工学につながる数学・物理入門演習 - 技術系公務員 工学の基礎 -

工学につながる数学・物理入門演習 - 技術系公務員 工学の基礎 -

国家公務員採用一般職試験の数学と物理の問題を解いて工学分野の基礎力を身につける

ジャンル
発行年月日
2024/01/15
判型
A5
ページ数
144ページ
ISBN
978-4-339-06131-4
工学につながる数学・物理入門演習 - 技術系公務員 工学の基礎 -
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本書は,国家公務員採用一般職試験で出題された数学と物理の問題を解くことによって,工学分野の基礎力を身につけられる内容である。解答で用いる公式集をはじめ,解答は丁寧な数式展開とし,物理現象のイメージ図も示した。

私は機械工学科の教員として20年近く勤めています。それ以前は防衛省研究職技官として10年間,さらにその前は2万トン級大型船舶の機関士として勤めました。私は中学校卒業後,高等専門学校に入学したため,工学とのつき合いはもう40年近くなります。私が防衛省で戦闘機のレーダー研究の担当をしていた頃,メーカー技術者は渾身のレーダーを開発しました。技術者が言うには,「レーダー画面には小数点一桁の精度で多数ターゲットとの距離が表示されます」と自信満々でした。しかし,パイロットの感想は「ごめん。見づらい。」と返ってきました。話は変わりますが,私の自宅には特徴の異なる二つのリモコンがあります。一つはテレビとビデオ操作ができるリモコンで,50個以上のボタンがあります。二つ目はYouTubeやNetflixなど4番組が見られる小さなリモコンで,ボタンは10個しかありません。前者のリモコンを操れるのは家族の中では私だけです。何が言いたいかというと,難しい解法能力を競っても,良いものづくりには繋がっていないのでは?と私は疑問に思うのです。複雑な技術は故障確率も上がります。20世紀は「無理をしてでも,月に立ちたい!」と高度技術を競いました。しかし,現在はほどほどに使えるスペックを,省エネルギー・省材料・単純機構で実現できる“スマート技術”が求められています。「Simple is best!」の“スマート技術”です。

私の専門は制御工学ですが,物理や機械工学4力学(材料力学・機械学・流体力学・熱力学)を大学3年生に教えています。学生らは大学1,2年においてすでに講義で習った内容にもかかわらず,多くの基礎問題を解けません。そこで私は“鉄板の基礎固め”の必要性を痛感しています。本書は,国家公務員採用一般職試験の問題を取り上げました。ただし,実際の過去問では解答が5択になっています。本書には問題解答で用いる公式を集めた公式集も掲載しています。各問題の解答は数式展開だけでなく,解答する前の物理現象のイメージ図を示すように心がけました。公式を記号羅列のまま暗記しても,問題の解法では使えません。物理現象をイメージするように公式を体感できれば,問題を正解へと導けます。

最後に,土井ゼミでは国家公務員一般職に毎年10名以上合格します。国家公務員総合職にも毎年1名は合格します。当大学では卒業生約2000名のうち国家一般職の合格者は土井ゼミ以外で毎年1名しか輩出しません。この実績から本書の効果を信じてもらえればと希望します。「鉄板の基礎知識」を身につけましょう。

2023年11月
土井正好

第1章 数学
1.1 数列(1題 問題1)
1.2 ピタゴラスの定理(1題 問題2)
1.3 対数(3題 問題3~5)
1.4 ベクトル(2題 問題6,7)
1.5 内積(2題 問題8,9)
1.6 複素数(1題 問題10)
1.7 三角関数(4題 問題11~14)
1.8 極限(1題 問題15)
1.9 微分(1題 問題16)
1.10 偏微分(1題 問題17)
1.11 微分方程式(1題 問題18)
1.12 積分(4題 問題19~22)
1.13 重積分(1題 問題23)
1.14 部分積分(1題 問題24)
1.15 行列(2題 問題25,26)
1.16 確率(2題 問題27,28)
1.17 組み合わせ(1題 問題29)
1.18 期待値(1題 問題30)

第2章 物理
2.1 モーメント(2題 問題31,32)
2.2 摩擦(4題 問題33~36)
2.3 運動(6題 問題37~42)
2.4 滑車(2題 問題43,44)
2.5 遠心力(3題 問題45~47)
2.6 単位(1題 問題48)
2.7 ばね(3題 問題49~51)
2.8 振動(2題 問題52,53)
2.9 浮力(2題 問題54,55)
2.10 圧力(3題 問題56~58)
2.11 マノメータ(1題 問題59)
2.12 熱(5題 問題60~64)
2.13 電気(16題 問題65~80)

練習問題解答

読者モニターレビュー【 アマサイ 様(業界・専門分野:電子工学 )】

ありそうでなかった本である。工学部学生であっても国家公務員試験に出るような基礎数学・物理は忘れてしまっている。3年生、4年生になって入学したころの演習書をやるのもなかなか大変である。本書は工学部基礎演習書と言ってもよいくらいコンパクトにまとまっている。この一冊でおさらいすれば、市販の公務員対策本にすぐ取り掛かれるだろう。大学生だけではない。卒業してだいぶ経った私のようなものにも錆を落とす効果がありそうだ。電気・機械の検定・国家試験に臨む人にもぴったりだ。文系であっても、本書により高校数学などを思い出すことができ、各種試験に取り組むことができる。ちょっと背伸びをしたい高校生の処方箋としても最適だ。本書を流布させれば、技術立国日本が再び立ち上がるのではないかと夢想している。

読者モニターレビュー【 JAZZCAT 様(業界・専門分野:鉄鋼機械エンジニアリング )】

レビュアーは、土井正好氏による著書「工学につながる数学・物理入門演習」をレビュー致しました。その結果を箇条書きにて、下記致します。

① 公務員試験の過去問を活用した「本番と同じレベル」の問題にて、本書を作成している点がとても良と感じました。その根拠は、下記のa)~c)に記したレビュアーの考えによります。

a) 公務員試験に合格するための最短経路は、「過去問のレベルの把握」と「それに即した演習の繰返し」が必須であると思います。

b) 受験者が多い試験の場合には、複数の演習書や基本的なテキスト類の販売がされています。しかし、公務員試験の場合には、(受験者があまり多くないのか)試験対策用の教材(特に、技術系)が少ないように感じております。

c) 過去に出題された問題をベースに、類題を作成(過去問よりも若干難しい、もしくは、やさしい)し、その類題を解くことで、本番の試験に備えるテキストが、他の資格試験用では販売されています。しかし、それらを使用すると、実際に問題を作成している試験官の出題の意図とずれてしまっている場合が多く、本番になって慌てることになりかねません(レビュアーも他の資格試験時に経験済みです)。

② 著者の大学での指導および合格実績に基づいた、的確な演習問題の選定がなされている点もよいと思いました。タイトルが「入門演習」となっていますが、本番では、本書に記載されているレベルの問題がある程度解けないと、合格点に達しないように感じました。

③ 概ね、見開き1~2項で、演習問題と解答が記載されている(異なる構成になっている場合もありましたが)ため、試験対策の時間を取るのに苦労されている方にも、非常に取り組みやすいものと感じました。その根拠は、下記のa)およびb)に記したレビュアーの考えによります。

a) 内容が細分化されているため、学習の計画が立てやすく、モチベーションも上がる(例えば、毎日1問ずつ、演習問題を解く)ものと思いました。

b) 短期間で、出題が予想される範囲や内容を、(項数の割に)パッと把握できる点が、類書に無い特長だと思いました。

④ ①に記した通り、実際に出題された問題を演習問題として使用しているので、今後も類似の問題が出題された場合、本番で、自信をもって問題を解くことが可能になるものと思いました。本書は、著者のこれまでの指導実績を基にして作成されているとのことで、本書を信頼し、繰返し演習することで、自然と公務員試験に合格できる実力を養うことができるものと思いました。

⑤ 公務員試験の問題は、様々な事項を短時間で試したい、という意図がみえるため、
・問題文は、非常にシンプルに構成されている(文章だけで書かれている場合も多いのでは、と思われます)ため、受験者は、問題を解くために必要な情報や考え方を、その場で、自分で導ける力を必要とされる
・うっかりミスを誘う問題
・ひとひねりされている、もしくは、複数の知識を駆使する必要がある問題
・本来、考えなければならないことを、あえて気づけないようにしている問題が多いように(レビュアーが本書の演習問題を実際に解いている時に)感じました。
また、上記3つの事項を、「短い試験時間内で読み取り、考え抜かないといけない」という現実があることも事実かと思いました。
これらに対応するためには、「確かな基礎力に裏打ちされた問題を解くための実力養成」が重要な要素の1つだと考えられます。
この点についても、本書では、著者の前著(『解答力を高める機械4力学基礎演習』)を踏襲した、
・始めに問題に書かれている事項を図解し、問題内容を理解する
・次に、どのようなアプローチで問題を解いていくかを考える
方式になっている点が、非常に分かりやすいものだと、改めて感じました。
(レビュアーは、著者の前著を5~6回程度、繰返し演習したことがあります。その結果も含めた上で、上記のレビューを書いております。)

その上で、簡潔ではありますが、必要かつ十分な解答、解説がなされており、非常に良いものと思いました。

⑥ ③および⑤にて、本書の項数について触れました(③では、「項数の割に」、⑤では、「簡潔ではありますが」という文言)が、本レビューをご覧になられている方々の中には、「本当に必要かつ十分な解答、解説になっているのか?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかと思います。
これは、レビュアーの個人的な考えですが、公務員試験を受験される方々は、志、レベルの双方が相当に高い方々がほとんどかと思います。知識も相当にお持ちで、万一、解答・解説の中で不明点があったとしても、何を調べればその不明点を解消できるのか、見当がつくものと思います。
そのため、本書は公務員試験を受験される方のレベルを考えた、必要最小限の解答、解説にとどめられていても、特に支障をきたさないものと感じました。

⑦ 本書内には、「公式集」がまとめられています。本公式集も、『必要かつ十分な量』が、『簡潔』にまとめられており、『記載された公式を基に、読者自身で、各分野の復習を行うことも可能』な構成になっているものと思います。
(本書に記載の公務員試験の問題に解答できるだけの公式が記載されているので、関連分野の復習をしたい場合には、ご自身で補足される必要はあります)

⑧ 公務員志願者だけでなく、初等数学や初等物理を復習もしくは演習したい学生や社会人の方々にも、広く活用頂けるものと思います。

以上、簡単ではありますが、本書をレビューした結果を記載致しました。本書をご購入予定の方々のご参考になれば、非常に幸いです。

土井 正好(ドイ マサヨシ)

大阪府池田市に生まれ中学まで育ち、塾帰りのある夜、くたびれたサラリーマンに囲まれた阪急電車に絶望して、「全く考えられない仕事に就こう」と弓削商船高専へ進学しました。しかし特殊な職業であるため、教官と先輩から「海で生きていくには!」と叱られ続けて学生時代を過ごし、当時「あすなろ白書」のような緩い大学生をしてみたいと願い、豊橋技術科学大学へ3年次編入学しました。勿論立派な大学ではあるものの、豊橋駅前からバス40分の酪農畑に研究棟がそびえ立ち、市内街中にある私立文系 愛知大学生を恨めしく眺めていたのを覚えています。

大学生だけ体験できたことに納得し、元の進路に戻って新日本海フェリー 三等機関士として就職しました。しかし自分には「壊れた機械を直す能力と情熱」に欠けることを思い知り、また小樽入港時には朝3時に起こされ、20日連続で勤務し、その結果、「毎日その日に帰れて、毎週末は休日のサラリーマンて最高だな」と気づかされました。

しかし時すでに遅し就職氷河期、ハローワークには大卒らしい仕事はなく、仕方なく公務員試験に合格して強制的に就職しようと思い立ちました。仕事さえ見つかればそれだけでいいと手当たり次第の公務員(神戸市消防局、運輸省船舶検査官、東京消防庁)を受験した結果、防衛庁から最速で内定をいただけ、私は「行きます」と秒で即答しました。

防衛庁も多種多様な仕事があるものの私は船出身なのになぜか航空自衛隊飛行開発実験団に配属されました。さらに、機械出身なのに所属は電子戦技術隊です。やっていけるものか心配になり、同僚に「専門外かも」と相談すると「大丈夫、僕の奥さんは英文科出身で航空機の整備小隊長してるから」と、自衛隊の懐の深さ?に感動したものです。防衛庁は航空自衛隊そして本庁内部部局勤務を経て10年間で退職しました。防衛庁において私は防衛大学校大学院への進学機会を頂戴し、私のお師匠さんである 東京都立大学名誉教授 森泰親先生から高度でかつ親しみ深い指導を20年間に亘り受けました。また副指導教官として筑波大学教授 中内靖先生と話題が尽きない楽しい交流が続きます。さらに、防衛大学校 名誉教授 生天目章先生も分野が異なるものの、私の博士号取得の道筋を開いていただきました。そして、博士号は恩師 森先生よりお願いいただき、慶應義塾大学 名誉教授 佐野昭先生に学位審査の主査を引き受けていただきました。全てのチャンスは尊敬する先生方から頂戴したと改めて気づかされます。

防衛庁10年間の勤務のおかげで、いつの間にか船よりも航空機が詳しくなりました。平成18年から防衛庁を離れ大学の教員として勤めたものの、再び縁あって平成27年に「アシアナ航空機着陸失敗事故」を地元テレビ局で解説し、令和2年の今年はNEDO 「航空機用先進システム実用化プロジェクト」の評価委員を任されます。

趣味は犬2匹、野良猫1匹を飼うこととなり、その事情で旅に出たいという矛盾を解決するため、リチウムバッテリーとエアコンが付いたキャンピングカーの取得を夢見ています。きっと、夫婦喧嘩の避難所にもなることでしょう。現在、練習のためレンタルキャンピングカーを何度も体験します。

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