レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

LiDARを用いた高度自己位置推定システム - 移動ロボットのための自己位置推定の高性能化とその実装例 -

LiDARを用いた高度自己位置推定システム - 移動ロボットのための自己位置推定の高性能化とその実装例 -

ロボットや自動車が自動走行を行うために不可欠な「自己位置推定」について,その頑健性や信頼度などのさまざまな問題点に対して,枠組みを拡張,もしくは新しい手法を導入し,高性能化することで,それらの問題解決を目指した一冊。

発行年月日
2022/06/16
定価
3,300(本体3,000円+税)
ISBN
978-4-339-03240-6
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

「読売新聞」夕刊READ&LEAD(2022年10月18日)

掲載日:2022/10/18

amazonレビュー978-4-339-03240-6 LiDARを用いた高度自己位置推定システム - 移動ロボットのための自己位置推定の高性能化とその実装例 -

掲載日:2022/07/11

読者モニターレビュー【 かみと 様(ご専門:フィールドロボティクス)】

掲載日:2022/06/27

本書の読解に必要な数学的基礎から、本書の題名にもあるような「高度な」自己位置推定法まで幅広いレベルをカバーしている.
この厚さにまとまっているのはすばらしい.概ね学部生には難しいと思われるが、学部4年生や修士学生であれば他の図書を参考にしながら読み込むことができるのでは無いでしょうか.
また、C++での実装例は理解を深めるのに役立つと思われ、自作ロボットに高度な自己位置推定法を適用することも容易にする.
6章以降では関連研究も紹介されており、8章以降では一般的な自己位置推定法を解説した書籍には乗っていない情報がわかりやすく掲載されていた.
10章ではこれまで紹介してきた手法のアプローチや限界が整理され、今後の自己位置推定手法の発展の方向を指し示している.
初学者には難しい部分もあると思われるが、読み進めていくことができれば、最新の自己位置推定方法をキャッチアップできると思われる.

読者モニターレビュー【 めっくろぐ 様(ご専門:自動運転)】

掲載日:2022/06/10

本書は、LiDARを用いた自己位置推定の従来手法が抱える課題について、筆者が取り組んできた解決策を述べる一冊である。確率論的アプローチについて、自己位置推定と同時に信頼度といった付加的な情報も取り出すことで、自己位置推定・自律走行が失敗しないよう高度化を図るものである。

このような筆者の取り組みを知るために本書が最適であることはもちろんだが、自己位置推定の初学者にもお薦めであると感じた。数学的な入門から始まり最新の研究動向までが、コンパクトな一冊に、抜け目なくまとめられているからである。要所要所で、言及している技術において何が実現可能であるのか、何が課題であるのかということが端的に解説されているので、理解が深まりやすい。取り扱わない関連研究についても、本書の手法と比較しながら述べられているので、それぞれの特徴も理解しやすい。参考文献も豊富に掲載されているので、興味があれば自分でこれらを追っていくことができる。初心者でも、最新の研究動向までカバーできるようになっているのである。

そして、C++実装例の掲載は、理解を深めるためにやはり大いに役立つ。単なるツールの使用方法の説明ではなく、原理を理解するための実装例なので、これをベースに自分のアイデアを作ってみることもできるだろう。

自律移動技術のニーズが高まるなかで、自己位置推定の高度化と、裾野を広げるという2つの側面において、本書の貢献は大きなものになると感じている。

読者モニターレビュー【 名無し 様(業務内容:環境認識システムの研究開発)】

掲載日:2022/06/07

本書は、数あるセンシング技術の中からLiDARを用いた手法を対象とした自己位置推定方法を数式ベースで詳細に解説したうえで、既存技術の課題点を上げ、筆者の解決法を丁寧に論じている。

1章から5章までは数式をメインとした解説が続いてるが、筆者が記述している通りメインテーマに入る前に理解しておく必要がある数学的基礎である。私を含め、普段から確率論などの数学に触れていない者には難しく感じてしまうかもしれないが、本書では丁重に説明されている。時間をかけても本題の6章に入る前に理解を深めておくか、先の章で躓いた時に立ち戻ると理解が進むと思われる。

後半の章では単に自己位置推定法を解説するだけではなく、自己位置推定がどのように失敗し誤検出をしてしまうかまで詳細に説明することで、問題点や課題点への理解がしやすい導入になっている。自己位置推定といった分野にフォーカスした書籍や情報集で、概論だけでなく原理など詳細に至るまで書き記させている日本語書籍は他にないのではないだろうか。
この分野を研究、または専門と扱う職種の方にぜひおすすめしたい書籍である。

読者モニターレビュー【 3A 様(ご専門:ロボティクス)】

掲載日:2022/06/06

章の構成として、下記の通り順序だてられていて、読み進めやすい構成となっている。1章、背景。2章、開発環境。3章、本書で扱っている技術を理解するうえで必要な数学知識。4章、Probablistic Roboticsで解説されている従来の確率的自己位置推定法(動作モデル、観測モデル)。5章、パーティクルフィルタを用いた自己位置推定法であるMCL位置推定の実装(C++での一般的な実装例と拡張実装例)。6章、自己位置と観測物体のクラスに関する同時分布を推定する方法。7章、自己位置推定の正誤を正しく認識することを目的とした自己位置推定結果の信頼度推定方法。8章、自己位置推定の失敗の結果生じる、観測値と地図の間の誤対応を認識する方法、およびこの誤対応の結果に基づいて自己位置推定の失敗を検知する方法。9章、One-Shot自己位置推定とMCLを確率的に融合させる方法(近年注目されている機械学習を矛盾なくMCLに融合させる方法)。10章、まとめとして、本書で解説した技術を使って解決できていることとまだ不十分であること、そして今後の展望。

5章以降、随所にソースコードを使った説明がなされており、それが内容理解の助けになっているとともに、実際に実装する際に参考になる内容となっている。また、6章から9章では関連研究という節を設け、近年の研究についての解説があり、参考になる内容だった。