株式会社コロナ社

次世代信号情報処理シリーズ

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2022.1.22 更新

シリーズ刊行のことば

 信号処理とは,音声,音響,画像,電波など,連続する数値や連続波形が意味を持つデータを加工する技術です。現代のICT社会・スマート社会は信号処理なしには成り立ちません。スマートフォンやタブレットなどの情報端末はコンピュータ技術と信号処理技術が見事に融合した例ですが,私たちがその存在を意識することがないほど,身の回りに浸透しています。さらには,応用数学や最適化,また統計学を基礎とする機械学習などのさまざまな分野と融合しながらさらに発展しつつあります。

 もともと信号処理は回路理論から派生した電気電子工学の一分野でした。抵抗,コンデンサ,コイルを組み合わせると,特定の周波数成分を抑制できるアナログフィルタを構成できます。アナログフィルタ技術は電子回路と融合することで能動フィルタを生み出しました。そしてディジタル回路の発明とともに,フィルタもディジタル化されました。一度サンプリングすれば,任意のフィルタをソフトウェアで構成できるようになったのです。ここに「ディジタル信号処理」が誕生しました。そして,高速フーリエ変換の発明によって,ディジタル信号処理は加速度的に発展・普及することになったのです。

 ディジタル技術によって,信号処理は単なる電気電子工学の一分野ではなく,さまざまな工学・科学と融合する境界分野に成長し始めました。フィルタのソフトウェア化は,環境やデータに柔軟に適応できる適応フィルタを生み出しました。信号はバッファリングできるようになり,画像信号はバッチ処理が可能になりました。そして,線形代数学や統計学を柔軟に応用することで,テレビやカメラに革命をもたらしました。もともと周波数解析を基とする音声処理技術は,ビッグデータをいち早く取り込み,人工知能の基盤技術となっています。電波伝送の一分野だった通信工学は,通信のディジタル化によって信号処理技術なしには成り立たないうえ,現代のスマート社会を支えるインフラとなっています。このように,枚挙に暇がないほど,信号処理技術は社会における各方面での基盤となっているだけでなく,さまざまな周辺技術と柔軟に融合し新たなテクノロジーを生み出しつつあります。

 また,現代テクノロジーのコアたる信号処理は,電気・情報系における大学カリキュラムでは必要不可欠な科目となっています。しかしながら,大学における信号処理教育はディジタルフィルタの設計に留まり,高度に深化した現代信号処理からはほど遠い内容となっています。一方で,最新の信号処理技術,またその周辺技術を知るには,論文を読んだり,洋書にあたったりする必要があります。さらに,高度に抽象化した現代信号処理は,ときに高等数学をバックグラウンドにしており,技術者は難解な数学を学ぶ必要があります。以上のことが本分野へ参入する壁を高くしているといえましょう。

 これがまさに,次世代信号情報処理シリーズ“Next SIP”を刊行するに至ったきっかけです。本シリーズは,従来の伝統的な信号処理の専門書と,先端技術に必要な専門知識の間のギャップを埋めることを目的とし,信号処理分野で先端を走る若手・中堅研究者を執筆陣に揃えています。本シリーズによって,より多くの学生・技術者に信号処理の面白みが伝わり,さらには日本から世界を変えるイノベーションが生まれる助けになれば望外の喜びです。

2019年6月 次世代信号情報処理シリーズ監修 田中聡久

シリーズラインナップ

監修 田中聡久

以下続刊

  • 脳波処理とブレイン・コンピュータ・インタフェース―計測・処理・実装・評価の実際(東 広志・中西正樹・田中聡久 共著)
  • グラフ信号処理の基礎と応用―ネットワーク上データのフーリエ変換,フィルタリング,学習―(田中雄一 著)
  • 通信のための信号処理(林 和則 著)
  • 画像・音メディア処理のための深層学習―信号処理から見た解釈―(高道慎之介・小泉悠馬・齋藤真樹 共著)
  • 多次元信号・画像処理の基礎と展開(村松正吾 著)
  • 適応信号処理(湯川正裕 著)
  • コンピュータビジョン時代の画像復元(宮田高道・小野峻佑・松岡 諒 共著)
  • 生体情報の信号処理と解析―脳波・眼電図・筋電図・心電図―(小野弓絵 著)
  • 高能率映像情報符号化の信号処理―映像情報の特徴抽出と効率的表現―(坂東幸浩 著)
  • Python信号処理(奥田正浩・京地清介・杉本憲治郎 共著)
  • HDR信号処理(奥田正浩 著)
  • 音源分離のための音響信号処理(小野順貴 著)
  • 凸最適化とスパース信号処理(小野峻佑 著)
  • テンソルデータ解析の基礎と応用―情報のテンソル表現と低ランク近似―(横田達也 著)

次世代信号情報処理series1

信号・データ処理のための行列とベクトル- 複素数,線形代数,統計学の基礎 -

数学書と技術専門書の間を埋めることを目的とし,機械学習や最適化と密接につながる現代の信号処理の理解に必要な基礎数学を網羅

次世代信号情報処理シリーズ3 線形システム同定の基礎
  • 田中 聡久 著
  • A5サイズ/224頁
  • 定価3,630円 (本体3,300円+税)
書籍の特徴
ディジタルの時代には,信号は数ある「データ」の一種にすぎなくなり,これを適切に処理・解析するには,数学の知識がますます重要になってきています。特に,線形代数や統計学は重要で,その理解なしには研究開発が困難になるだけでなく,既存のアルゴリズムの理解や実装も難しいでしょう。
本書では,信号処理研究者として長年研究してきた筆者独自の視点で,機械学習や最適化と密接につながっている現代の信号処理を理解するために必要な基礎数学を網羅しました。
目次
1. 複素数
1.1 実数,虚数,複素数
1.2 複素数の演算
 1.2.1 共役
 1.2.2 複素数の加算
 1.2.3 複素数の乗算
 1.2.4 複素数の有理化と除算
1.3 複素数平面と極座標表示
 1.3.1 複素数平面
 1.3.2 極座標
 1.3.3 複素数演算の複素数平面における意味
1.4 フーリエ級数
 1.4.1 複素正弦波
 1.4.2 フーリエ級数
1.5 むすび
章末問題

2. ベクトル
2.1 ベクトルとは
2.2 ベクトルの基本演算
2.3 ベクトルの幾何的解釈
 2.3.1 和算
 2.3.2 スカラ積
 2.3.3 減算
 2.3.4 ベクトルの長さ
2.4 ベクトル空間
2.5 むすび
章末問題

3. 行列
3.1 行列の基本
 3.1.1 行列の考え方
 3.1.2 行列の定義
 3.1.3 行列の線形写像性
3.2 行列の基本演算
 3.2.1 行列の和
 3.2.2 行列の転置
 3.2.3 行列の積
 3.2.4 特別な行列
3.3 連立1次方程式と行列
 3.3.1 連立方程式の行列記法
 3.3.2 ガウスの消去法と階数
3.4 逆行列
 3.4.1 逆行列の定義
 3.4.2 2×2行列の逆行列
 3.4.3 逆行列の性質
 3.4.4 連立方程式の求解による逆行列の求め方
 3.4.5 ユニタリ行列
3.5 行列式
 3.5.1 行列式の定義
 3.5.2 行列式の性質
 3.5.3 逆行列と行列式
3.6 むすび
章末問題

4. 基底と部分空間
4.1 一次独立性と基底
 4.1.1 ベクトルの一次独立性
 4.1.2 基底
 4.1.3 基底の交換と展開係数
4.2 部分空間
 4.2.1 部分空間の定義
 4.2.2 部分空間どうしの関係
 4.2.3 行列により決まる部分空間
4.3 むすび
章末問題

5. 内積と直交性
5.1 内積とノルム
 5.1.1 ユークリッド空間
 5.1.2 正定値行列
 5.1.3 内積の公理
 5.1.4 ノルム
 5.1.5 内積とノルムの性質
 5.1.6 コサイン類似度
 5.1.7 さまざまな内積空間
5.2 正規直交基底とその応用
 5.2.1 正規直交展開
 5.2.2 ユニタリ行列
 5.2.3 正射影
 5.2.4 グラム・シュミットの正規直交化
 5.2.5 部分空間の直交性と直交補空間
5.3 ユークリッド空間への変換
5.4 むすび
章末問題

6. 固有値分解
6.1 固有値問題
 6.1.1 固有方程式,固有空間
 6.1.2 固有値・固有ベクトルの図形的意味
 6.1.3 固有値分解と対角化
6.2 エルミート行列の固有値問題
 6.2.1 固有値の実数性
 6.2.2 固有ベクトルの直交性と対角化
 6.2.3 固有値分解
 6.2.4 正定値行列と固有値
 6.2.5 行列平方根
6.3 一般化固有値問題
 6.3.1 一般化固有値分解
 6.3.2 エルミート行列の同時対角化
6.4 むすび
章末問題

7. 特異値分解,一般逆行列
7.1 特異値分解
 7.1.1 特異値と特異ベクトル
 7.1.2 特異値分解の導出
 7.1.3 特異値と特異ベクトルによる表現
 7.1.4 特異値分解は値域の正規直交基底を与える
7.2 一般逆行列
 7.2.1 ムーア・ペンローズ一般逆行列
 7.2.2 特異値分解による表現
 7.2.3 逆行列を介した表現
 7.2.4 一般逆行列による正射影の表現
 7.2.5 連立1次方程式の解
7.3 むすび
章末問題

8. 確率ベクトル
8.1 確率
 8.1.1 標本空間と事象
 8.1.2 確率の公理
 8.1.3 多変量の確率
8.2 確率密度関数と正規分布
 8.2.1 累積分布関数
 8.2.2 確率密度関数
 8.2.3 多変量の確率密度関数
 8.2.4 正規分布
8.3 平均と分散
 8.3.1 平均と期待値
 8.3.2 分散と共分散
 8.3.3 白色化
8.4 むすび
章末問題

9. パラメータの推定
9.1 最尤推定
 9.1.1 確率分布のパラメータ
 9.1.2 尤度関数
 9.1.3 正規分布の最尤推定
9.2 回帰モデルの最尤推定
 9.2.1 回帰分析
 9.2.2 最尤推定と最小2乗法
9.3 線形回帰の最小2乗法
 9.3.1 単回帰の2乗誤差関数
 9.3.2 重回帰の2乗誤差関数
 9.3.3 射影定理
 9.3.4 正規方程式と最小2乗解
9.4 主成分分析と次元削減
9.5 むすび
章末問題

付録:ベクトル・行列関数の微分
A.1 実数パラメータによる微分と最急降下法
 A.1.1 評価関数の微分
 A.1.2 最急降下法
A.2 全微分による勾配の求め方
 A.2.1 全微分
 A.2.2 トレース
 A.2.3 全微分を用いた微分計算例
A.3 複素数パラメータによる微分
A.4 むすび
章末問題

引用・参考文献
章末問題解答
索引
more
著者からのメッセージ
一般的に,数学書はとてもレベルが高く,現実の課題に直面している技術者,研究者にとっても難しく感じられます。また個別技術の専門書は,数学の解説が断片的で,知識の点と点がなかなかつながっていきません。
本書は,数学書と技術専門書の間を埋めることを目的としています。信号処理技術者や研究者,またこの分野に参入しようとしている大学生や大学院生が,高等学校の数学知識(プラスα)で読めるように配慮してあります。また,一通り大学初年度の数学を学んだものの,数年後に研究や開発で必要となったとき,どのように学び直したらいいのかわからない,という人でも理解しやすいように記述しました。
なお,本書では直接触れていませんが,プログラミング言語のPython やMATLAB を意識した表記や構成になっています。
キーワード
信号処理,データ処理,複素数,行列,ベクトル,確率,統計,Python,MATLAB

次世代信号情報処理series2

音声音響信号処理の基礎と実践- フィルタ,ノイズ除去,音響エフェクトの原理 -

音声・音響に関する信号処理技術を,現場ですぐに活用できる形で,かつ平易に解説する

次世代信号情報処理シリーズ2 音声音響信号処理の基礎と実践
  • 田中 聡久 監修/川村 新 著
  • A5サイズ/220頁
  • 定価3,630円 (本体3,300円+税)
書籍の特徴
信号処理の講義は,座学が中心であることに加え,信号処理の応用範囲が,音声,画像,電波など多岐にわたるため,信号処理の基礎理論と応用技術の関連性を受講者がイメージしにくい面がある。このような背景から,応用をイメージした信号処理の学習ができれば効果的であるという考えのもと,本書では音声・音響に焦点を絞り,信号処理の基礎理論と応用技術について,読者ができるだけ現場ですぐに活用できる形で,かつ平易に解説することを心がけて,以下の構成で執筆した。
1章では,音を題材として信号処理技術の基礎を復習する。最初に,ディジタルフィルタの基礎を解説し,低域通過フィルタ,高域通過フィルタ,帯域通過フィルタ,ノッチフィルタの設計方法を述べる。つぎに,ディジタル信号を分析する際に不可欠となる,離散フーリエ変換などの信号変換技術について解説する。さらに,音の信号処理で,頻繁に利用される窓関数とオーバラップ加算について説明する。
2章では,音声の発声原理について述べ,簡単な発声モデルとして音声の分析,合成に有用なソース・フィルタモデルを説明する。さらに,ソース・フィルタモデルを利用した,線形予測分とケプストラム分析について解説する。
3章では,音の周波数成分の時間的な変化を,視覚的に確認することができるスペクトログラムのつくり方について述べる。また,スペクトログラムの応用技術として,画像から音を生成する方法と,その適切な位相スペクトルの生成法,そして,音で任意のスペクトログラムを描画する方法について述べる。
4章では,STFT(短時間フーリエ変換)を用いた周波数分析に基づき,不要な信号を除去する方法について述べる。最初に,マイクロホンを一つとし,統計的性質が変化しないノイズを,音声から除去する方法を説明する。最も単純な方法として,スペクトル減算法を説明し,ついで,ウィーナーフィルタ,MAP(事後確率最大化)推定法について述べる。つぎに,マイクロホンを二つ用いて,二つの音声を分離する方法を説明する。ここでは,バイナリマスキングと呼ばれる単純な手法により,音源のスペクトルを分離する。
5章では,システム同定を題材として,適応アルゴリズムを導出する。さらに,適応フィルタのノイズ除去への応用について説明する。
6章では,エコーをはじめとする各種音響エフェクトの原理と実現方法について述べる。ここで取り上げた音響エフェクトの多くは,リアルタイム処理が可能である。それぞれ比較的簡単な処理で実現できるが,その原理について,理解しておくことは重要である。原理を理解しておけば,自在にアレンジできるので,音楽制作や,ボイスチェンジャなど,応用範囲が格段に広がる。
目次
1.音で復習する信号処理の基礎
1.1 ディジタル信号とフィルタ
 1.1.1 ディジタル信号
 1.1.2 確率信号の記述について
 1.1.3 ディジタルフィルタ
 1.1.4 フィルタの構成要素
 1.1.5 FIRフィルタとIIRフィルタ
 1.1.6 FIRフィルタのインパルス応答
1.2 FIRフィルタの設計
 1.2.1 直線位相FIRフィルタの設計
 1.2.2 低域通過フィルタ(LPF)の設計
 1.2.3 高域通過フィルタ(HPF)の設計
 1.2.4 帯域通過フィルタ(BPF)の設計
1.3 ノッチフィルタの設計
 1.3.1 IIRフィルタのインパルス応答
 1.3.2 IIRフィルタとFIRフィルタの接続
 1.3.3 オールパスフィルタ
 1.3.4 ノッチフィルタ
1.4 離散フーリエ変換
 1.4.1 z変換
 1.4.2 フィルタとz変換の関係
 1.4.3 離散時間フーリエ変換
 1.4.4 離散フーリエ変換
1.5 窓関数
 1.5.1 矩形窓
 1.5.2 ハン窓
 1.5.3 その他の窓関数
1.6 STFTとオーバラップ加算
 1.6.1 ハーフオーバラップ
 1.6.2 STFTの冗長性
 1.6.3 位相スペクトルの復元

2.発声モデル
2.1 ソース・フィルタモデル
 2.1.1 音声の発声の仕組み
 2.1.2 音源と声道フィルタ
 2.1.3 音声のソース・フィルタモデル
 2.1.4 微細構造とスペクトル包絡
 2.1.5 基本周期と基本周波数
2.2 線形予測分析
 2.2.1 予測誤差フィルタ
 2.2.2 音声の合成
 2.2.3 レビンソン・ダービンアルゴリズム
 2.2.4 フォルマント
2.3 ケプストラム分析
 2.3.1 ケプストラム
 2.3.2 スペクトル包絡

3.スペクトログラム
3.1 スペクトログラムの生成
 3.1.1 オーバラップとスペクトログラム
 3.1.2 スペクトログラムの行列表現
3.2 スペクトログラムからの音合成
 3.2.1 位相スペクトルによる合成音の違い
 3.2.2 反復位相復元
3.3 画像の音変換
 3.3.1 画像音響変換
 3.3.2 画像からの合成音生成
 3.3.3 合成音のスペクトログラム
 3.3.4 オーバラップを含む場合の合成音
 3.3.5 ISTFT以外でつくる画像の音
3.4 音で画像を描く
 3.4.1 垂直線の描画
 3.4.2 水平線の描画
 3.4.3 点の描画

4.周波数分析に基づくノイズ除去
4.1 単一マイクロホンによるノイズ除去システム
 4.1.1 スペクトルゲインによるノイズ除去
 4.1.2 スペクトル減算法
 4.1.3 ウィーナーフィルタ
 4.1.4 判定指向法
4.2 事後確率最大化によるノイズ除去
 4.2.1 事後確率
 4.2.2 MAP推定法
 4.2.3 MAP推定によるウィーナーフィルタの導出
 4.2.4 その他のMAP推定によるスペクトルゲイン
 4.2.5 ノイズ除去結果の比較
4.3 音源の分離
 4.3.1 音源位置と観測信号の関係
 4.3.2 会話音声の性質
 4.3.3 バイナリマスキング

5. 適応フィルタ
5.1 システム同定
 5.1.1 システム同定の構成
 5.1.2 評価関数の設定
 5.1.3 フィルタ係数の最適値
 5.1.4 適応アルゴリズム
 5.1.5 最急降下法
 5.1.6 LMSアルゴリズム
 5.1.7 NLMSアルゴリズム
5.2 フィードバックキャンセラ
 5.2.1 音のループが生じる環境
 5.2.2 エコーキャンセラ
 5.2.3 フィードバックキャンセラ
5.3 適応線スペクトル強調器
 5.3.1 適応線スペクトル強調器の原理
 5.3.2 ALEによる音声の白色雑音除去
 5.3.3 ALEによる音声の正弦波ノイズ除去
5.4 突発ノイズ除去
 5.4.1 正弦波に対する線形予測
 5.4.2 線形予測器による正弦波信号の補間
 5.4.3 音声の突発ノイズ除去

6.音響エフェクト
6.1 エコー
 6.1.1 エコーの定式化
 6.1.2 ディレイ
 6.1.3 リバーブ
6.2 正弦波の乗算によるボイスチェンジャ
 6.2.1 正弦波の乗算
 6.2.2 正弦波乗算の効果
 6.2.3 折り返し歪みの影響
 6.2.4 音声に正弦波を乗じた結果
6.3 リングバッファによるボイスチェンジャ
 6.3.1 リングバッファ
 6.3.2 音の高さの変更
 6.3.3 音声に対するリングバッファの長さ
 6.3.4 リングバッファによるボイスチェンジャ
 6.3.5 リングバッファの不連続性を回避する方法
 6.3.6 不連続性を回避したボイスチェンジャの実現
6.4 話速変換とピッチシフタ
 6.4.1 リサンプリング
 6.4.2 もとの信号とリサンプリング後の信号の対応関係
 6.4.3 ディジタル信号から連続時間信号への変換
 6.4.4 リサンプリングの実現
 6.4.5 音声の周期を利用した話速変換
 6.4.6 話速を速くする方法
 6.4.7 話速を遅くする方法
 6.4.8 ピッチシフタ
6.5 ヘリウムボイス
 6.5.1 音速と波長
 6.5.2 声道の共鳴周波数と音速の関係
 6.5.3 スペクトル包絡の伸縮
 6.5.4 ヘリウムボイスの実現
6.6 コンプレッサ
 6.6.1 コンプレッサの基本構成
 6.6.2 ガンマ変換によるコンプレッサ
 6.6.3 ノイズゲート
 6.6.4 ディストーション
6.7 その他の音響エフェクト
 6.7.1 トレモロ
 6.7.2 ビブラート
 6.7.3 コーラス

引用・参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
信号処理に苦手意識がある学生や,音の加工技術についてより深く学びたい技術者の方に向けて,音声・音響に焦点を当てた信号処理の解説書を執筆しました。実用的なフィルタや音の加工技術について,できるだけ平易に,かつすぐに利用できる形でまとめています。本書を通して,音の信号処理,引いては信号処理全般の知識を深め,仕事や趣味に役立てていただけることを願っています。
キーワード
音声,音響,信号処理,適応フィルタ,ノイズ除去,音響エフェクト,スペクトログラム,ボイスチェンジャ,話速変換

次世代信号情報処理series3

線形システム同定の基礎- 最小二乗推定と正則化の原理 -

線形システムに対象を絞り,初学者が動的システムの推定の基礎を理解できるよう構成した

NEW
次世代信号情報処理シリーズ3 線形システム同定の基礎
  • 田中 聡久 監修/藤本 悠介・永原 正章 著
  • A5サイズ/256頁
  • 定価4,070円 (本体3,700円+税)
書籍の特徴
本書は動的システムの推定(システム同定)について,基礎的な内容から2010年代の最新の話題までをまとめたものである。特に,モデルのパラメータ推定方法として,最小二乗法と正則化最小二乗法の二つに特化した解説を行っている。したがって各種の推定方法を網羅しているわけではないが,その分丁寧な説明を行い,統計に関する基礎的な概念を理解できるよう留意した。システム同定に関する和書で,正則化最小二乗法についてここまでの解説を行うものはこれまでにない。システム同定のためのスパース正則化・カーネル正則化に興味を持たれた方は是非一読していただきたい。なお,付録としてMATLABのソースコードも掲載しているため,その有効性を直ちに検証できる点も本書の特徴の一つである。

【本書の構成】

  1. 1章:「システム同定とは」では,システム同定という学問が扱う内容と歴史を概観する。
  2. 2章:「線形システム」では,本書で扱う線形システムの導入を行う.特に,時間進み演算子を用いた表現を導入する。
  3. 3章:「線形システムのモデル」では,ノイズまで含めた線形システムのモデル構造についてまとめる。また,確率過程の基礎についても触れる。
  4. 4章:「予測誤差法によるパラメータ推定」では,3章で導入した種々のモデルのパラメータを調整する方法として,予測誤差法,特に最小二乗法を導入する。また,最尤法や不偏推定などを含む統計学の概念をいくつか導入し,最小二乗法との関連について説明する。
  5. 5章:「モデル選択」では,3章で導入したモデルのどれを利用するべきかについて,データから選択する規準をいくつか紹介する。
  6. 6章:「逐次同定・適応フィルタリング」では,データが逐次的に与えられるという状況でパラメータを適応的に調整する手法を紹介する。
  7. 7章:「正則化最小二乗法とベイズ推定」では,最小二乗法に代わるパラメータ調整法として正則化最小二乗法を導入する。特に,一般的な形式と,古典的な例としてのridge正則化について説明する。また,最尤法に対応するものとしてベイズ推定を導入する。
  8. 8章:「システム同定のためのカーネル正則化」では,有限インパルス応答モデルの推定において使われるカーネル正則化を説明する。ただし紙面の都合上再生核ヒルベルト空間に関する話は省き,正則化最小二乗法の観点からの導入を行う。
  9. 9章:「スパース正則化」では,同じく有限インパルス応答を対象とし,スパース正則化とそこで利用される最適化手法についての説明を行う。
    付録では,本書で使用する線形代数に関する補足(逆行列補題や正定値行列の性質など)と,MATLAB実装を記す。
目次
1. システム同定とは
1.1 システムとモデル
1.2 モデリングの分類
1.3 システム同定の歴史
1.4 本書の構成
1.5 記号の定義

2. 線形システム
2.1 線形システムの表現
 2.1.1 時間進み演算子を用いた表現
 2.1.2 z変換を用いた表現
 2.1.3 状態空間を用いた表現
 2.1.4 インパルス応答と畳込みを用いた表現
 2.1.5 周波数応答によるシステムの表現
 2.1.6 本書で利用するシステム表現
2.2 極と零点

3. 線形システムのモデル
3.1 確率過程の基礎
 3.1.1 ガウス分布の基礎
 3.1.2 白色性と有色性
 3.1.3 エルゴード性
3.2 ノイズの加わり方から分類するモデル
 3.2.1 Output Errorモデル
 3.2.2 Auto Regressive eXogenousモデル
 3.2.3 Finite Impulse Responseモデル
 3.2.4 有色雑音の影響を受けるモデル
 3.2.5 モデル構造のまとめ

4. 予測誤差法によるパラメータ推定
4.1 一段先予測
 4.1.1 OEモデルの場合
 4.1.2 FIRモデルの場合
 4.1.3 ARXモデルの場合
 4.1.4 その他の場合
4.2 予測誤差法
 4.2.1 OEモデルにおける最小二乗法
 4.2.2 FIRモデルにおける最小二乗法
 4.2.3 ARXモデルにおける最小二乗法
4.3 最尤推定との関連
 4.3.1 統計的推定の基礎知識
 4.3.2 最尤推定の基礎
 4.3.3 予測誤差法の統計的解析

5. モデル選択
5.1 赤池情報量規準
5.2 AICの注意点
5.3 ベイズ情報量規準
5.4 バリデーションによるモデル選択

6. 逐次同定・適応フィルタリング
6.1 勾配法を利用した手法
 6.1.1 勾配法の基礎
 6.1.2 LMSアルゴリズムとその周辺
6.2 逆行列補題を利用した手法
 6.2.1 RLSアルゴリズム
 6.2.2 忘却係数を用いたRLSアルゴリズム

7. 正則化最小二乗法とベイズ推定
7.1 過適合
7.2 バイアス-バリアンス分解と過適合
7.3 正則化最小二乗推定
 7.3.1 正則化最小二乗推定の幾何学的解釈
 7.3.2 ridge正則化の統計的性質
7.4 ベイズ推定の基礎
 7.4.1 離散確率変数でのベイズ推定
 7.4.2 連続確率変数でのベイズ推定
7.5 ベイズ推定と正則化の関連
7.6 クロスバリデーションによる正則化パラメータの調整

8. システム同定のためのカーネル正則化
8.1 本章の設定と正則化最小二乗法での定式化
8.2 ベイズ推定としての解釈
8.3 最適な二次正則化
8.4 インパルス応答推定のためのカーネル
 8.4.1 Diagonal-Correlatedカーネル
 8.4.2 Tuned-Correlatedカーネル
 8.4.3 Stable-Splineカーネル
8.5 カーネルが満たすべき諸条件
8.6 ハイパーパラメータの調整

9. スパース正則化
9.1 スパースモデリング
 9.1.1 スパースなインパルス応答
 9.1.2 スパース正則化
 9.1.3 軟しきい値作用素
 9.1.4 \ell^{1}正則化の解のスパース性
9.2 最適化アルゴリズム
 9.2.1 ブロック座標緩和
 9.2.2 反復縮小しきい値アルゴリズム
 9.2.3 アルゴリズムの高速化
 9.2.4 正則化パラメータの選択
9.3 一般化エラスティックネット正則化

付録
A.1 逆行列に関する公式
A.2 対称行列の性質
A.3 正定値行列の性質
A.4 MATLABによる実装例
 A.4.1 入力信号の設計
 A.4.2 ノイズを含む出力の生成
 A.4.3 最小二乗法の実装
 A.4.4 カーネル正則化の実装
 A.4.5 スパース正則化の実装
引用・参考文献
索引
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著者からのメッセージ
初学者も無理なく読めるよう,なるべく基礎的な事項から記載を始め,必要な線形代数の知識などについても付録をつけております。その一方で,2010年代に発展した最新の理論についても基礎から実装までをまとめています。初学者はもちろん,技術者・研究者の方にも手に取っていただけますと幸いです。
キーワード
システム同定,最小二乗法,正則化最小二乗法,ベイズ推定,カーネル正則化,スパース正則化,スパースモデリング,MATLAB
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