SNIPによるRTK基準局開設・運用入門 - Raspberry PiでICT土木/ICT農業システムの開発に挑戦 -

SNIPによるRTK基準局開設・運用入門 - Raspberry PiでICT土木/ICT農業システムの開発に挑戦 -

RTK基準局の開設・運用を目的としたガイドであり,実際の運用例も紹介。

ジャンル
発行年月日
2019/12/05
判型
A5
ページ数
160ページ
ISBN
978-4-339-00929-3
SNIPによるRTK基準局開設・運用入門 - Raspberry PiでICT土木/ICT農業システムの開発に挑戦 -
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本書はSNIPによる独自のRTK基準局の開設により,読者が気軽に1周波数GNSS受信機を利用し,実務として運用することを目的としている。また実際の運用例として,測量や農業分野での利用についても詳しく紹介している。

★こんな読者には特にオススメ!★
センチ単位の高精度なGNSS計測を低コストで運用したい方:土木や農作業現場での測量への利用,農機やドローンなどの位置情報の取得への利用が可能です。
ネットワーク型GNSSサービスを使用中の方:比較的低価格のイニシャルコストで開設可能で,その後も低価格での運用が可能です。

★書籍の特徴★
本書籍のシステムを使用して,実際に基準局を開設した施工業者が,NTRIP-RTKを使って河川堆積土掘削工事で使用した内容,およびその効果を『0章 GNSS計測による導入効果と本書の活用法』で紹介・解説しています。

NTRIP-RTKと呼ばれる,「インターネットを利用して基準局からの補正情報を取得する方式」は,現在利用しているネットワーク環境に対してポートマッピングと呼ばれる手続きが必須です。モバイルルーター等を使い筆者らが実際におこなった作業を『1章 開設準備』および『6章 基準局の開設と機能チェック』で詳しく説明しています。

利用しているGNSS受信機(1,2周波とも)の各種設定は,英語表示のソフトウェアでおこなうため,日本語を見ながら作業をすすめることができません。この点は『2.5節 サーバー用PCと基準局側受信機の接続確認』以降で説明を行っています。

開設した基準局を活用した事例は『8章 測量への利用例』,『9章 低コストロボットへの利用例』にて紹介しています。測量やロボット以外にも通じるエッセンスですので,リアルタイムアプリケーション作成にチャレンジする際のヒントとなるでしょう。

★本システム開設・運用のメリット★
・基準局開設により,1周波では10 km圏内、2周波では30km圏内で24時間対応のGNSS計測が可能となります。
・本書のシステムでは従来測量用に使われてきた高価格の2周波RTK受信システムではなく,低価格の1周波RTK受信システムを採用しています。計測精度に大きな差はなく運用できることが実証されています。
・同メーカーの低価格2周波受信機も、一部の追加設定だけで利用できます。
・GNSS計測による測量は作業量削減,人員削減など大きな生産性向上が期待できます。
・GNSS計測により生成される3次元座標データにより,CADと連携して手作業なしに断面図の作成が可能です。

本書の目的は,独自のRTK基準局の開設により,実務者が気軽にGNSS計測を行うことです。NTRIP(networked transported of RTCM via internet protocol)方式のRTK基準局を開設しようとすると,情報源が英語で理解に時間を要する,必要な機材が何かわからない,また機材購入先の情報が少ない等の理由により,実際に開設して運用までしているのは,大手配信業者や研究者が中心であり,実務者レベルでは皆無の状況です。そこで低価格の1周波GNSS受信機を利用して,開設から運用までの作業手順と応用事例から,実務として運用できるようにすることを目的としています。

対象読者
本書は,GNSS計測を利用している(したい)実務者,あるいは,GNSS計測をこれから学ぶ専門学校生,高専生,理系の大学生を想定して執筆しました。GNSS受信機の設定,あるいは基準局サーバのソフトウェアは英語表示なので,高校英語程度の基礎知識が必要です。 応用事例で用いているスクリプト(Python)に関しては,パッケージのインストール,クラスの概念,関数および引数,ループ等の基礎知識を備えていることを想定しています。

本書で使用する機材
1 周波GNSS受信機は,u-blox社製のC94-M8PとNEO-M8Pを使用しています。移動局側GNSS受信機の制御は,PC あるいはRaspberry Pi 3+ハット(HAT)を利用しています。HATとして,6桁表示器とブザーを搭載することSNIPによるRTK基準局開設運用入門_再校190902.indb2-1 2019/09/02 12:14によりGNSS受信機を制御します。Raspberry Pi 3+HATの入手方法を11.7節に掲載しました。

本書で想定するPython環境
8章のサンプルプログラムは,Raspberry Pi 3+HATをベースにPython3.5の環境で動作確認しています。また,計測データを扱うPCにはあらかじめ,Google Earth Pro をインストールしておく必要があります。サンプルプログラムは,本ページにてダウンロードできます。

本書が必要とするネットワーク環境
移動局では,RTK基準局で計測された基準局情報をNTRIP方式で取得することにより,RTK方式の測量が可能になります。移動局から基準局にアクセスするには,事前にポートマッピングと呼ばれる手続きが必要です。組織によっては,ポートマッピングが厳しく制約されている場合もあります。まずは,ネットワーク管理者に相談してください。ポートマッピングの手続きに関しては,1.1節に詳しく説明しています。

基準局の開設が,GNSS計測を気軽に行える一歩になれば幸いです。

2019年10月
著者一同 

0.GNSS計測による導入効果と本書の活用方法
0.1 現行の起工測量
0.2 GNSS計測による起工測量とその効果
0.3 GNSS計測による成果物作成とその効果
0.4 GNSS計測(相対測位)とは
0.5 移動局の座標の求め方
0.6 FloatとFix
0.7 基準局開設の必要性
0.8 本書の活用方法

1.開設準備
1.1 ポートマッピング
1.2 サーバ用PC
1.3 GNSS受信機
1.4 NTRIPによる基準局情報配信

2.機材設置
2.1 基準点の設置
2.2 基準点の座標計測と座標計算
2.3 アンテナ受信機一体型の場合の設置
2.4 アンテナ受信機分離型の場合の設置
2.5 サーバ用PCと基準局側受信機の接続確認
2.6 基準局側受信機のデータ出力設定
 2.6.1 基準局座標の設定
 2.6.2 基準局情報出力ポートの設定
 2.6.3 使用衛星の設定
 2.6.4 使用衛星の利用条件設定
 2.6.5 RTCM信号の設定
 2.6.6 NMEA信号の設定
 2.6.7 FixModeの設定
2.7 基準局側受信機を出荷時の状態にリセット

3.補正のための基準局情報配信とSNIP
3.1 単独測位
3.2 相対測位
3.3 RTK方式に対応したGNSS受信機
3.4 基準局情報の配信

4.SNIPのインストール
4.1 ユーザ登録とダウンロード
4.2 インストーラの起動とインストール

5.SNIPの設定
5.1 GNSS受信機の接続
5.2 SNIPの起動とデフォルト設定の解除
5.3 SerialStreamsの設定
5.4 ユーザアカウント設定
5.5 IPアドレス・ポートの設定

6.基準局の開設と機能チェック
6.1 ポートマッピング
6.2 SourceTableの表示
6.3 NTRIPClientアプリによる確認

7.基準局へのアクセス
7.1 u-centerによるGNSS計測(NTRIPRTK方式)
7.2 RaspberryPiによるGNSS計測(NTRIPRTK方式)
 7.2.1 RTKLIBのダウンロードと設定
 7.2.2 基準局への自動アクセス手順設定
 7.2.3 移動局側のモバイルルータやテザリングの自動接続設定

8.測量への利用例―RaspberryPi3とPythonを用いたスクリプト例―
8.1 システムの概要
8.2 スクリプト
 8.2.1 メインスクリプトの解説
 8.2.2 標高とステータスの表示
 8.2.3 座標の10回平均
 8.2.4 度分秒から度に変換
8.3 スクリプトの自動実行
8.4 RTK方式
8.5 GoogleEarthProに表示
 8.5.1 GoogleEarthProを起動
 8.5.2 CSVファイルをインポート

9.低コストロボットへの利用例
9.1 農業分野での利用例
9.2 RaspberryPiを利用した自動・自律ロボット試作のヒント
 9.2.1 RaspberryPi専用アドオンボード:SenseHAT
 9.2.2 SenseHATの実装とサンプルスクリプトの作成

10.稼働のこつ
10.1 u-blox社製GNSS受信機の設定
 10.1.1 基準局の設定
 10.1.2 移動局の設定
10.2 IPアドレスの固定と確認方法

11.サンプルテスト
11.1 アンテナとグランドプレーン
11.2 サーバ用PCと受信機
11.3 移動局側ポール
11.4 ソフトウェアの著作権
11.5 ダウンロードファイル
11.6 RTKLIBのダウンロード
11.7 HAT用制御パッケージのダウンロード
11.8 サンプルスクリプトの起動

引用・参考文献
索引

読者モニタレビュー【M.K.様(大学院生,航空宇宙システム制御専攻)】

この本は,安価なPCである Raspberry Pi と, SNIP というフリーソフトを用いて,数万円程度の低コストで高精度測位を実現できる RTK-GPS 環境を構築し,実際のシステムを運用することを目的とする内容になっています。

具体的には,測位の原理などは数式の無い簡単な説明で終わり,メインの内容は環境構築・基準局へのアクセス・稼働方法を豊富な画像で説明する部分に絞られています。例えるなら,現場ですぐに利用するためのクイックスタートガイドのように感じました。

私は以前に海外製の RTK-GPS を運用する機会があった程度の経験しかありませんでした。その際,機械科では触れる機会が無い用語や運用手順等を,日本語の情報がない中で調べることに非常に苦労していました。

この本では,必要な機材・環境・稼働方法など,私が当時苦労して探していた運用のための情報が非常にコンパクトにまとまっているので,原理など難解な部分はさておき運用を始めたい方に勧められる本であると思います。

amazonレビュー

先村 律雄(サキムラ リツオ)

半谷 一晴(ハンヤ イッセイ)

大橋 祥子(オオハシ ショウコ)

日刊工業新聞 技術科学図書(2020年3月26日) 掲載日:2020/03/26

掲載日:2023/10/03

電子情報通信学会誌2023年10月号

掲載日:2021/10/11

「計測と制御」2021年10月号広告

掲載日:2021/06/01

「電子情報通信学会誌」2021年6月号広告

掲載日:2021/02/03

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掲載日:2020/09/01

「電子情報通信学会誌」2020年9月号広告

掲載日:2020/08/03

「電子情報通信学会誌」2020年8月号広告

掲載日:2020/05/08

「機械化農業」2020年6月号広告

掲載日:2019/12/25

日刊工業新聞広告掲載(2019年12月25日)

掲載日:2019/12/01

「電子情報通信学会誌」2019年12月号広告

掲載日:2019/11/15

「土木学会誌」2019年11月号広告

★読者の実例★
本書でとり上げたシステムを実際に利用している現場計測の実例を紹介します。

【現場①】
現場①は下図・写真のとおり,四方が法面に囲まれています。排水設備設を設けるために,法肩(法面上)と法尻(法面下)の位置の計測が行われました。




【実施結果】
●システム導入前はトータルステーション(TS)で計測
 ・TSを法尻付近に設置すると上側の部分が見えなくなり,法肩付近に設置すると下側の部分が見えなくなるため,計測が難しかった
 ・本現場のように起伏が大きいと,TSを何回も移動させながら計測する必要があった
●本システムにより,上空が開けていれば,地形の起伏は計測作業に影響しないため大幅な生産性向上が可能となった




【現場②】
現場②は舗装のために面積計算のための計測が行われました。




【実施結果】
●計測機器は「移動局」だけを持ち運べばよいため,1人での計測が可能になった
●「基準局」は24時間稼働しているため,現場間の移動途中でも計測できるようになった
●計測結果は公共座標系で出力されるため,CADやエクセル等で計算した面積結果とともに,座標データもそのまま提出可能になった
●これまでTSでおこなっていた作業の4~5倍の生産性向上を実感している