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医療に活かす生体医工学

医療に活かす生体医工学

医学生や高等教育機関における医工学専攻科,および工学部の学生が生体医工学に興味を持ち将来自分の研究専門分野にしたいと思ってもらえるよう,写真や図を使い工学技術の医療応用分野をわかりやすく興味が持てるよう解説。

発行年月日
2020/11/30
定価
3,520(本体3,200円+税)
ISBN
978-4-339-07247-1
在庫あり

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日本AEM学会誌 Vol.30,No1(2022)「書評」

日本AEM学会誌 Vol.30,No1(2022)「書評」

掲載日:2022/04/12

和多田 雅哉(東京都市大)

日本は世界で最も高い高齢化(世界保健機関WHOにより65歳以上と定義)率の国といわれており, 2019年現在で総人口の約28%とされている高齢者が, 2065年には約38%に増加すると推定されている。一方で,「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を『健康寿命』とWHOが提唱して以来,日本においても健康寿命を延ばすことに関心が高まっている。未だに平均寿命との間には大きなギャップが存在するが,近年は平均寿命の延びよりも健康寿命の延びの方が上回ってきている。今後は,日常生活における「健康」意識の向上および率先した「医療」対策が必要となる。そこに大きな役割を果たしているもののーつとして生体医工学支援がある。

本書は,医学生,高等教育機関における医工学専攻科および工学部の学生を対象とした生体医工学のテキストとして,現在注目されている最先端の医療応用分野の紹介と解説から構成されている。全16章の内容は,数式や理論を中心とした基礎的,専門的な内容に加え,生体信号の計測,解析,制御などの生体医工学の基礎分野の習得も可能な内容となっている。また,ドラッグデリバリーシステムや外科手術における手術支援システム,人工臓器,電子カルテなどの最新医療機器から医療機器評価までの生体医工学全般を網羅しているのも特徴といえる。なお,新たな試みとして「生体医工学ウェブ辞典(https://cyclopedia.jsmbe.org/)」とリンクして,基礎的な内容の重要な用語に関しては随時習得ができるように工夫されている。

本書の読者が,生物学や理学・工学などの他分野との複合領域を形成する生体医工学分野に理解を深め,今後の医療・ライフサイエンス分野の発展に貢献してくれることを期待する。

第1章 再生医療
第2章 生体力学シミュレーション
第3章 多元計算解剖学:人体を総合的に理解する
第4章 医療機器
第5章 インターベンション
第6章 ドラッグデリバリーシステム
第7章 手術ナビゲーションシステム
第8章 内視鏡手術(消化器)
第9章 内視鏡手術(泌尿器)
第10章 ロボット手術
第11章 人工臓器
第12章 埋植型電子機器
第13章 体内埋込み型ブレインマシンインタフェース
第14章 医療情報システム:電子カルテによるデータ収集から人工知能応用へ
第15章 医療機器審査に関わる医療機器評価の考え方
第16章 工学的基礎

【著者紹介】
日本生体医工学会(旧:日本エム・イー学会)
(http://jsmbe.org/)