株式会社コロナ社

シリーズ システム・制御のニューフロンティア

  • twitter
  • facebook
  • line

2025.11.13 更新

シリーズ発行のことば

 21 世紀も四半世紀を終え,人工知能やロボティクス,通信ネットワークなどの科学技術はかつてない速度で進化を続けています。これらの情報技術の爆発的な発展とともに,地球規模での自然環境の激変や社会構造の多様化と複雑化は,我々が直面する課題を大きく変容させました。このような状況下において,システム・制御の学問は,新たなフロンティアを開拓し続けています。
 前世紀に発展した古典的なシステム・制御理論は,おもに物理法則に基づくモデル化と解析・設計を中心として発展してきました。しかし,現代社会におけるシステムは,人間,社会,経済,環境など,多様な要素が複雑に絡み合い,物理モデルのみに立脚した古典的手法では捉えきれない側面を多く持ちます。
 本「シリーズシステム・制御のニューフロンティア」は,このような認識に基づき,既存の枠組みを超えた新しいシステム・制御の学問体系を構築することを目的としています。具体的には,以下の四つのカテゴリにおいて,最新の研究成果と将来展望を提示します。

 【カテゴリA:新しいシステム・制御の基礎理論】
 サイバーフィジカルシステムや人間社会の中でのシステムなど,現代的なシステムを扱うための新たな基礎理論の枠組みを展開します。
 【カテゴリB:システムの知能】
 人工知能とシステム制御理論が融合した新しいシステム設計論を探求します。
 【カテゴリC:システムの身体性】
 身体と環境のダイナミクスとそれに基づく知能の構成を目指し,物理世界と相互作用するシステムの制御メカニズムを探求します。
 【カテゴリD:人間社会におけるシステム・制御】
 社会科学や経済学,心理学など人文社会系の視点を取り入れた,人間社会におけるシステムの解析や設計について最新の理論を紹介します。

 本シリーズは,大学院生,研究者,そしてシステム・制御に関心を持つすべての皆様を対象としています。各巻は,第一線の研究者によって執筆され,最新の研究成果,未解決問題,将来展望を網羅的に解説しています。本シリーズが,システム・制御の新たな地平を切り拓く一助となることを願ってやみません。
 それではともに,システム・制御のニューフロンティアへと踏み出しましょう!

 2025年8月

「シリーズシステム・制御のニューフロンティア」編集委員会

編集委員

編集委員長

永原正章(広島大学)

編集委員(五十音順)

河島茂生(青山学院大学)
谷口忠大(京都大学)
望山 洋(筑波大学)

(所属は2025年8月現在)

シリーズラインナップ

    カテゴリA:新しいシステム・制御の基礎理論

  • システムとサイバネティクスの思想(西田洋平 編著/下西風澄・廣田隆造・橋本 渉・新倉貴仁・河井延晃・椋本 輔 共著)
  • ネットワークシステム入門(Francesco Bullo著/永原正章・河野 佑 共訳)
  • モデル予測制御入門(永原正章 著)
  • 臨床システムズ・アプローチ - 人を含んだシステム科学に向けて -(椹木哲夫 著)
  • カテゴリB:システムの知能

  • 深層学習と状態空間モデルによる推定と制御(鈴木雅大 著)
  • マルチモーダル概念形成と記号創発ロボティクス(中村友昭 著)
  • ロボットによる場所概念の形成と活用(谷口 彰 著)
  • コミュニケーションロボットと協力の理論(岩橋直人 著)
  • カテゴリC:システムの身体性

  • C-1 身体性知能とシステム・制御(大脇 大・福原 洸・増田容一 共著)
  • C-2 自律的行動創発システムと身体性 - 機械獣の構成論 -(吉田尚人 著)
  • ダイナミクス・リテラシー(望山 洋・河合 新・河本浩明・坪内孝司・藪野浩司・伊達 央・グエン ヴァン チエト 共著)
  • ソフトロボティクス入門(望山 洋 著)
  • カテゴリD:人間社会におけるシステム・制御

  • 社会のなかの工学的技術と倫理(高橋利枝・原島大輔・成原 慧・河井大介・板倉陽一郎・河島茂生 共著)
  • まちづくりのための電力システム制御(和佐泰明 著)
  • ネットワークシステムの分散協調制御(畑中健志・舩田 陸 共著)
  • 社会実装のためのメカニズムデザイン(石川竜一郎 著)

システム・制御のニューフロンティアseriesC-1

身体性知能とシステム・制御

  • 大脇 大・福原 洸・増田容一 共著
  • A5サイズ/330頁
  • 定価5,940円(本体5,400円+税)
  • ISBN 978-4-339-03401-1

身体性知能が個体の振る舞いのみならず,マルチスケールな現象にも通底することを示す。

NEW
身体性知能とシステム・制御
  • 大脇 大・福原 洸・増田容一 共著
  • A5サイズ/330頁
  • 定価5,940円(本体5,400円+税)
  • ISBN 978-4-339-03401-1
読者対象
・本書は、工学系の大学院生・学部生、ロボット工学や制御工学、関連分野に関心を持つ研究者・技術者を幅広く対象としています。
・多様な事例を通じて「身体性」の概念を理解し、実践的に活用できる内容となっています。
・章ごとに完結した構成で、独学でも理解しやすく、関心のあるトピックから自由に読み進められます。
書籍の特徴
・『身体性知能とシステム・制御』は、「身体性」という視点から知能を再定義する新たな工学的パラダイムに基づく体系的な入門書です。
・「身体性知能(Embodied Intelligence)」の考え方を基盤に、制御工学やロボティクスと融合させることで、知能設計や運動制御にどのように応用できるかを具体例とともに解説します。
・シミュレーションコードをGitHubやWebアプリで公開し、理論(力学モデル・数理モデル)だけでなく、動作観察や実験を通じて「身体性知能」の本質を体感できる構成としています。

【各章について】

1章では、身体性に立脚した知能の概念・起源・歴史を踏まえ、本書の目的と全体像を示します。
2章では、「骨格」を基盤に創発する知能システムとして受動歩行現象を解説します。
3章では、「アクチュエータ」を基盤に創発する知能システムとして無脳ロボットの事例を紹介します。
4章では、「神経系」を基盤に創発する知能システムとして、Central Pattern Generator(CPG)による多脚ロボット制御を取り上げます。
5章では、「異なる身体部位の協調」に基づく全身協調運動の発現原理と設計法を解説します。
6章では、「個体間相互作用」に基づく群知能システムを紹介します。
7章では、2〜6章の事例を整理し、身体性に基づく設計・制御の要点をまとめます。
8章では、関連分野の最新トピックや今後の展望を示し、全体のまとめとします。
目次
1.身体性に立脚した知能の概念と本書の目的
1.1 知能,身体性,身体性に立脚した知能とは? 
 1.1.1 知能とは? 
 1.1.2 身体性,身体性に立脚した知能とは? 
1.2 身体性の起源と歴史的背景 
1.3 本書の目的 
章末問題

2.受動歩行と身体性
2.1 脚式ロコモーションの特徴と意義 
 2.1.1 脚式ロコモーションとは? 
 2.1.2 脚式ロコモーションと生物規範ロボティクス 
 2.1.3 脚式ロコモーションにおける受動歩行研究の位置づけ 
2.2 受動歩行とは? 
 2.2.1 工学的意義 
 2.2.2 非線形力学現象としての受動歩行 
 2.2.3 受動歩行にみられる制御構造 
 2.2.4 受動走行,四脚受動歩行,多脚受動歩行 
2.3 受動歩行のモデル化 
 2.3.1 歩行運動の力学 
 2.3.2 片脚支持期の運動方程式 
 2.3.3 両脚支持期の切り替え方程式 
2.4 受動歩行のシミュレーション 
 2.4.1 定常歩行 
 2.4.2 分岐現象(環境適応性) 
 2.4.3 リミットサイクル歩行 
 2.4.4 身体特性の影響 
 2.4.5 吸引領域(初期値依存性) 
2.5 受動歩行の安定性解析 
2.6 受動歩行に内在する安定化構造 
2.7 力学系としての受動歩行現象 
2.8 演習:受動歩行モデルのシミュレーション 
 2.8.1 シミュレーションの概要 
 2.8.2 メインプログラムの構成 
 2.8.3 Streamlitを用いたWebアプリ 
章末問題

3.アクチュエータ特性から生じる運動知能
3.1 ロボットの運動におけるアクチュエータの硬さと柔らかさ 
 3.1.1 アクチュエータのさまざまな柔らかさ 
 3.1.2 ロボットのアクチュエータ 
 3.1.3 脚ロボットのアクチュエータ 
3.2 モータの電気的受動特性から生じる運動パターン 
 3.2.1 モータに備わる電気的受動特性 
 3.2.2 電気的受動特性が制御則になっている 
 3.2.3 電気的受動特性から生じる周期運動の安定化現象 
 3.2.4 1自由度跳躍ロボットのモデリング 
 3.2.5 バネ質点系における複数モータの同期および運動遷移現象 
 3.2.6 無脳ロボットにおける複数モータの同期および歩容遷移現象 
3.3 動物の筋肉における柔らかさ 
 3.3.1 動物のサイズと柔らかさの関係 
 3.3.2 動物の多様な筋特性 
 3.3.3 筋肉の配置 
 3.3.4 動物解剖について 
 3.3.5 筋肉のモデルとロボットへの実装法 
 3.3.6 動物の筋肉と人工筋 
 3.3.7 人工筋の入手について 
章末問題

4.脚式移動ロボットの身体性に基づく脚協調制御
4.1 多種多様な歩行パターンを発現する四脚哺乳動物 
4.2 四脚動物の歩容生成を司る神経機構 
4.3 生物規範型四脚ロボット 
 4.3.1 Raibertのホッピングロボット 
 4.3.2 Tekken(鉄犬) 
 4.3.3 位相リセット法 
 4.3.4 EPFLの四脚ロボット 
4.4 身体性に基づく脚間協調制御 
 4.4.1 脚間協調制御の設計指針 
 4.4.2 身体を介した力学的相互作用を活用する脚間協調制御 
 4.4.3 Oscillexが示した歩容 
4.5 「手応え」制御としての再解釈 
 4.5.1 「手応え」,「手応え」制御とは? 
 4.5.2 四脚ロボットの脚間協調制御の再解釈 
4.6 六脚ロボットの手応え制御 
4.7 二脚ロボットの手応え制御 
4.8 「手応え」制御の設計方策 
4.9 演習:「手応え」制御のシミュレーション 
 4.9.1 メインプログラム`pyTegotaeCPG_odeint.py'   
 4.9.2 力学モデル`SMDwPO.py' 
 4.9.3 アニメーション`video_pyTegotaeCPG.py'   
 4.9.4 Streamlitを用いたWebアプリ`streamlit_pyTegotaeCPG.py' 
章末問題

5.全身協調運動にみるシステムのつなぎ方
5.1 脚の協調運動から全身の協調運動へ 
5.2 動物の全身をめぐる動き 
 5.2.1 脊椎動物の全身運動 
 5.2.2 無脊椎動物の全身運動 
5.3 機械的接続に着目したシステム設計 
 5.3.1 体幹の受動的屈曲による脚部・体幹部の協調運動の実現 
 5.3.2 機構的な連動による脚部・体幹部の協調運動の実現 
5.4 制御的接続に着目したシステム設計 
 5.4.1 チーター様走行におけるフィードフォワード制御モデル 
 5.4.2 チーター様走行における反射の連鎖モデル 
 5.4.3 チーター様走行におけるセンサフィードバック制御モデル 
 5.4.4 サンショウウオ・ムカデ様の歩行・遊泳における運動遷移制御モデル 
5.5 身体部位間の調和的協調運動を生み出すシステムのつなぎ方 
 5.5.1 動物にみる機械系・制御系の統合様式 
 5.5.2 身体部位の基本となる運動様式の設計 
 5.5.3 身体部位間の接続様式の設計 
 5.5.4 全身運動を引き出す条件づけの設計 
章末問題

6.群れシステムと身体性,多様な相互作用のあり方
6.1 個体の動きから群れの動きへ 
6.2 自己駆動粒子によって形成される群れシステム 
 6.2.1 Boid 
 6.2.2 群れシステムの柔軟な振る舞いを生み出すポイント 
 6.2.3 群れシステムにおける身体性とは? 
6.3 情報伝達物質を活用した群れシステム 
 6.3.1 フェロモンを活用した餌場選択と確率的表現 
 6.3.2 フェロモンを活用した多様な蟻道パターンの形成 
 6.3.3 フェロモンを活用した構造物形成 
 6.3.4 情報伝達物質を介した相互作用の設計 
6.4 自律個の身体的特徴を活用した群れシステム 
 6.4.1 エージェントの物理的接触と犠牲を活用した群れシステム 
 6.4.2 エージェントの身体の柔軟性を活用し環境を切り拓く群れシステム 
 6.4.3 選択的相互作用を可能とする身体と群れシステム 
 6.4.4 身体の物理的接触を介した相互作用の設計 
6.5 群れシステムにおける身体性と相互作用の方向づけ 
章末問題

7.身体性に基づくシステム・制御の将来展望
7.1 身体性に基づく知能システムの設計・制御の体系化 
7.2 身体性に基づく知能システム設計の心得 
7.3 将来展望 
 7.3.1 陰陽制御 
 7.3.2 環世界:生物からみた世界 
 7.3.3 弱いロボット 
 7.3.4 サイボーグ:生物の人工物化 
 7.3.5 さまざまな刺激-応答性の活用 
 7.3.6 大規模言語モデル(LLM)と身体性 

8.1~7章の概要

付録
A.1 関連する必須の概念 
 A.1.1 一般化フレーム問題(generalized frame problem) 
 A.1.2 アフォーダンス(affordance) 
 A.1.3 創発(emergence) 
 A.1.4 自己組織化(self-organization) 
 A.1.5 オートポイエーシス(autopoiesis) 
 A.1.6 参照フレーム問題(The frame of reference problem) 
 A.1.7 サイモンの浜辺のアリ(Simon's beach ants) 
 A.1.8 包摂アーキテクチャ(subsumption architecture) 
 A.1.9 感覚運動協調(sensor-motor coordination) 
 A.1.10 構成論的手法(synthetic approach) 
 A.1.11 人間機械論(cybernetics) 
 A.1.12 身体性認知科学(embodied cognitive science) 
 A.1.13 人工生命(artificial life) 
 A.1.14 進化ロボティクス(evolutionary robotics) 
 A.1.15 生物規範ロボティクス(bio-inspired robotics) 
 A.1.16 モーフォロジカルコンピュテーション(morphological computation) 
 A.1.17 ソフトロボティクス(soft robotics) 
 A.1.18 ロボティクス規範生物学(robotics-inspired biology) 
A.2 マイルストーンとなる研究事例 
 A.2.1 ブライテンベルク・ビークル(Braitenberg vehicles) 
 A.2.2 スイスロボット:掃除するDidabot 
 A.2.3 Brooksのロボット:Myrmix,Ghengis,Cog 
 A.2.4 受動歩行機械(passive dynamic walker) 
 A.2.5 群知能を示すBoidモデル(Boid model) 
 A.2.6 進化する仮想生物(evolving virtual creature) 
 A.2.7 モジュラーロボット(modular robots),群ロボット(swarm robots) 
 A.2.8 物理リザバー計算(physical reservoir computing) 
A.3 関連する国内外の研究プロジェクト 
 A.3.1 自律分散システム(1990~1992年度) 
 A.3.2 創発システム(1995~1997年度) 
 A.3.3 移動知(2005~2009年度) 
 A.3.4 浅田共創知能システムプロジェクト(2005~2010年度) 
 A.3.5 Locomorph(2009~2013年) 
 A.3.6 OCTOPUS(2009~2013年) 
 A.3.7 身体性システム科学(2014~2018年度) 
 A.3.8 ソフトロボット学(2018~2022年度) 

引用・参考文献
あとがき
謝辞
索引
more
著者からのメッセージ
「知能とは何か?」という問いに対して、本書は従来の情報処理中心の枠組みを越え、「身体を介した環境との相互作用こそが知能をかたちづくる」という身体性知能(Embodied Intelligence)の視点から挑みます。本書では、受動歩行やアクチュエータ、多脚歩行制御、群ロボットなど、多様な実例を通して「身体性知能」の核心に迫ります。理論にとどまらず、シミュレーションコードや実験も豊富に紹介し、「読んで終わり」ではなく「試して体感できる」構成にこだわりました。新しい知能のかたちを探求したい学生・研究者・技術者の皆さんに、きっと新たな発見と刺激をお届けできると信じています。
キーワード
身体性、身体性知能、受動歩行、無脳ロボット、CPG、全身協調、群知能

システム・制御のニューフロンティアseriesC-2

自律的行動創発システムと身体性- 機械獣の構成論 -

  • 吉田尚人 著
  • A5サイズ/236頁
  • 予定価4,290円
  • ISBN 978-4-339-03402-8

ロボットにおける恒常性という観点に基づく行動創発を構成論的に追求した。

Coming soon
自律的行動創発システムと身体性
  • 吉田尚人 著
  • A5サイズ/236頁
  • 予定価格4,290円
  • ISBN 978-4-339-03402-8
書籍の特徴
ロボットにおける恒常性という観点に基づく行動創発を構成論的に追求。エージェントが身体の内部状態を保つための行動最適化という技術を扱い,外在的に定められた意味や目的を持たない生活体としての自律機械を機械獣と呼び解説。
目次 ☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.はじめに
1.1 無目的なロボット 
1.2 恒常性に基づく自律ロボットの行動統合とその生成 
1.3 サイバネティクスから計算論的神経科学へ 

2.人工システムにおける生存
2.1 恒常性の概念 
2.2 Ashbyの超安定システム  
2.3 先行研究におけるシミュレーション・エージェントの生存・恒常性  
 2.3.1 動物行動学に基づくアプローチ  
 2.3.2 人工生命・神経モデリング・進化計算に基づくアプローチ  
 2.3.3 認知アーキテクチャ・汎用人工知能のアプローチ  
 2.3.4 計算論的神経科学におけるアプローチ  
2.4 先行研究ににおける自律ロボットの生存・恒常性  
 2.4.1 WAMOEBAシリーズ  
 2.4.2 動物行動学からのアプローチ・Animatアプローチ  
 2.4.3 身体性認知科学・自律エージェント設計からのアプローチ  
 2.4.4 強化学習に基づくアプローチ  
 2.4.5 ヒューマンロボットインタラクションからのアプローチ  
2.5 背景研究を踏まえた本研究の立場  
2.6 オートポイエーシスの自律性の議論と本研究の関係,および関心領域 

3.強化学習
3.1 エージェント・環境相互作用モデル  
3.2 MDPのダイナミクスと期待報酬  
3.3 価値関数・行動価値関数と最適方策  
3.4 MDPにおいてMarkov方策を用いる正当性  
3.5 方策勾配に基づく強化学習  
3.6 アクター・クリティックアーキテクチャ  
3.7 価値関数・アドバンテージ関数の推定  
3.8 一般化アドバンテージ推定  
3.9 深層強化学習  
 3.9.1 深層学習の概要  
 3.9.2 深層強化学習  
 3.9.3 近接方策最適化法  

4.恒常性強化学習
4.1 既存の恒常性に基づく動機づけ行動メカニズムに関する問題点  
4.2 恒常性強化学習:恒常性+強化学習  
4.3 恒常性強化学習の定式化  
4.4 関連するアプローチ  
4.5 内受容感覚の模倣学習としての恒常性強化学習  
4.6 認知発達ロボティクスにおける動機づけシステムの観点からの位置づけ 
4.7 強化学習におけるタスク統合問題との関係  
4.8 恒常性強化学習の応用における既存の問題  

5.深層恒常性強化学習
5.1 ニューラルホメオスタット  
 5.1.1 低次元入力ニューラルホメオスタットの構成  
 5.1.2 画像入力ニューラルホメオスタットの構成  
 5.1.3 最適化の詳細とハイパーパラメータ  
 5.1.4 深層恒常性強化学習における終端状態の扱い  
 5.1.5 恒常性報酬と報酬の基本設定  
5.2 先行研究における恒常性報酬  
 5.2.1 基礎恒常性報酬  
 5.2.2 バイアス恒常性報酬  
 5.2.3 カートポール報酬  
5.3 報酬補正と補正恒常性報酬の関係  
5.4 実験の概要  
5.5 実験1:連続モーター制御による2資源環境(TRP)  
 5.5.1 連続モータ制御条件下での恒常性による採餌行動の獲得  
 5.5.2 恒常性は採餌に対する報酬のみでは獲得されない  
 5.5.3 内受容固定法による行動解析  
5.6 実験2:体温調節環境(thermal)でのエネルギーと体温の同時制御  
 5.6.1 連続モータ制御条件下での恒常性による体温制御・採餌行動の同時獲得 
 5.6.2 内受容固定法による体温制御エージェントの行動解析  
5.7 実験3:カメラ画像入力を用いたTRP環境  
 5.7.1 深層恒常性強化学習の高次元環境でのスケール性の実証  
 5.7.2 内受容感覚に依存した視覚顕著性  
 5.7.3 ニューラルホメオスタットの内部表現  
5.8 個体性の発現:個別のエージェントの運動傾向  
5.9 探索行動の創発可能性  

6.機械獣の構成
6.1 なぜロボットを作るのか?  
6.2 機械獣の構成へのアプローチ  
6.3 機械獣のハードウェア構成  
6.4 機械獣の充電条件と実験手順  
6.5 出力の構成  
6.6 観測情報の構成  
 6.6.1 内受容感覚の構成Ⅰ:平均モータ温度の定義  
 6.6.2 内受容感覚の構成Ⅱ:正規化エネルギー  
6.7 シミュレータの構成  
 6.7.1 機械獣・外部環境の動力学シミュレーション  
 6.7.2 シミュレーションに対する実ロボットの遅延の評価  
 6.7.3 内部ダイナミクスのモデリングⅠ:モータ温度  
 6.7.4 パラメータフィッティング  
 6.7.5 内部ダイナミクスのモデリングⅡ:バッテリー・正規化エネルギー  
6.8 深層恒常性強化学習による行動最適化  
6.9 機械獣の成立  
 6.9.1 ハードリセットに伴う温度降下の影響  
 6.9.2 温度恒常性を含まない場合の体温変化  
6.10 内受容感覚を固定することで確認された行動特性  
 6.10.1 ナビゲーション行動の創発  
 6.10.2 モータ温度に応じた活動制御  
 6.10.3 全体的な行動戦略の可視化  

7.機械獣研究の展開
7.1 恒常性強化学習特有の性質に着目したネットワーク構造  
 7.1.1 内受容行動切替え機構・内受容 Mixture of Experts  
 7.1.2 ベンチマーク環境  
 7.1.3 結果  
7.2 恒常性を原理とした動物行動のモデリング  
 7.2.1 栄養の幾何学的アプローチと長期的な栄養摂取パターン  
 7.2.2 対応する代謝ダイナミクスの想定  
 7.2.3 GFN解析に基づく行動解析  
 7.2.4 動因の重み付けに応じた採餌傾向の変化  
7.3 予測制御としてのアロスタシス  
 7.3.1 最小アロスタシスモデルの構成  
 7.3.2 最小アロスタシスモデルの応答  
7.4 恒常性に基づく動機づけが持つ行動創発能力の可能性  
 7.4.1 Homeostatic Crafter  
 7.4.2 Homeostatic Crafterでの深層恒常性強化学習の概要  
 7.4.3 恒常性から創発した複雑な手続きを持つふるまい  

8.おわりに
8.1 本書の限界と展望  
8.2 超長期での活動可能な完全自律認知発達ロボットに向けて  
8.3 パーソナルロボットの多様性と機械獣  
8.4 機械獣の幸福  

付録 定理の証明
引用・参考文献
索引
more
株式会社 コロナ社