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書籍詳細

  ゲーム情報学概論
- ゲームを切り拓く人工知能 -

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伊藤毅志 電通大助教 工博 編著

保木邦仁 電通大准教授 博士(理学) 著

三宅陽一郎 (株)スクウェア・エニックス 著

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発行年月日:2018/05/18 , 判 型: A5,  ページ数:234頁

ISBN:978-4-339-02885-0,  定 価:3,240円 (本体3,000円+税)

ゲームは,古くから人工知能,認知科学の中心的な研究テーマとして扱われてきた。本書では,まずこの研究分野の基礎的な知識と歴史を押さえ,それを支える重要な理論について述べ,デジタルゲームの応用分野まで概観する。

【目次】

第Ⅰ部 ゲーム情報学概論
プロローグ

1. ゲームとはなにか
1.1 ゲームを定義する
第Ⅰ部 ゲーム情報学概論
プロローグ

1. ゲームとはなにか
1.1 ゲームを定義する
 1.1.1 ゲームの定義を試みた人たち
 1.1.2 ゲームの情報学的定義
 1.1.3 ゲーム情報学の研究領域
1.2 ゲームの情報学的分類
 1.2.1 プレーヤの数による分類
 1.2.2 完全情報性
 1.2.3 確定性
 1.2.4 ゼロ和性
 1.2.5 有限性
 1.2.6 ゲームの分類とその役割

2. ゲーム情報学の基礎
2.1 ゲームと問題解決
 2.1.1 ゲームと問題解決空間
 2.1.2 一般問題解決器
 2.1.3 二人完全情報確定ゼロ和ゲーム
 2.1.4 ゲーム木と必勝法
 2.1.5 探索量から見たゲームの複雑さ
2.2 ゲーム情報学の歴史
 2.2.1 チェス
 2.2.2 将棋
 2.2.3 囲碁
 2.2.4 その他のゲーム

3. ゲームAIと認知研究
3.1 ゲームAIとアルゴリズム
 3.1.1 ゲームAIの三つのアプローチ
 3.1.2 ルールベースアプローチ
 3.1.3 探索的アプローチ
 3.1.4 学習的アプローチ
3.2 ゲームと認知科学
 3.2.1 認知科学的研究とその手法
 3.2.2 ゲームの認知科学研究
 3.2.3 人間の思考とコンピュータの思考
 3.2.4 自然なゲームAIの研究

第Ⅰ部の参考図書
第Ⅰ部の引用・参考文献

第Ⅱ部 ゲーム情報学のアルゴリズム
プロローグ

4. 最短経路の探索とコスト関数:15パズル
4.1 15パズル
4.2 15パズルのグラフ探索
4.3 A*アルゴリズム
4.4 問題を緩和してhコストを設計する方法

5. ゲーム理論の基礎知識:囚人のジレンマ,ジャンケン,三目並べ
5.1 戦略型ゲームと戦略の優劣
5.2 ナッシュ均衡と混合拡大
5.3 二人ゼロ和ゲームの均衡点とミニマックス定理
5.4 展開型ゲーム
5.5 展開型ゲームの戦略と後ろ向き帰納法

6. ミニマックスゲーム木とその探索:三目並べ,オセロ,チェス,将棋
6.1 ミニマックスゲーム木
6.2 ミニマックスゲーム木の深さ優先探索
6.3 ミニマックスゲーム木のab探索法
6.4 AND/OR木と証明数
6.5 ミニマックスゲーム木のグラフ探索
6.6 ヒューリスティックミニマックス探索

7. モンテカルロ法を用いた強化学習:ブラックジャック
7.1 強化学習概要
7.2 ブラックジャックとその基本ルール
7.3 ゲーム状態,行動および報酬の表現
7.4 モンテカルロ法による方策評価
7.5 方策の改善

第Ⅱ部の引用・参考文献

第Ⅲ部 デジタルゲームへの応用
プロローグ

8. ゲームAI:アクションゲームとボードゲームの比較
8.1 デジタルゲームの原理
8.2 ボードゲームとデジタルゲームの人工知能の違い
8.3 知識表現・世界表現
8.4 ゲーム表現
8.5 キャラクターの行動表現
8.6 デジタルゲームAIの全体像
 8.6.1 キャラクターAI
 8.6.2 メタAI
 8.6.3 ナビゲーションAI

9. キャラクターAI
9.1 エージェントアーキテクチャ
9.2 センサモジュール
9.3 知識生成モジュール
9.4 意思決定モジュール
9.5 エフェクタと運動生成モジュール
9.6 記憶とインフォメーションフロー
9.7 記憶の形
9.8 黒板モデル(ブラックボードアーキテクチャ)

10. ゲームAIの知識表現と意思決定アルゴリズム
10.1 知識表現
 10.1.1 世界表現
 10.1.2 オブジェクト表現
 10.1.3 記憶表現
 10.1.4 アクション表現,意思決定,結果表現
10.2 八つの意思決定アルゴリズム
 10.2.1 ステートベース
 10.2.2 ルールベース
 10.2.3 ビヘイビアベース
 10.2.4 ユーティリティベース
 10.2.5 ゴールベース
 10.2.6 タスクベース
 10.2.7 シミュレーションベース
 10.2.8 ケースベース

11. ナビゲーションAI
11.1 ナビゲーションメッシュとウェイポイント
11.2 ダイクストラ探索法とA*パス検索
11.3 地形解析
11.4 戦術位置検索
11.5 影響マップ
11.6 社会的空間

12. 学習・進化アルゴリズムの応用
12.1 統計による学習
12.2 ニューラルネットワーク
12.3 遺伝的アルゴリズム
12.4 ゲーム進化アルゴリズム
12.5 強化学習
12.6 プレーヤのデータから学ぶ

エピローグ
第Ⅲ部の参考図書
第Ⅲ部の引用・参考文献

索引

【レビュー】

書評

 ゲーム情報学というのはゲームを対象とした(広い意味での)情報処理の研究領域である。「ゲーム情報学」という名称ができたのは1999年に情報処理学会で研究会を立ち上げたときなので、まだ20年程度しか経っていない若い領域である。人工知能のスタートはチェスの研究から始まりチェスを対象として数多くの貴重な成果が得られマッカーシーは「チェスは人工知能のハエ」と言った。ハエを対象とした研究で遺伝学が格段に進歩したように人工知能もチェスを対象とした研究で各段に進歩したということである。しかし日本ではゲームは遊びと見なされてゲームを対象とした研究が疎外される時期が長く続いた。日本は人工知能の研究で世界に出遅れたのだが、その理由の一つにゲーム研究の軽視があったのである。
 日本には将棋と囲碁(囲碁は中国発祥のゲームだが今のように発展したのは日本である)という貴重なゲームがあるので、それを対象とした研究をしない手はないということで遅ればせながらゲーム情報学という名称を冠した研究領域を立ち上げた(もっともらしい学問の名前をつけないと認められなかった)。それから20年でようやく体系化にこぎつけることができたのが本書である。伊藤氏が思考ゲームの認知科学的な側面を、保木氏が思考ゲームの情報科学的な側面を、そして三宅氏が最近日本でも盛んになってきたデジタルゲームへの応用を説明している。これまで日本でゲームを研究対象としたくても基本文献が存在しなかったのだが、これからは本書を推薦できる。ゲームの研究を進める上での基礎を本書でぜひ学んでほしい。たとえば意外と敷居が高いゲーム理論(たとえば「ナッシュ均衡」など)の基礎についても学ぶことができる。本書が出版されたことは今後のゲーム情報学の発展のためにとてもうれしいことである。ゲームのプログラムに興味をもったらぜひ最初にこの本を手に取ってほしい。
松原 仁(公立はこだて未来大学)

在庫は時期によりまして変動することがございますので、ご了承ください。