ディジタル通信システム工学講義ノート

ディジタル通信システム工学講義ノート

積極的に書き込めばオリジナルなノートに。学力を問わない通信システム工学の教科書。

ジャンル
発行年月日
2023/04/25
判型
B5
ページ数
136ページ
ISBN
978-4-339-02935-2
ディジタル通信システム工学講義ノート
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定価

2,640(本体2,400円+税)

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通信ネットワーク技術者を目指す学生に向けた,通信システム工学の教科書。本文中に設けた空欄を埋め,積極的に書き込めばオリジナルなノートとなる。幅広い技術を平易に解説し,大学初等教育で学ぶ数学系科目との関連にも触れた。

いまや通信ネットワークは生活に必要不可欠な社会インフラの一つであり,通信ネットワーク技術者に対する産業界からの需要は高い。そのような技術者を目指す学生にとって通信システム工学は必要な専門科目である。著者はこれまで10年以上にわたり,地方の私立大学の工学部において,通信システム工学を教えている。

18歳人口の減少もあり,大学入学者の学力は多様化している。携帯電話やタブレットが身近な存在であることから通信ネットワーク技術者を志したものの,三角関数や微分積分に精通していない学生も多く,ノートをとる習慣が身についていない学生すら少なからず存在している。さらには,学部1,2年の頃に学ぶ数学系の科目に対し,将来通信システム工学を学ぶ際に必要になることを理解できぬまま挫折してしまう学生も少なくない。

近年の通信ネットワークの進化は激しい。通信システムに関する書籍は多数あり,カラー刷りの書や,平易な表現の書もあるものの,単に用語の理解にとどまってしまっては将来技術者として活躍するためには不十分である。一方,理論的に正確に書かれた書籍は,学習習慣が身についていない学生にとって,独学で読みこなすのは容易ではない。

本書は工学部系の大学学部学生を対象として,前述のように多様な学生に対しても学習効果が得られるような教科書を目指している。本書の特徴は以下の3点である。①初学者の段階で数学系の科目への興味を失わないよう,大学初等教育で学修する数学系の科目が通信システムを学ぶうえでどのように関連するかを学ぶ章を設けた(著者の所属している大学では学部1年生向けに通信工学入門という講義を開講しており,本章はこのテキストとなっている)。②本文の記述中に空欄を設け,講義を聞きながら,その空欄を自ら埋めていく作業を読者に課している。手を動かすことにより知識の定着をはかるだけでなく,読者が本書に積極的に書き込みを入れることにより,読者にとってオリジナルなノートとなることを目指している。③通信ネットワークが今後進化しても,基礎となる理論を修得できるよう配慮するとともに,幅広い技術を平易に解説することを心掛けた。なお,本書空欄の解答はコロナ社の本書書籍詳細ページ(https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339029352/)に掲載されている(p.58参照)。

ICTシステムの利活用が進み,e-ラーニングや,e-ラーニングを事前学習に利用する反転授業が注目されてきている。事前学習として空欄を埋める作業を課し,反転授業の際に問題演習を行うことにより,本書はこのような学習システムに対しても,学習効果を上げることができるような教科書となることを目指している。

2023年2月
工藤栄亮

1.通信システム入門
1.1 通信システムとは
1.2 通信システムのパラメータ
 1.2.1 周波数と波長
 1.2.2 デシベル
1.3 通信システムと解析
1.4 通信システムと線形代数
 1.4.1 行列
 1.4.2 誤り訂正符号
 1.4.3 MIMO
1.5 通信システムと確率・統計
 1.5.1 誤り率
 1.5.2 確率変数と確率密度関数
演習問題

2.情報源符号化と通信路符号化
2.1 情報源符号化
2.2 通信路符号化
演習問題

3.フーリエ級数・フーリエ変換
3.1 フーリエ級数
3.2 フーリエ変換
3.3 フーリエ変換の性質
 3.3.1 偶関数と奇関数
 3.3.2 双対性
 3.3.3 縮尺性
 3.3.4 時間シフト
 3.3.5 周波数シフト
 3.3.6 微分
 3.3.7 積分
 3.3.8 畳込み
演習問題

4.線形システム
4.1 インパルス応答と伝達関数
4.2 複数の線形システムの縦続接続
4.3 理想低域通過フィルタ
4.4 理想帯域通過フィルタ
演習問題

5.ディジタル変調
5.1 ベースバンド伝送
5.2 搬送波帯域伝送
 5.2.1 2ASK
 5.2.2 2FSK
 5.2.3 2PSK
 5.2.4 QAM
演習問題

6.ディジタル復調
6.1 ディジタル伝送における最適受信フィルタ
6.2 ディジタル復調における誤り率
6.3 検波
演習問題

7.多重伝送
7.1 各種多重アクセス方式(FDMA,TDMA,CDMA)
7.2 DS-CDMA
7.3 OFDM
 7.3.1 対称性
 7.3.2 循環シフト
7.4 ランダムアクセス方式
 7.4.1 ピュア・アロハ方式
 7.4.2 スロッテッド・アロハ方式
 7.4.3 CSMA/CA
演習問題

8.さまざまな通信システム
8.1 携帯電話システム
 8.1.1 セル構成
 8.1.2 移動無線伝搬路
 8.1.3 フェージング下における誤り率
8.2 衛星通信システム
演習問題

9.通信トラヒック解析
9.1 即時系
9.2 待時系
 9.2.1 待ち合わせ許容呼数mが無限大∞の場合
 9.2.2 待ち合わせ許容呼数が有限の場合
9.3 ユーザ数が有限の場合
 9.3.1 即時系
 9.3.2 待時系
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引

読者モニターレビュー【 アマサイ 様(専門分野:電子工学 】

ディジタル通信技術の進歩は早い。プロでも頻繁に技報をチェックしなければならない。しかし、その基礎は何十年も変わっていない。それさえ知っていれば、最新ニュースも容易にキャッチすることができる。それにはある程度教科書で学ばねばいけないだろう。それには本書がうってつけである。通信システムの基礎、符号化理論、多重通信などが1冊におさまっている。なにより本書はワークブック形式になっている。自分で完成させることのできる教科書なのだ。フーリエ級数/変換は難しいと感じるかもしれない。でも実は、高校数学と高校物理をマスターしていれば比較的理解できるのである。そこは著者の長年工学部での教育経験が活きている。背伸びをしたい高校生、現在通信工学を学んでいる大学生、通信工学技術など忘れてしまったという社会人の学びなおしにもよいかもしれない。私も本書大いに技術基礎力を向上させようと思う。

工藤 栄亮(クドウ エイスケ)

掲載日:2023/12/29

電子情報通信学会誌2024年1月号

掲載日:2023/06/30

芸術科学会誌「DiVA」54号

掲載日:2023/05/01

電子情報通信学会誌2023年5月号

掲載日:2023/04/03

電子情報通信学会誌2023年4月号

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