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レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

シリアスゲーム
【書評】日本大学理工学部 松野 裕 教授

本書は近年日本においても広く認識されつつあるシリアスゲームに関する最新の知見や動 ...続きを読む 向がまとめられており、シリアスゲームの教育、研究、開発に関わりたい学生や教員、企業の方に最適である。

1章では、シリアスゲームとはなにか、概念の整理から類似概念との関係がまとめられている。シリアスゲーム(Serious Games)という言葉自体は1970年代にはじめて登場し、2000年代に研究が活発になったことが示されている。本書ではシリアスゲームは狭義には(1)娯楽を超えた特定の効能や用途的意図を伴い、(2)ゲームプレイに関係する形でデザインされた、ゲームの開発・利用と定義されている。特に興味深いのは、シリアスゲームでは開発者が娯楽以外の意図(学習)を持つ場合と持たない場合、利用者が娯楽以外の意図を持つ場合と持たない場合で、4つの場合があることが図で示されていることである。狭義のシリアスゲームは、開発者と利用者双方が学習などの娯楽以外の目的を明示的に持っている場合である。一方、開発者と利用者双方が娯楽のみを目的としたゲームは一般的なゲームとされる。評者は素朴に、ゲームとは楽しむものであり、娯楽よりも学習など他の目的を持つシリアスゲームは、果たしてゲームなのかという疑問を持っていた。この疑問に答える回答を評者はまだ持っていないが、本書で示されている従来のゲームとシリアスゲームの対比は示唆に富んでいる。

2章ではシリアスゲームが提唱された時期からの歴史的展開や初期の代表的な事例、国内での展開が概観されている。シリアスゲームへの関心の高まりは2000年前後の時期に米国で行われた産官学連携による2つのゲーム開発プロジェクト、大学経営シミュレーション「Virtual U」および米陸軍が新兵募集マーケティングのために開発した「America’s Army」がその流れを作ったことが書かれている。Virtual Uは250以上の大学で利用された。America’s Armyは2,700万ドル以上の予算を使って開発され、2,000万人を超えるアクティブユーザーに利用された。この2作品は従来のゲーム会社ではなく、大学や非営利組織、デジタルゲーム開発会社などの連携により開発された。2,000年代はゲーム機の高性能化が進んだ時期であり、デジタルゲーム会社は娯楽以外の新たな領域を求め、研究者や教育者、行政担当者はエンターティメントの枠を超えたゲームの利用への理解が進み、シリアスゲームの大きな流れが生まれたことが解説されている。2001年9月11日に起きた同時多発テロで多くの経験豊かな消防士を失い、新たな訓練方法へのニーズが高まる中、消防士訓練シリアスゲーム「Hazmat: Hotzone」がニューヨーク消防局で採用されるなど、米国におけるシリアスゲームの広範囲な活用が紹介されている。これらのシリアスゲームの開発や応用は、諸領域横断的なコミュニティ形成によりなされてきたことが紹介されている。評者はシリアスゲームに関わる前は、シリアスゲームの欧米での活用は知っておらず、2章で紹介されている事例は非常に興味深かった。

3章ではシリアスゲームのデザインについて解説されている。3.1節では、これまでシリアスゲームやゲーム学習の一般的なデザインモデルが提案されており、本書ではスタールダイネン&でフレイタスの「ゲームをベースにした学習のフレームワーク」が紹介されている。シリアスゲームのデザインを始めるにあたって、まず本書の3章をスタート地点にするとよい。3.2節では学習領域に合わせたシリアスゲームの事例として、防災の学習領域のシリアスゲームとして「Stop Disasters!」、歴史の学習領域のシリアスゲーム「Mission US」を取り上げ、それぞれ3.1節で紹介されたフレームワークに沿いながら、[1]学習目的・ゲームゴール・学習コンテンツ、[2]プレイの流れ・インストラクション、[3]フィードバック・ディブリーフィングをそれぞれのゲームで解説している。評者は人が熱中する、面白いゲームを作るための方法論は存在しないのではないかと考えるが(もし存在するならば、すべてのゲームは面白くできるはずだが、残念ながらそうではない)、本章のようなゲームデザインの方法論は、面白いゲームを作るための前提知識として、非常に重要である。

4章ではデジタルゲームやカードゲームなどのアナログゲームの、ゲームの形態、メディアによるシリアスゲームの学習効果などの評価が解説されている。例として「ジョブスタ」という、新しい仕事を発想することを競うゲームの、カードゲーム版、オンライン版、ビデオ会議版の比較が解説されている。

5章ではシリアスゲームの開発論として、従来のソフトウェア工学の手法をもとにしたSLCPと呼ばれる手法が解説されている。シリアスゲーム開発もソフトウェア開発であり、評者はソフトウェア工学の知見が活かせる分野ではないかと考えていたが、SLCPの解説を読み、シリアスゲームが、ソフトウェア工学を含む様々な分野の学際横断的な研究領域になりうることを確信した。

6章ではシリアスゲームを運動と関連付けた、エクサゲームについての紹介がされている。リハビリテーションや高齢者の運動促進などにエクサゲームが活用されている事例や、エクサゲームを通じたコミュニティ形成について述べられている。

7章では地方創生のためのシリアスゲームの活用事例が多く紹介されている。地域の課題解決のためにシリアスゲームを地方創生ゲームと定義している。岐阜県を題材として「岐阜クエスト」、群馬県をテーマとした「ぐんまのやぼう」など、地方創生のために様々なシリアスゲームが紹介されている。本章では地方創生ゲーム開発の事例を公費投入型地方創生ゲーム (地方創生RPGシリーズ、VRを用いた「タイムトリップ堺」、ARを用いた「AR長岡京」など)、個人・インディーゲーム会社による開発(「コロニーな生活」、「ぐんまのやぼう」など)、および産業育成型地方創生ゲーム(「喰人記」など)などにわけて紹介している。地方創生のためのゲーム開発が多くなされていることは、評者は知っておらず、非常に参考になった。

8章ではシリアスゲームの今後の展望と課題が述べられている。
筆者はソフトウェア工学および信頼性や安全・安心をテーマとして研究しており、学生が興味を持ちそうなテーマとして、防災をテーマとしたシリアスゲームを2018年より学生の卒論、修論のテーマとして研究開発を行ってきた。さらに2022年に著者の一人である日本大学生産工学部の古市昌一特任教授から、ゲームジャムを紹介していただき、2024年の3月には日本大学理工学部で防災シリアスゲームジャムを開催した(https://www.matsulab.org/#/event )。参加者は総数で60名になり、有意義なイベントになった。しかしながら「ゲーム」と名前がつくと、いまだそれは大学で行うものではない、研究ではないという雰囲気を大学で感じることもある。また、シリアスゲームはゲームであり、本当に面白くなければ、やがて誰も遊ばなくなる。残念ながら「面白い」ゲームを作る方法(その方法に従えば必ず面白いゲームが作れるという意味での方法論)は存在しない。ゲームは学問化、形式化しにくい分野であると評者は考えるが、本書はそのような現状において、ゲームの持つ力を様々な分野で活用するための最新の情報が記されている。一読を勧めたい。

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