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書籍詳細

音響サイエンスシリーズ 3)

  聴覚モデル

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日本音響学会 編

森周司 九大教授 Ph.D. 編

香田徹 九大名誉教授 工博 編著

日比野浩 新潟大教授 博士(医学) 著

任書晃 新潟大助教 博士(医学) 著

倉智嘉久 阪大教授 医博 著

入野俊夫 和歌山大教授 工博 著

鵜木祐史 北陸先端科学技術大学院大准教授 博士(情報科学) 著

鈴木陽一 東北大教授 工博 著

牧勝弘 愛知淑徳大准教授 博士(理学) 著

津崎実 京都市立芸術大教授 著

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発行年月日:2011/08/30 , 判 型: A5,  ページ数:248頁

ISBN:978-4-339-01323-8,  定 価:3,672円 (本体3,400円+税)

ジャンル:

代表的な聴覚モデルを解説した。また音響心理学や音響生理学,有毛細胞の分子生化学的機構,蝸牛以降の生理現象とモデルを取り上げ,聴覚モデルに基づくラウドネス計算法や聴覚モデルの動作シミュレータなどの工学的手法も紹介した。

【目次】

1. 音の高さのモデル
1.1 古典的聴覚説
1.2 Békésyの基底膜振動の進行波モデル
1.3 微細構造説
1.4 Weverの斉射説とLickliderの二元説
1. 音の高さのモデル
1.1 古典的聴覚説
1.2 Békésyの基底膜振動の進行波モデル
1.3 微細構造説
1.4 Weverの斉射説とLickliderの二元説
1.5 微細構造説に対する反論
1.6 3種の現代聴覚モデルとその後の改良モデル
引用・参考文献

2. 蝸牛の物理的機構とそのモデル
2.1 聴覚末梢系の生理
2.2 ヘルムホルツの共鳴説とBékésyの進行波説
2.3 聴覚1次ニューロンの興奮現象
2.4 聴覚末梢系のモデル
2.4.1 Gaborの聴覚分解能理論とFlanaganの伝達関数モデル
2.4.2 基底膜振動の流体力学的モデル
2.4.3 蝸牛の無反射伝送線路モデル
2.4.4 単一伝達物質の貯蔵庫を有する聴神経発火モデル
2.4.5 複数個の伝達物質の貯蔵庫を有する聴神経発火モデル
2.4.6 聴神経発火のPSTヒストグラムにみられる適応現象
2.5 Békésy以降の基底膜振動特性
2.5.1 蝸牛管の巨視的2層モデルとLighthillの進行波解
2.5.2 外有毛細胞による蝸牛増幅
2.5.3 コルチ器蓋膜の共振特性と第2フィルタ
2.5.4 耳音響放射とそのモデル
引用・参考文献

3. 内耳有毛細胞機能の分子生物学的基盤とそのモデル
3.1 機械-電気変換器としての有毛細胞
3.1.1 有毛細胞の構造
3.1.2 有毛細胞における音シグナル伝達機構
3.1.3 METチャネル
3.1.4 tip linkとgating springの分子構成
3.1.5 感覚毛間の結合の分子構成
3.1.6 METチャネルの順応
3.1.7 感覚毛伸張の分子機序
3.2 有毛細胞における音シグナルの増幅機構
3.2.1 音シグナルの増幅機構の生理的意義
3.2.2 外有毛細胞による電位依存性運動
3.2.3 感覚毛の能動運動
3.3 有毛細胞に立脚した周波数分析機構
3.3.1 哺乳類の蝸牛における周波数分析
3.3.2 下等脊椎動物の蝸牛での周波数分析
3.4 有毛細胞モデル
3.4.1 古典的有毛細胞モデル
3.4.2 内外有毛細胞機能を含めた基底膜振動モデル
引用・参考文献

4. 聴覚フィルタの心理物理実験とモデル
4.1 聴覚フィルタの基礎概念
4.1.1 振幅周波数特性
4.1.2 音圧依存性と入出力特性
4.1.3 そのほかの非線形特性
4.2 聴覚フィルタ特性の心理物理的推定
4.2.1 マスキング現象と心理物理実験
4.2.2 臨界帯域の測定
4.2.3 マスキングのパワースペクトルモデル
4.2.4 ノッチ雑音マスキング法によるフィルタ形状の推定
4.2.5 位相周波数特性の測定
4.2.6 フィルタ形状の音圧依存性の測定
4.2.7 圧縮特性とその測定
4.2.8 2音抑圧特性の測定
4.3 聴覚フィルタの定式化
4.3.1 ガンマトーンフィルタ
4.3.2 レベル依存性と非対称性の導入
4.3.3 ガンマチャープフィルタ
4.3.4 ガンマチャープフィルタの周波数特性
4.3.5 圧縮型ガンマチャープ
4.3.6 動的圧縮型ガンマチャープフィルタバンク
4.3.7 パラメータ数の意味での妥当性
4.3.8 最適性
4.4 まとめ
引用・参考文献

5. 音の大きさのモデル
5.1 音の強さとラウドネス
5.1.1 ラウドネスとその定義
5.1.2 音の強さの変化の知覚
5.2 ラウドネスレベル
5.2.1 最小可聴値
5.2.2 ラウドネスレベル
5.3 ラウドネス密度とパーシャルラウドネス
5.3.1 音の帯域幅とラウドネスの関係
5.3.2 パーシャルラウドネス
5.3.3 最小可聴値付近におけるラウドネス成長曲線
5.3.4 ラウドネスの時間的特性
5.4 定常広帯域音のラウドネスの計算
5.4.1 Stevensの計算法
5.4.2 Zwickerの計算法
5.4.3 Moore and Glasbergの計算法
5.5 ラウドネス計算法に関する残された課題と最近の動向
5.5.1 全般的な注意点
5.5.2 モノラルとバイノーラルラウドネス
5.5.3 パーシャルラウドネスモデルの精緻化
5.5.4 非定常音のラウドネス計算
引用・参考文献

6. 聴覚中枢神経系の生理現象とそのモデル
6.1 脳幹における聴覚情報の伝搬経路
6.2 蝸牛神経核の応答特性とそのモデル
6.2.1 腹側核の時間応答パターンとそのモデル
6.2.2 背側核の周波数応答パターンとそのモデル
6.3 上オリーブ複合体の機能と両耳聴のモデル
6.4 下丘の複雑な時間応答パターンとそのモデル
引用・参考文献

7. シミュレータによる内部表現と特徴量
7.1 モデルとシミュレータのもつ意味
7.2 Langnerの発振・遅延による周期性検出モデル
7.2.1 PAN
7.2.2 発振回路と遅延回路
7.2.3 チョッパー間の最小シナプス遅延
7.3 Meddisのチョッパー型細胞による変調周期検出モデル
7.3.1 Meddisグループのモデルの変遷
7.3.2 チョッパー型細胞の変調伝達特性と周期性検出
7.3.3 全体のモデルの構成
7.3.4 モデルの妥当性
7.3.5 公開パッケージ
7.4 Pattersonの聴覚イメージモデル
7.4.1 音色のモデル─時間的な非対称性の直観的表現─
7.4.2 ストローブ時間積分と遅延
7.4.3 ストローブとインパルス応答─寸法の正規化モデルへ─
7.4.4 公開パッケージ
7.5 Shammaの聴覚皮質応答野モデル
7.5.1 側抑制ネットワーク
7.5.2 皮質における受容野
7.5.3 多層解像度分解
7.5.4 公開パッケージ
7.6 AIMを使ってみよう
7.6.1 シミュレータの起動
7.6.2 外耳・中耳の影響(PCP)
7.6.3 基底膜振動
7.6.4 神経活動パターン
7.6.5 ストロービングと安定化聴覚像
7.6.6 メリンイメージ
7.7 まとめ
引用・参考文献

索引

【まえがき】より

 Helmholtz の科学的研究(1863)を契機にして誕生した聴覚理論は,Békésyの基底膜振動の進行波理論(1928~1960)で検証され,その後のRhode(1971),Sellick et al. (1982),Robles et al. (1986)らの基底膜振動の詳細な観察を促した。近年のBrownell et al. (1985),Hudspeth(1985),Zheng et al. (2000)らの研究に代表される蝸牛の能動的活動(Cochlear Amplifi cation)の機序の解明により,ヒトの驚くべき聴覚能力,例えばわずか0. 2%の差の異なる二つの周波数の弁別能力,120dBの広帯域のダイナミックレンジなどを説明できる原始情報がようやく21世紀に入り一通り出そろったようである。
 一方,音の高さ(ピッチ)や大きさ(ラウドネス)等の音響心理学的事象は,もっぱら蝸牛の解剖学的構造や生理学的機能をもとに議論され,Fletcher(1953),Zwicker(1957)の臨界帯域,Patterson の聴覚フィルターモデル(1974)の提案に至っている。これらの説やモデルは,聴覚を理論的に説明しようとするものとして,聴覚モデルと総称される。
 聴覚モデルは国内外で聴覚現象の研究全般をリードしてきたが,日本では聴覚モデルを包括的に取り扱った書籍や出版物はきわめて少ない。長い歴史をもつ聴覚モデルや最新の計測技術で観測された各種実験結果の全容を研究者が知る機会は限られている。Schouten の主張(1970)のように,聴覚を理解するために必要な三大学問分野(生理学,心理学,数理学)間のたがいに密接な補完関係に鑑み,本書では,これまでの代表的な聴覚モデルと最新の聴覚モデルに言及した。さらには音響心理学や音響生理学の関連研究,蝸牛の能動的活動の基盤となる有毛細胞の分子生化学的機構,蝸牛以降の聴覚系に特有の生理現象とそのモデルを取り上げ,聴覚モデルに基づくラウドネス計算法や聴覚モデルの動作のシミュレータといった工学的手法も紹介した。
 各章の執筆は,上記の内容に精通していると編者が判断した研究者に担当していただいた。しかし,これだけの広範囲でかつ横断的研究分野に及ぶ聴覚研究をもらすことなく紹介することは,少数の編著者だけではとうてい及ぶことではない。また編著者の興味や関心で題材を取り上げたので内容に偏りがあるが,若い研究者が聴覚とその機構の理論的側面に興味を持つきっかけになれば幸いである。
 

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