SDGs時代の 持続学のすすめ - あてになる人間への挑戦 -

SDGs時代の 持続学のすすめ - あてになる人間への挑戦 -

多面的な考え方を身につけ,昨今の多様かつ複雑な社会問題を解決していく力を養う!

ジャンル
発行年月日
2020/02/10
判型
A5
ページ数
144ページ
ISBN
978-4-339-06650-0
SDGs時代の 持続学のすすめ - あてになる人間への挑戦 -
在庫あり
2営業日以内に出荷致します。

定価

2,090(本体1,900円+税)

カートに入れる

購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介
  • 書籍紹介・書評掲載情報
  • 広告掲載情報

持続可能な社会を構築していくには,自分の専門分野を深めるだけでなく,関連する学際研究,教養や文化も学ぶことが大切である。本書ではそのような多面的な考え方を身につけ,昨今の多様かつ複雑な社会問題を解決していく力を養う。

グローバル化する知識基盤社会の中で,人類が抱えるさまざまな社会問題はより多様化・複雑化が進み,その解決にはより学際的アプローチが重要となる。このような状況下において,国連は将来世代のニーズを満足する能力を損なうことなく現在世代のニーズを満足する開発,すなわち持続可能な開発(発展)を提案し,持続可能な社会を構築する必要性を訴えた。また,その障害となる多様で複雑な問題を解決し,地球を包括的・総合的な視点から考え理解することが重要であり,そのためには教育や世界観を変革する必要があるとした。

そこで,日本は2002年の第57回国連大会で,環境的視点,経済的視点,社会・文化的視点から,より質の高い生活と,次世代も含むすべての人々にもたらすことができる開発や発展を目指し,持続可能な未来や社会構築のために行動できる人を育成することを目的とした「持続可能な開発(発展)のための教育」(ESD:Education for Sustainable Development)の提案を行った。そして国連は,2005年から2014年までを国連「ESDの10 年」と位置付け,世界各地で国や地域独自の協働的な取り組み「持続可能な社会づくり」を推進してきた。

その後,昨今の景気低迷や環境問題に追い討ちをかけるように,東日本大震災によって日本はこれまで経験したことのない大きな苦難に直面し,私たちは未来への希望を失いかけていた。希望ある未来を創造するためには,さまざまな専門を融合させ,多様化する課題を解決していかなければならない。そのため,近年,社会が求める学生像は大きく変化し,大学が輩出する学生には,社会人としての基礎力・教養・専門知識の活用力,さらには人間性が求められ,地域社会における大学の役割も,地域のリーダー的存在から「優れた人材育成の場」と変わりつつある。いまこそ「あてになる人間」が社会で求められる。

「持続学のすすめ」とは,この「あてになる人間」を育成するために,既存の学問を伝授するだけでなく,学生がそれぞれの能力や立場から「未来への希望」を描き,実践できるようになるための「生きる力」を養うことである。

社会の持続的発展とは何か,その実現のために何を学び,何を考えるか,自問自答しながらその答えを探し,どんな行動ができるかを学習する。それがESDである。ESDでは,持続可能な社会の構築に向けて,専門分野の知識を身につけるだけではなく,関連する学際研究や教養・文化・情報を学ぶことが大切であり,自分の専門分野を探求する意義を考えることが重要になる。このESDの精神は,2015 年9 月の国連サミットにおいて,地球を保護し,すべての人々が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す行動目標として採択された「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)に引き継がれている。現代社会の多様性に対してESDとSDGsの多面的な考え方を身につけ,環境問題と一言でくくることのできない社会問題や人間関係について議論していくことこそが,「持続学のすすめ」であるともいえる。

本書は,「持続学のすすめ」の実現を目指して,工学部,応用生物学部,生命健康科学部,国際関係学部のさまざまな専門の教員らで執筆をした。読者の皆さん,あてになる人間への挑戦として,「持続学のすすめ」をともに学んでいきましょう。
2020年1月 行本正雄 

1. SDGs時代におけるESDの役割
1.1 「持続可能な開発(発展)」とは何か
1.2 ESDのなりたち
1.3 国連「ESDの10年」の開始
1.4 日本の公教育におけるESDの推進
1.5 国連SDGsの開始
1.6 SDGs達成に向けたESDの役割
1.7 持続学への期待
引用・参考文献

2. 地球と生命40億年の持続
2.1 地球と生命の共進化― 40億年間持続した命のバトンタッチ ―
 2.1.1 地球は宇宙のどこに誕生したのか
 2.1.2 地球生命はどのように誕生したのか
 2.1.3 地球の酸素はどのようにもたらされたのか
 2.1.4 進化と絶滅の歴史
2.2 二酸化炭素は地球に何をしてきたのか― 地球を巡る炭素の旅 ―
 2.2.1 温室効果と二酸化炭素
 2.2.2 過去から未来へ― 温室効果と地球生命の持続 ―
 2.2.3 地球規模の長期的炭素循環
2.3 「人間とは何か」に迫る持続学
引用・参考文献

3. 安心して暮らせる生態系サービスの持続
3.1 身近な森林のいま
3.2 人工林(生産林)はそもそも手がかかる
3.3 所有者の問題,森林の歴史
3.4 森林荒廃の歴史
3.5 近代における木材需要の変化
3.6 今後も生態系サービスを享受するには
引用・参考文献
コラム3.1 微生物と持続社会
コラム3.2 ビタミンの話

4. 住宅・建築の省エネルギーと持続
4.1 住宅のエネルギー消費
 4.1.1 冷暖房
 4.1.2 給湯
 4.1.3 家電
4.2 ビルのエネルギー消費
 4.2.1 空調設備
 4.2.2 給排水
 4.2.3 電気設備
4.3 住宅・建築の省エネルギーについて
 4.3.1 冷暖房の省エネルギー
 4.3.2 給湯装置の省エネルギー
 4.3.3 太陽光発電システム
 4.3.4 ZEB,ZEHとは何か
4.4 実態を理解して持続可能な社会に
引用・参考文献
コラム4.1 持続学の観点からエネルギー利用を考える

5. 資源循環と持続
5.1 わが国の物質フロー
5.2 廃棄物と資源の違い
5.3 3R社会とプラスチックリサイクル
5.4 エネルギーの自給とバイオマス利活用
5.5 未来への期待
引用・参考文献
コラム5.1 アメリカのエネルギー事情とエネルギー政策

6. 経済のグローバル化時代における民主主義・人権の行方
6.1 グローバル経済の発展と市場優先による社会秩序の崩壊
6.2 種子を巡る紛争 ― 多国籍企業対農民と地域共同体の攻防
6.3 生命特許の始まり
6.4 問題の歴史的原因を探る
引用・参考文献

7. “人(ひと・ヒト)”が生きる・生活するための持続
7.1 ヒトの持続
7.2 ひとが生きる持続
7.3 人と社会の持続
7.4 “持続”は誰のためにあるのか
引用・参考文献

8. 健康・ライフスタイルと持続
8.1 健康とは
8.2 生活習慣病とは
8.3 食事の意義
8.4 喫煙の弊害
 8.4.1 ニコチン依存
 8.4.2 慢性閉塞性肺疾患
8.5 飲酒の問題
8.6 大学生の生活習慣と依存
引用・参考文献

あとがき
索引

古澤 礼太(フルサワ レイタ)

工藤 健(クドウ タケシ)

上野 薫(ウエノ カオル)

金政 真(カナマサ シン)

吉村 和也(ヨシムラ カズヤ)

山羽 基(ヤマハ モトイ)

平沢 太郎(ヒラサワ タロウ)

河内 信幸(カワウチ ノブユキ)

羽後 静子(ハノチ セイコ)

伊藤 守弘(イトウ モリヒロ)

藤丸 郁代(フジマル イクヨ)

消費と生活2020年3・4月号(株式会社消費と生活社) 掲載日:2020/03/02

「読売新聞」夕刊READ&LEAD(2020年2月18日) 掲載日:2020/02/25

掲載日:2020/06/24

「電気学会誌」2020年7月号広告

掲載日:2020/02/07

読売新聞広告掲載(2020年2月7日)