あたらしい測量学 - 基礎から最新技術まで -
- 発行年月日
- 2014/04/23
- 判型
- B5
- ページ数
- 264ページ
- ISBN
- 978-4-339-05238-1
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
測量技術は,現在大きな変革期にあり,世界測地系2011,GNSS測量,航空レーザー測量などを導入した新しい観点からまとめた教科書が必要となっている。本書はそれに応えるものであり,測量の基礎から最新技術まで学習できる。
測量技術は日進月歩であり,その進捗内容もすみやかに新しい測量技術として理解していく必要がある。測量作業機関が模範とする国と地方公共団体の公共測量作業規程の準則が,2008年(平成20年)3月に57年ぶりに全面改正された。その改正のポイントは,新技術(ネットワーク型RTK-GPS,デジタル航空カメラ,航空レーザ測量)の作業方法の規定であり,地理情報標準への対応や基盤地図情報の整備などである。またこれが,2011年(平成23年)3月に一部改正された。すなわち,アメリカのGPSに加えロシアのGLONASSに対応した測量用受信機の普及に合わせ,衛星測位システムの総称をGNSSとしたのである。その他に,ネットワーク型RTK法の利用の拡大やセミ・ダイナミック補正なども追加された。このように,デジタル化や衛星を利用した新技術の拡大を図っている。さらに,2011年(平成23年)3月,東北地方太平洋沖地震によって地殻変動が生じ,測量の基準である経緯度原点や水準原点を含めた多くの基準点が移動した。これに伴い,移動した基準点の数値が改定され,今後の測量成果は測地成果2011と表記されるようになった。
本書は,測量の基礎を初めて学ぶ学生と社会人向けに,平易に解説し,同時に,衛星を利用した測量新技術や2011年の惨事に対応した内容(準則一部改正と測地成果2011)としている点が特徴的である。
また,執筆に際し,わかりやすくするために,以下の点に配慮している。
⑴若い執筆陣らを加えた最新の内容。
⑵B5判と大きくし,また右側に側注スペースをつくり,メモ書きができるようにした。また,ここには,英訳(JABEE教育対応)と参照箇所などを注意書きするとともに,必要に応じて,その他の側注を入れて,学習の助けとした。
⑶簡潔を心がけ,読みにくい漢字には,常用,非常用にかかわらずルビを振った。
⑷章末問題を設け,上級の資格取得に対応させた。また,解答は,各章末問題のすぐ後に掲載し,見やすさを図った。
その他,コロナ社ホームページ(http://www.coronasha.co.jp)の本書のページで,必要に応じてカラー写真や,参考資料,補足事項などを掲載していく予定である。本書の企画から出版に到るまで,臨機応変に対応していただいたコロナ社に感謝の意を示す。
本書を活用することで,あたらしい測量学の基礎づくりに少しでも役立てていただければ幸いである。
2014年2月
著者一同
1. 測量の基準
1.1 地球楕円体
1.2 準拠楕円体
1.3 地心直交座標系
1.4 日本における測地系
1.4.1 日本測地系
1.4.2 日本測地系2000
1.4.3 日本測地系2011
1.5 緯度・経度・楕円体高
1.6 球面から平面への投影
1.6.1 平面直角座標系
1.6.2 UTM座標系
1.7 球面距離と平面距離の比
1.7.1 縮尺係数
1.7.2 s/S
1.8 北
1.9 ジオイド
1.10 高さ
章末問題
章末問題略解
2. 距離測量
2.1 距離の種類
2.1.1 平面距離と球面距離
2.1.2 斜距離,水平距離,および鉛直距離の関係
2.2 局地測量における測距
2.2.1 歩測
2.2.2 巻尺による測距
2.2.3 光波測距儀による測距
2.3 測地測量における測距
2.3.1 準拠楕円体面上の球面距離の求め方
2.3.2 世界と日本の位置を決定するVLBI
章末問題
章末問題略解
3. 角測量
3.1 角度に関する基本事項
3.1.1 水平角と鉛直角
3.1.2 角度の単位
3.2 角度の測定
3.2.1 角度の測定機器の種類
3.2.2 角度測定の原理
3.3 セオドライト
3.3.1 構造
3.3.2 各部の名称とはたらき
3.4 TSの操作方法
3.4.1 機器の据付け
3.4.2 視準と測角
3.4.3 対回観測
3.5 角観測と手簿の記載例
3.5.1 水平角観測と手簿の記載例
3.5.2 鉛直角観測と手簿の記載例
3.6 器械誤差と消去法
3.7 コンパス測量
3.7.1 コンパス測量の概要
3.7.2 コンパス測量の器具と方法
3.7.3 選点と木杭の打ち方
3.7.4 分度円の特徴,方位角の測定,および内角計算
3.7.5 コンパス測量の精度と測量で生じた誤差の修正
章末問題
章末問題略解
4. 多角測量
4.1 トラバースの種類
4.2 多角測量の流れ
4.3 方向角の取付け
4.4 測点の標高(高低)計算 ─ TSによる三角水準測量
4.5 簡易網平均計算
4.6 単路線方式の簡易網平均計算
4.6.1 観測方向角の計算
4.6.2 到着点の方向角の閉合差
4.6.3 新点の方向角の最確値
4.6.4 斜距離を平面距離へ投影
4.6.5 座標計算
4.6.6 到着点の水平位置の閉合差
4.6.7 新点の座標の最確値
4.6.8 新点の標高の閉合差
4.6.9 新点の標高の最確値
4.7 結合多角方式の簡易網平均計算
4.7.1 交点の統一する方向角
4.7.2 交点の統一する方向角の閉合差
4.7.3 新点の方向角の最確値
4.7.4 交点の座標の最確値
4.7.5 交点の水平位置の閉合差
4.7.6 新点の座標の最確値
4.7.7 交点の標高の最確値
4.7.8 交点の標高の閉合差
4.7.9 新点の標高の最確値
4.8 偏心
4.8.1 偏心観測
4.8.2 偏心補正計算
章末問題
章末問題略解
5. 細部測量
5.1 数値地形図データと地図情報レベル
5.2 平板測量
5.2.1 使用機器
5.2.2 平板の据付け方
5.2.3 平板測量における観測と作図(放射法)
5.3 TSを用いた放射法による細部測量
5.4 GNSS測量機を用いた細部測量
5.5 各種観測の許容範囲
5.6 用地測量
章末問題
章末問題略解
6. 水準測量
6.1 水準測量の等級
6.2 水準測量に用いる器械
6.2.1 レベル
6.2.2 標尺
6.2.3 標尺台
6.3 水準測量の種類
6.3.1 直接水準測量
6.3.2 間接水準測量
6.4 直接水準測量の原理
6.5 レベルと標尺を利用したスタジア測量
6.6 広義の基準点測量で用いられる昇降式直接水準測量
6.6.1 観測方法
6.6.2 誤差と消去法
6.6.3 往復の較差
6.6.4 既知点における閉合差
6.7 土木工事などで用いられる器高式直接水準測量
6.7.1 観測方法
6.7.2 地盤高の求め方
6.8 B.M.決定のための往復水準測量
6.9 交互水準測量
章末問題
章末問題略解
7. 基準点測量
7.1 基準点測量
7.2 路線
7.2.1 結合多角方式
7.2.2 単路線方式
7.3 計画と図面
7.4 TSの観測
7.5 TSの点検路線と点検計算
7.6 TSの平均計算
7.7 GNSS測量
7.8 GNSS測量機
7.9 単独測位と相対測位
7.10 GNSS測量の干渉測位方式
7.10.1 受信機が観測する搬送波位相
7.10.2 衛星と受信機の時計誤差を消去する二重位相差
7.10.3 双曲面群と多重解
7.10.4整数値バイアスの決定
7.11 干渉測位方式の種類
7.11.1 GNSS測量機を複数台(固定して)同時に用いるスタティック法
7.11.2 GNSS測量機を2台以上(固定局と移動局同時に用いるキネマティック法
7.11.3 GNSS測量機を2台以上(固定局と移動局)同時に用いるRTK法
7.11.4 GNSS測量機を1台以上(移動局)同時に用いるネットワーク型RTK法
7.12 セッション
7.13 GNSSの点検路線と点検計算
7.14 GNSSの平均計算
7.15 セミ・ダイナミック補正
章末問題
章末問題略解
8. 面積と体積(土量)
8.1 面積の計算
8.1.1 三角区分法
8.1.2 座標法
8.1.3 倍横距法
8.1.4 支距(オフセット)法
8.1.5 プラニメーターによる面積の計算
8.1.6 その他の面積の計算方法
8.2 体積(土量)の計算
8.2.1 両端断面平均法による土量の計算
8.2.2 等高線を利用した土量・貯水量の計算
8.2.3 点高法による土量の計算
章末問題
章末問題略解
9. 地形測量
9.1 地形測量の概要
9.2 地形図の種類
9.3 地形図の縮尺
9.4 地形測量の順序
9.4.1 地形測量の方法
9.4.2 細部測量
9.5 等高線の特徴
9.5.1 等高線の種類とその間隔
9.5.2 等高線の性質
9.6 等高線の測定とその描き方
9.6.1 等高線の直接測定法
9.6.2 等高線の間接測定法
9.6.3 等高線の描き方
9.7 等高線の利用
9.7.1 断面図の作成
9.7.2 等勾配線
9.7.3 体積(土量や貯水量)の計算
9.8 図式
9.9 国土地理院発行の地形図の特徴
9.10 地域メッシュ
章末問題
章末問題略解
10. 路線測量
10.1 路線測量の順序
10.1.1 路線選定と計画調査
10.1.2 実施測量(実測)
10.1.3 曲線設置に関する法令など
10.2 曲線の種類
10.3 単心曲線
10.4 単心曲線の設置方法
10.4.1 偏角測設法
10.4.2 中央縦距(M)による測設法
10.4.3 接線からのオフセットによる曲線測設法
10.4.4 その他の測設法
10.5 緩和曲線
10.5.1 緩和区間
10.5.2 クロソイド曲線の形
10.5.3 クロソイド曲線の基本式
10.5.4 クロソイド曲線のクロソイド要素と測設法
10.6 縦断曲線
10.7 道路測量
10.7.1 平面図・縦断面図・横断面図
10.7.2 用地幅杭設置測量
10.7.3 工事測量
章末問題
章末問題略解
11. 河川測量
11.1 距離標設置測量
11.2 水準基標測量
11.3 定期縦断測量
11.4 定期横断測量
11.5 深浅測量
11.6 流量測定
11.6.1 概要
11.6.2 浮子による流量の測定
11.6.3 流速計による流量の測定
11.7 河川水位と流量の表し方
章末問題
章末問題略解
12. 写真測量
12.1 基線条件と立体計測
12.2 デジタル航空カメラ
12.2.1 フレームセンサー型
12.2.2 ラインセンサー型
12.3 地上画素寸法と地図情報レベル
12.4 デジタルステレオ図化機
12.5 対空標識と刺針
12.6 写真地図
12.7 空中写真における高低差の測定
12.7.1 空中写真の縮尺とひずみ
12.7.2 反射式実体鏡を用いた視差測定棹による視差差の測定
12.7.3 視差差と高低差の関係
12.8 空中写真の判読とその利用
12.8.1 空中写真の判読
12.8.2 空中写真における各種地物の特徴
12.8.3 空中写真の利用
章末問題略解
13. リモートセンシング
13.1 リモートセンシングの特徴
13.2 リモートセンシングの原理
13.3 衛星画像を利用した環境解析
13.3.1 植物の量や活性度とその時系列変化
13.3.2 土地の被覆状況と利用状況
13.3.3 地表面や海面の温度分布
13.4 衛星画像に位置を付与する幾何補正
13.5 グランドトルースと土地被覆分類
13.6 衛星画像の利用環境
13.6.1 衛星画像の種類と特徴
13.6.2 衛星画像の解析環境
章末問題
章末問題略解
14. GIS
14.1 レイヤ構造
14.2 GISの利点─基準点測量,細部測量,空中写真測量の成果の重ね合せなど
14.3 GISの歴史
14.4 JPGIS(地理情報標準プロファイル)
14.5 データ品質要素
14.6 地図の骨格を形成する基盤地図情報
14.7 現実空間をGISへ取り込むため単純化したデータモデル
14.7.1 ベクタデータ
14.7.2 ラスタデータ
14.8 幾何補正
14.9 DEM
章末問題
章末問題略解
15. 最新測量
15.1 LIDAR
15.1.1 航空レーザ測量 ─ LIDAR技術を応用した航空測量
15.1.2 3Dレーザスキャナー ─ LIDARを使った地上測量
15.2 干渉合成開口レーダー(InSAR)
15.3 衛星画像を用いた写真測量
15.4 3Dモデル
15.5 情報化施工
15.6 新しいTS
15.7 移動計測車両による測量
章末問題
章末問題略解
付録 測量の基礎数学と測定値の処理方法
A.1 数値の丸め方
A.2 精度,有効数字,および桁
A.2.1 加減算
A.2.2 乗除算
A.3 三角関数
A.3.1 代表的な三角関数
A.3.2 三平方の定理
A.3.3 逆三角関数
A.3.4 測量でよく使用する正弦定理と余弦定理
A.4 弧度法
A.5 測定値の処理方法
A.5.1 誤差の種類とその扱い
A.5.2 誤差曲線(正規分布曲線)
A.5.3 測定条件が同じ場合の最確値と標準偏差の計算方法
A.5.4 測定条件が異なる場合の最確値の計算方法
A.5.5 1測線を数区間に分けて測量した場合の標準偏差の計算方法
付表 接頭語とギリシャ文字
引用・参考文献
索引
関連資料(一般)
- 章末問題解答 別紙
- カラー画像(一部)
- 章末問題解答