピュラを見ることができる。
巻末にある参考文献を見ることで、ここまでの内容で多様なモデリングができることがわかると思う。

個人的なハイライトは4章であり、相関の強さとコピュラの関係が提示される。
ケンドールの相関係数やスピアマン相関係数など初めて出会う相関や局所的な相関(裾従属)のようにこれまで考えたことのない概念に触れることができ、モチベーション高く学習できた。

5章では、ここまで扱ってきたコピュラを生成素という関数から見つめなおしている。
生成素を与えられれば、対応するコピュラが定まるという性質は、実用性のみならず数学の面白さを味わうことができると思う。

6章はここまでの内容を多変量に拡張している。
応用範囲は広がりそうだが、多変数特有の複雑さが増しており難しく感じた。

上述の通り、本書はコピュラの基礎的な部分について、丁寧にかつ過度に数学的になりすぎずに解説した格好の入門書だと強く思う。
特に確率論を学んだ人や、統計モデルを扱っている人に新たな視点を提供してくれる書物であり、強く勧めたい。

読者モニターレビュー【 タニシ 様(業界・専門分野:情報系)】

掲載日:2025/06/09

本書はコピュラ理論の入門書として非常に有用であり、特に統計学・確率論をある程度学んだ学生には適していると感じました。

各章の構成について、定義→定理→証明や具体例の流れがしっかりしており、論理の筋が追いやすいです。また、図やビジュアル的な補助があるので、コピュラの直感的理解ができるものとなっています。

章末問題は、理解の確認と深掘りに非常に役立ちました。特に2章・3章の扱いは、実際に計算する中で理論の意味が深まったように思います。解答はWeb上に公開されておりました。
ただし一部の証明や章末問題の回答では途中計算が省略されているところもあり、特に初学者向けにはもう一段階細かな補足があるとより親切だと思いました。

総じて、大学院生や数理系や情報系学部生が理論的背景を学ぶうえで非常に有用な一冊といえます。