化学系学生にわかりやすい 熱力学・統計熱力学

化学系学生にわかりやすい 熱力学・統計熱力学

化学系学生を対象に,熱力学と統計熱力学の内容をコンパクトに1冊にまとめた画期的な教科書。

ジャンル
発行年月日
2017/04/28
判型
A5
ページ数
186ページ
ISBN
978-4-339-06640-1
化学系学生にわかりやすい 熱力学・統計熱力学
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定価

2,640(本体2,400円+税)

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本書は,化学系学生を対象に,熱力学と統計熱力学の内容をコンパクトに1冊にまとめた画期的な教科書である。さらに,各項目に適宜演習を掲載,その場で自分の実力を確認できるようにした。また巻末には詳細な解答を用意している。

とかく化学系の学生は,物理や数学を苦手とする傾向がある。さらに,それらを応用した物理化学(熱力学,平衡論および速度論,電気化学など)は,たいへんかつ厄介であると感じられる傾向もある。著者も学生のころ,物理化学を辛苦して学んだ覚えがある。そこで,本書はつぎの(1)~(3)を重視して記述している。
 (1) 化学系の学生に必要な物理化学の各分野を体系的に理解してもらう。
 (2) (1)に対応して,物理化学を他の化学を学ぶ際に有効に活用してもらう。
 (3) (1)および(2)のために,本書内の図表,演習などを活用してもらう。

このため本書は,物理化学の中で主要であると考えられる熱力学,平衡論・速度論および電気化学の分野の中から,特に最初の熱力学について執筆したものである。物理化学において,熱力学は(古典)熱力学と統計熱力学に分かれ,それらをまとめて記述した本も少ない。そこで,大学の学部・大学院で講義している湯浅と北村が,熱力学((古典)熱力学と統計熱力学)を学ぶ学生諸氏のために体系的にわかりやすく書いたものが本書である。特に(古典)熱力学は系の巨視的(マクロな)性質から考える熱力学であり,統計熱力学は系を微視的な(ミクロな)分子およびその集団などとして考える熱力学である。そのため,(古典)熱力学と統計熱力学を体系的にまとめて1冊にしたほうが,両者を相互理解でき,熱力学の体系を理解できると考えられる。

また,これらの熱力学は物理化学の主要分野の一つで,さらに有機化学,無機化学などを学ぶ上でも基礎となる重要な化学でもある。そのため,本書では,(古典)熱力学と統計熱力学の意義・目的,それらの関係などを踏まえて系統的に記述するとともに,他の化学への応用を反映できるようにも書いている。例えば統計熱力学においては,気体分子運動論,分子の分布とその応用なども重要となるので,それらを考慮して紹介している。1章熱力学および統計熱力学の基本用語および基本法則 および2章熱力学((古典)熱力学)を湯浅が,3章気体分子運動論と統計熱力学 を北村が執筆している。

1章では,意義・目的,(古典)熱力学と統計熱力学の関係などとともに,これらの基本用語および基本法則を紹介している。
2章では,(古典)熱力学について,理想気体と諸法則および状態方程式,状態とエネルギー:熱力学第一法則,状態変化とエントロピー:熱力学第二,三法則,熱力学関数,などについて紹介している。
3章では,気体分子運動論,分子の分布とその応用などをわかりやすく解説した上で,分子の運動とエネルギー,統計集団,ボルツマン分布,分配関数などを含む統計熱力学について紹介している。

本書の執筆にあたり,企画の段階,内容の検討など,刊行に至るまでコロナ社に多くの助言をいただいた。コロナ社の関係諸氏に心より感謝申し上げる次第である。

2017年2月 湯浅 真・北村 尚斗

1. 熱力学および統計熱力学の基本用語および基本法則
1.1 基本用語
1.2 基本法則

2. 熱力学
2.1 理想気体と諸法則および状態方程式
 2.1.1 理想気体と気体の諸法則
 2.1.2 熱力学的温度とは
 2.1.3 理想気体の状態方程式
2.2 状態とエネルギー:熱力学第一法則
 2.2.1 熱と仕事
 2.2.2 内部エネルギー
 2.2.3 熱力学第一法則
 2.2.4 エンタルピー
 2.2.5 状態量(状態関数)とその関連する数学
 2.2.6 状態変化とその過程
 2.2.7 熱容量とその諸性質
 2.2.8 化学反応と熱変化
2.3 状態変化とエントロピー:熱力学第二,三法則
 2.3.1 熱力学第二法則とは
 2.3.2 カルノーサイクルとエントロピー
 2.3.3 カルノーサイクルと代表的な諸サイクル
 2.3.4 エントロピーと熱力学第二法則
 2.3.5 エントロピーの要約
 2.3.6 エントロピーの諸性質
 2.3.7 熱力学第三法則
 2.3.8 エントロピーの分子論的解釈
2.4 熱力学関数
 2.4.1 熱力学第一法則と熱力学第二法則の関係
 2.4.2 自由エネルギー
 2.4.3 熱力学の基礎方程式
 2.4.4 ギブス・ヘルムホルツの式
 2.4.5 式DG=DH−TDSについて
引用・参考文献

3. 気体分子運動論と統計熱力学
3.1 気体分子運動論
 3.1.1 気体分子運動論とは
 3.1.2 気体の圧力とエネルギー
 3.1.3 気体分子の速度
 3.1.4 気体分子運動論と実在気体の状態方程式
 3.1.5 気体の液化:気体と液体の境目
 3.1.6 気体分子の衝突
3.2 分子の分布とその応用
 3.2.1 分子の分布とは
 3.2.2 スターリングの公式
 3.2.3 最大確率の分布
 3.2.4 分子の速度分布:マクスウェルの速度分布則
3.3 統計熱力学
 3.3.1 統計集団
 3.3.2 状態の数とエントロピー
 3.3.3 ボルツマン分布
 3.3.4 分配関数
 3.3.5 熱力学関数とカノニカル分配関数
 3.3.6 熱力学の法則の統計熱力学による表現
 3.3.7 分子分配関数
 3.3.8 分配関数の各論
引用・参考文献

付録
A.1 水溶液中の標準状態での熱力学的性質表
A.2 標準状態での熱力学的性質表

演習問題解答
索引

北村 尚斗(キタムラ ナオト)