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金属バイオマテリアル - 医療用金属材料 -

金属バイオマテリアル - 医療用金属材料 -

2007年に発刊した「金属バイオマテリアル」(バイオマテリアルシリーズ1)を大幅に改訂。材料工学を専門とする学生や技術者,工学系の他の分野や医歯学系で金属材料を学んでいない方々を対象に,全体像を概観できるよう執筆。

発行年月日
2025/07/25
定価
2,970(本体2,700円+税)
ISBN
978-4-339-07283-9
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

読者モニターレビュー【 メカメカ 様(業界・専門分野:機械工学)】

掲載日:2026/02/16

本書では医療に使用する金属材料を用途毎に細かい解説を加えて解説しており、医学・歯学系および材料工学系の学生のどちらにもとっても非常に有益なわかりやすい教科書である。特に序盤で臨床応用例と課題が具体的に提示されているため、その後の章で展開されている材料や機能別の特性の説明が頭に入りやすくなっている。人体と接触して使われるという観点から、金属の腐食に限定せず、疲労や摩耗、トライボロジーといった幅広い使用環境で何が起こるかについての整理もしっかりとされている。毒性評価や金属アレルギー、生体適合性に関する記述では、チタンが硬組織である骨と結合しやすいため、時間が経過し過ぎると取り外すのが難しくなるなど、興味を引くトピックスが多く盛り込まれている。生体適合性を高めるための表面処理・表面形態制御では、ナノメートルサイズの周期的微細構造の研究が今後のトレンドとのことであり、未来技術の方向性についても知ることができた。

最後に、本書の大きな特徴の一つに金属材料の機械的性質と腐食を簡潔にまとめた付録を挙げることができる。30頁にわたる付録の中に金属材料学のエッセンスが凝縮されており、金属材料を短時間で学べる点でも有益であろう。

読者モニターレビュー【 たーぼー 様 (業界・専門分野:自動車部品業界・物性物理学、プラズマ物理学)】

掲載日:2025/09/10

高齢化が進む現代社会において,医療技術の進化は人々の生活の質を左右する重要な要素となっている。その中でも、人工関節やステント、インプラントなどに用いられる「金属バイオマテリアル」は、医学・歯学と材料工学の融合によって生まれた革新的な技術であり、我々に深い感銘を与えている。特に印象的だったのは、チタンやコバルト基合金などの金属が、それぞれ異なる特性を活かして生体内で機能している点である。チタンは骨との結合性を活かして人工関節や歯根に用いられ、コバルト基合金は強度や弾性保持力を活かしてステントに応用されている。これらの材料は、単なる「硬い金属」ではなく、人体との親和性や耐食性、機械的強度など、極めて繊細な条件を満たす必要がある。また、金属バイオマテリアルの進化は、医療機器の高機能化と安全化を促進し、“健康寿命の延伸”という課題にも貢献している。「金属バイオマテリアル」は、単なる材料開発にとどまらず、基礎科学から医学臨床応用、さらには内視鏡や手術用ロボットへの応用までを含む広範な領域であり、まさに技術と社会の橋渡しを担う存在だと感じた。本書を通じて、金属材料、セラミック材料、高分子材料、それぞれの長所を生かした「金属バイオマテリアル」の研究の一端を理解できる構成となっており、巻末の付録によって、金属工学・金属材料学の基礎を学べるのが良い。