ごみゼロ社会は実現できるか (改訂版)

シリーズ 21世紀のエネルギー 6

ごみゼロ社会は実現できるか (改訂版)

ごみ問題の現状ならびに,行政・事業者・市民のごみゼロ社会実現に向けた取り組みを紹介!

ジャンル
発行年月日
2023/04/25
判型
A5
ページ数
142ページ
ISBN
978-4-339-06837-5
ごみゼロ社会は実現できるか (改訂版)
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定価

1,980(本体1,800円+税)

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本書では,ごみの発生量や不法投棄量,海洋汚染の現状など,ごみに関する諸問題や,リサイクルに関する法律,行政・事業者・市民の取り組みなどを紹介している。また,ごみ発電,燃料化などごみ処理の技術や海外の事例も取り上げた。
初版の発行から約15年が経過し,廃棄物をめぐる状況も変化してきた。一般廃棄物の排出量については,各種リサイクル法の施行に伴い減少傾向にあるものの,産業廃棄物の排出量については横ばいの状況が続いている。こうした状況を踏まえ,出来る限りの最新データを用いて編集し直し,改訂版とした。

改訂版にあたって
本書の初版第1刷は2006年に発刊された。その後,約15年を経て廃棄物をめぐる状況も変化してきた。一般廃棄物の排出量については,各種リサイクル法の施行に伴うリサイクルシステムの整備やごみの有料化などの施策もあって減少傾向にある一方,産業廃棄物の排出量については横ばいの状況が続いている。こうした状況の変化を踏まえ,第4刷において,できる限り最新のデータを用いて編集し直し,改訂版とした。

2023年3月
行本正雄
西 哲生
立田真文

はじめに
ごみ焼却場,埋立処分場などは,社会のために必要な施設であることはだれもが知っているところであるが,その施設が自分の家の近くに建設されるとなると反対する人が多く,迷惑施設と呼ばれたり,英語の頭文字をとってNIMBY(not in my back yard)などと呼ばれたりしている。

しかし,現状において,ごみは私たちの生活や産業活動の中から発生し,なかなか減らすことができないでいる。そのため,発生の抑制(リデュース)や再利用(リユース),再生利用(リサイクル)を促進するための制度・法律や社会システムの整備,環境技術の開発などが行われるようになってきた。

一方,石油があと40年で底をつくという統計も出ているが,中国をはじめとするアジア諸国の成長もあり,資源の枯渇も大きな問題となりつつある。資源の有効利用が求められている。

エネルギーという点からいっても,わが国は1次エネルギーの90%以上を輸入に頼っているにもかかわらず,エネルギーフローにおいても66%が損失されていることを考えると,ガス化,油化などの化学変換を含めてエネルギー回収を促進していくことも重要である。

本書では,前半で,ごみの発生量や処理の現状,不法投棄や海洋汚染の現状など,ごみに関わる問題について論じ,あわせて,各種リサイクル法と行政,事業者,市民のごみゼロ社会の実現に向けた取組みを紹介している。また,後半は,運搬・破砕・選別などのごみ処理技術や,わが国,および海外(ヨーロッパ,米国)でのリサイクルの取組み事例を解説している。特に,ごみ発電,燃料化,新燃料など,エネルギーについては,最新の情報を取り入れた。

最後に,結論として「ごみゼロ社会は実現できるか」について実践的に論じている。すなわち,リサイクルを進ませる要因(法規制や経済的な支援,技術開発,市民の支援と関与),リサイクルを市場原理の社会で成立させるための方策(補助金・環境税などの政策,ボランティア経済の導入,処理費をベースにしたビジネスモデルの構築など)などについて述べ,ごみゼロ社会を実現するための提言を行っている。

環境問題を扱う技術者だけでなく市民や学生の方々などに広く理解いただけるようにわかりやすく記述することに努めた。多くの方がこの本によってごみに関する問題やごみゼロ社会に向けた取組みに少しでも興味や関心を持ち,行動の動機付けになれば幸いである。

本書は,1章,2章,3章,7章は西が,4章,6章は行本と西が,5章は行本と西と立田が原稿を担当し,行本が全体を統括した。また,東京農工大学の堀尾正靱教授と成蹊大学の小島紀徳教授にアドバイスをいただいたことに深く謝意を表したい。

2006年8月
行本正雄
西 哲生
立田真文

1.ごみとはなにか
1.1 ごみの定義
1.2 ごみの種類
1.3 ごみの発生量と処理の現状
 1.3.1 一般廃棄物の現状
 1.3.2 産業廃棄物の現状

2.なぜリサイクルをしないといけないのか
2.1 不法投棄
 2.1.1 不法投棄の現状
 2.1.2 不法投棄問題に対する取組み
2.2 海洋汚染
 2.2.1 海洋汚染の現状
 2.2.2 海洋汚染に対する内外の取組み
2.3 ごみの越境移動
 2.3.1 ごみの越境移動の現状
 2.3.2 バーゼル条約によるごみの越境移動に対する規制
2.4 ごみゼロ運動の展開
2.5 国連大学が提唱するゼロエミッション
2.6 拡大製造者責任の導入

3.リサイクルを進める社会の仕組み
3.1 循環型社会形成推進基本法
3.2 容器包装リサイクル法
3.3 家電リサイクル法
3.4 建設リサイクル法
3.5 食品リサイクル法
3.6 自動車リサイクル法

4.行政,市民,産業界,だれが責任を取るのか
4.1 ごみゼロ社会の実現に向けた国の政策
 4.1.1 リサイクル施設の設置と再生資源の市場拡大に対する支援
 4.1.2 事業者,NPO,市民等の連携プロジェクトへの支援
 4.1.3 サービス提供型事業への支援
 4.1.4 自治体等の地域プロジェクトへの支援
 4.1.5 静脈物流システム構築のための支援
 4.1.6 資源としてのバイオマスの活用の促進
4.2 自治体のリサイクル支援策
 4.2.1 再生品認定制度
 4.2.2 廃棄物交換システム
 4.2.3 地域活性化を目的とした自治体プロジェクト
4.3 ごみゼロ運動と市民参加
 4.3.1 環境NPOによるごみの回収・リサイクルへの取組み
 4.3.2 早稲田商店会など商店街の取組み
 4.3.3 菜の花プロジェクトの取組み
4.4 産業界のごみゼロ社会への取組み
 4.4.1 ビール会社のゼロエミッション活動
 4.4.2 OA機器工場のごみゼロ活動
 4.4.3 製鉄所を中心とした資源循環

5.ごみゼロ社会を支える技術
5.1 ごみの回収と破砕・選別
 5.1.1 収集・運搬技術
 5.1.2 粗大・資源化施設
 5.1.3 破砕技術
 5.1.4 選別技術
5.2 ごみ資源のリサイクル
 5.2.1 廃プラスチックのリサイクル
 5.2.2 廃タイヤのリサイクル
 5.2.3 コンクリート廃材のリサイクル
 5.2.4 有機性廃棄物のリサイクル
5.3 焼却と適正処理
 5.3.1 焼却理論と焼却施設
 5.3.2 ダイオキシン対策と熱回収
 5.3.3 焼却灰の溶融固化とセメント固化
5.4 エネルギーとしての利用
 5.4.1 ガス化溶融技術と新しい発電利用
 5.4.2 RDF(ごみ固形燃料)
 5.4.3 バイオマス燃料
 5.4.4 DME(ジメチルエーテル)

6.海外のリサイクル
6.1 なぜ海外の動向を知ることが必要なのか
6.2 ヨーロッパの取組み
 6.2.1 デンマークのカルンボー市における企業間連携による取組み
 6.2.2 スウェーデンのコミューン主導の環境先進事業
 6.2.3 ドイツの容器包装リサイクルの仕組み
 6.2.4 イギリスの廃棄物処理
6.3 米国の取組み
 6.3.1 米国の環境法
 6.3.2 米国のRPF発電

7.ごみゼロ社会実現に向けての課題と提言
7.1 リサイクルが進まない要因と進ませる要因
7.2 リサイクルを市場原理の社会で成立させるための方策
7.3 リサイクルビジネスを有利に進めるための課題
7.4 ごみゼロ社会実現に向けての提言
引用・参考文献

西 哲生(ニシ テツオ)

立田 真文(タテダ マサフミ)

掲載日:2023/04/19

環境新聞広告掲載(2023年4月19日)