生体計測装置学入門

生体計測装置学入門

検体検査の主要な対象となる血液,体液,酵素などの生理的な役割とその動態・成分の測定技術,およびそれらに関連する測定装置を解説,またそれらの測定結果を活用しているいくつかの治療器について説明している。

ジャンル
発行年月日
2004/11/15
判型
B5
ページ数
154ページ
ISBN
978-4-339-07085-9
生体計測装置学入門
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定価

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検体検査の主要な対象となる血液,体液,酵素などの生理的な役割とその動態・成分の測定技術,およびそれらに関連する測定装置を解説,またそれらの測定結果を活用しているいくつかの治療器について説明している。

今日の医用工学の分野に大きな発展をもたらしたW.Einthovenの心電図記録の発表(1903年)より15年後の1918年に,スウェーデンのR.Fahraeusが血沈法を考案し,赤血球の沈降速度から貧血,肺結核,肋膜炎などの診断に大きな効果をもたらすことにつながった。心電図のような生体電気現象の測定が生体内のあるがままの状態(invivo)で行われるのに対して,血沈は生体から試料(血液)を採取して試験管内で測定(invitro)するという検体検査であるところが大きな相違点である。検体検査はこの発見を契機に実用的な臨床検査法として広く利用されていくことになった。

検体検査は血液,体液,酵素などの成分分析を対象にしている。分析法には応答速度の遅い測定法が多く含まれているが,最近ではコンピュータ技術の活用によって多種類で大量の情報を高速で処理する機能をもった装置が開発され,普及している。分析法には化学的,電気化学的,光学的などの方法があり,invitroな測定法が主体的であるが,生体から直接に連続的,即時的に分析するinvivoな方法もある。血液中のガス成分測定や呼気中のガス分圧測定がそのよい例である。

生体計測は,生体電気現象測定や高速度コンピュータを駆使した最新の画像診断装置(超音波画像測定装置,X線CT,MRI,内視鏡など)のような無侵襲な測定だけでなく,侵襲的な血流・血圧測定や無侵襲ではあるが物理的な呼吸機能測定を含む検体検査がある。検体検査の情報は血流と密接に関係しているので,血行動態,呼吸機能を把握しつつ検体検査の成果を活用している。このことは人工呼吸器,麻酔器,人工心肺装置,人工透析器などの治療器の機能と十分に関係する事柄である。

ここでは,生体計測の中の検体検脊を中心に,初歩的ではあるが基本的な内容の紹介を目指している。具体的には,血行動態にかかわる血圧・血流測定法,血液成分に関与する呼吸機能とガス成分の測定法および各種検体検査の測定法について触れ,ここで得られる情報が治療器にも活用されていることに着目してみたい。

2004年9月
木村雄治

目次 

1. 血液循環
 1.1 血流測定
  1.1.1 血流の成分と働き
  1.1.2 血管の働き
  1.1.3 内皮細胞の作用
  1.1.4 電磁血流計
  1.1.5 超音波ドップラ式血流計
  1.1.6 超音波トランジットタイム式血流計
 1.2 観血血圧測定
 1.3 脈波伝播と動脈硬化

2. 呼吸の作用
 2.1 呼吸機能
  2.1.1 換気
  2.1.2 分布
  2.1.3 拡散
 2.2 力学的インピーダンス測定
  2.2.1 自然呼吸と呼吸インピーダンス
  2.2.2 換気機能測定
 2.3 電気的インピーダンス測定
  2.3.1 呼吸モニタ
  2.3.2 新生児呼吸モニタの重要性
  2.3.3 心拍出量の測定
 2.4 呼気ガス分析
  2.4.1 サンプリング法
  2.4.2 O2分析装置
  2.4.3 CO2分析装置(カプノメータ)
  2.4.4 呼気ガスの波形測定と誤差の要因
  2.4.5 呼気ガス連続波形の測定例
 2.5 呼吸と運動
  2.5.1 無酸素運動と有酸素運動
  2.5.2 肺機能の測定
  2.5.3 体力の増進

3. 血液成分
 3.1 血液ガス分析
  3.1.1 血液によるガス(O2,CO2)運搬
  3.1.2 クラーク電極式O2分析器
  3.1.3 シェベリングハウス電極式CO2分析器
  3.1.4 pH測定
  3.1.5 経皮血液ガスモニタ
  3.1.6 パルスオキシメータ
 3.2 自動血球分析
  3.2.1 血球の種類
  3.2.2 測定原理
  3.2.3 自動分析装置の例
 3.3 バイオセンサ
  3.3.1 グルコースセンサ
  3.3.2 ISFET
  3.3.3 酵素FET
 
4. 血液の化学分析
 4.1 分光分析
  4.1.1 分光光度法
  4.1.2 蛍光分光光度計
  4.1.3 原子吸光分光光度計
  4.1.4 炎光分光光度計
 4.2 イオン選択性電極分析
 4.3 ドライケミストリー
 4.4 電気泳動法
 4.5 クロマトグラフィ
  4.5.1 分離法
  4.5.2 定性と定量
  4.5.3 液体クロマトグラフィの体液成分分析法
 4.6 自動化学分析装置
  4.6.1 ディスクリート方式
  4.6.2 円形マルチセル方式
  4.6.3 自動検査システム
 4.7 尿検査装置
  4.7.1 乾式尿分析器
  4.7.2 浸透圧測定器
  4.7.3 尿沈自動測定装置

5. 血液成分交換を中心にした治療器
 5.1 人工呼吸器
  5.1.1 人工呼吸器の構造
  5.1.2 換気モードと自発呼吸
 5.2 人工透析装置
  5.2.1 腎機能の巧妙さ
  5.2.2 人工透析の原理と装置の構成
 5.3 高気圧酸素治療
  5.3.1 高気圧酸素と血液酸素含有量
  5.3.2 高気圧酸素治療装置
  5.3.3 治療の対象症例
  5.3.4 合併症発生の危惧
  5.3.5 安全性の確保
 5.4 人工心肺装置
  5.4.1 装置の構成
  5.4.2 血液ポンプ
  5.4.3 人工肺
  5.4.4 動脈フィルタ
  5.4.5 生体情報モニタ

引用・参考文献
索引

木村 雄治(キムラ ユウジ)