レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
-
画像処理で扱われる信号処理,画像処理手法,画像計測,グラフィックスに加えて,画像認識,機械学習,深層学習といった幅広い領域のトピックを入門的に扱いながら,バランスよく配分し,基礎事項を体系的に学べるように構成した。
- 発行年月日
- 2022/10/26
- 定価
- 3,410円(本体3,100円+税)
- ISBN
- 978-4-339-02931-4
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
-
読者モニターレビュー【 泉 荘太朗 様 早稲田大学(ご専門:心理統計学 )】
掲載日:2022/11/29
本書は近年発展著しい画像処理や画像認識の分野の概説書である。
画像処理や画像認識の専門家に向けて精緻な理論を説明するテキストというよりも、むしろこれから画像を扱うタスクに取り組みたいと考える初学者が分野を一望するのに適切なテキストである。非構造データの枠組みで画像分野と肩を並べる分野に言語処理があるが、言語処理についてのテキストから例を挙げると、奥村『自然言語処理の基礎』や黒橋『改訂版 自然言語処理』のようなレベル・コンセプトのテキストである。
各章の内容は、本質を損なわない程度に容易に解説されており、かつ章の間でのバランスも優れている。
画像処理のパートでは「なぜそうするとうまく処理が可能か」という視点を大事にしつつ、様々な処理方法が導入されている。種々の処理方法を理解する上で必要な説明はフーリエ変換等の数理にも踏み込みつつ、丁寧に記述されており、大変勉強になった。
画像認識のパートでは、古典的な手法や、近年発展著しい深層学習に基づく手法が導入される。画像認識のパートで紹介される手法については、理論の詳細には立ち寄らずに直観的な説明がなされていて初学者を当惑させない工夫がなされていると感じた。その上で、3次元画像処理や動画像処理などの応用上重要な話題にも触れており、興味を掻き立てられた。
最後の章では、画像処理の応用について解説されている。実際にビジネスや工学においてどのように画像処理の技術が活用されているかに関して、事例を通して学ぶことができて勉強になった。
全体を通じて対象読者層が明確になっており、その対象者が理解すべき本質的な事柄をできる限り易しく解説する快著である。
-
読者モニターレビュー【 よっしー 様(ご専門:情報系 )】
掲載日:2022/10/24
この本を読んで一番最初に思ったことは画像処理と画像認識の両分野を非常にコンパクトにまとめているということである.画像処理や画像認識の専門書は個別に作られていたり,両方の内容が載っていたとしても重厚な本になることが多い.しかし本書は両分野の知識をバランスよく配分し,詳細な数学的なアルゴリズムをあえて省略することで,初学者にわかりやすい画像に関して体系的な本になっている.
私は画像認識が専門なので今回は画像処理部分をメインに本を読ませて貰ったが,エッジ検出や局所特徴などプログラムではパッケージ化されている部分を理論的に知れたことが良かった.
このように画像に関して興味がある初学者や画像処理,画像認識のどちらか一方でも知識に不安があるという方におすすめしたい一冊である.