レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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分子分光学の原理的側面を基礎的な物理化学・量子論の立場から解説。マイクロ波分光法,赤外分光法,ラマン分光法,電子遷移などの分光法で得られるスペクトルから分子の幾何学的構造や電子構造の決定過程を簡単な分子を例に説明。
- 発行年月日
- 2025/05/02
- 定価
- 3,630円(本体3,300円+税)
- ISBN
- 978-4-339-06674-6
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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読者モニターレビュー【 分光屋さん 様 (業界・専門分野:レーザー分光、誘導ラマン散乱顕微鏡)】
掲載日:2025/07/29
本書は分光学、主に気体分子の振動回転分光とラマン分光、π電子系の可視紫外域分光への理解を深めることを目的として書かれた良書です。前半では原子・分子軌道、調和振動子、選択律など分光学で必須となる基礎事項を網羅的に取り扱っており、分光学と量子力学・量子化学の関連性が分かりやすく解説されています。後半では上記の分光法における実践的なスペクトルの帰属、解析方法について解説されています。また演習問題も多数掲載されており、これが概念的な理解だけでなく具体的・実践的な理解をさらに深めるのに役立つと感じました。このように本書は分光の初学者から実際に分光装置を使用するユーザーまで幅広い読者に役立つ内容をコンパクトにまとめており、幅広い読者に役立つことが期待される書籍かと思います。
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読者モニターレビュー【 ニホニウム 様 (業界・専門分野:化学(無機化学系))】
掲載日:2025/07/23
本書は、分子分光学をこれから学ぶ方や、研究を始めるにあたって分光学の知識を得たい方におすすめの一冊です。分子の構造や運動に関する情報を得る方法として、マイクロ波分光法、赤外分光法、ラマン分光法、発光分光分析など、さまざまな分光法が挙げられますが、それぞれの分光法で「何を測定できるのか」、「得られるスペクトルが何を意味するのか」を、本書を通じて学ぶことができます。
分子分光学を直接の研究対象としていなくても、分子の同定、構造特性、発光特性の解析などにおいて分光法による測定は広く利用されているため、各分光法の原理を確認する上で役に立つ内容であると感じました。
前半の章では、シュレディンガー方程式や分子軌道法など、量子化学の基本事項が扱われており、基礎を確認しながら分光学の内容を読み進められる構成となっていました。後半の章では、分子の運動や対称性、それらを利用した分光法について、具体的な分子の例やスペクトルの概形などとともに解説されており、数式だけでは理解が難しい部分も視覚的な理解で補いながら学ぶことができました。
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読者モニターレビュー【 高橋 新 様 株式会社aratama factory (業界・専門分野:化学、電気電子)】
掲載日:2025/07/23
本書『分子分光学の基礎』は、現代科学において必須の分析手法である分子分光学を、初学者にも理解しやすく体系的にまとめた優れた教科書です。
分光測定装置の高度化により「ブラックボックス化」が進む中、本書は「一体何を見ているのか」という根本的な問いに真摯に向き合っています。量子論の基礎(2-4章)から始まり、マイクロ波、赤外、ラマン分光法、電子遷移(6-9章)まで、各分光法の原理と分子構造決定への応用が丁寧に解説されています。特に、群論の分光学への応用(10章)まで含む構成は、理論と実践の橋渡しとして秀逸です。
著者が「初歩的解説書と高度な専門書の間のギャップを埋める」と述べているように、学部2-3年生が世界的名著に挑戦する前の「step stone」として最適な一冊です。各章末の演習問題と巻末の略解も、自学自習を助ける工夫として評価できます。分光学の本質を理解したい全ての研究者・学生に推薦したい良書です。
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「現代化学」2025年6月号 (東京化学同人)
掲載日:2025/05/23
Books&Information欄にて書籍紹介いただきました。
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amazonレビュー978-4-339-06674-6 分子分光学の基礎
掲載日:2025/05/12
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書評掲載 Chem-Station(略称:ケムステ)様HP 化学書籍レビュー(2025/5/5)
掲載日:2025/05/07
上記リンク先にレビュー記事がございます。