航空交通管理システム概論

航空交通管理システム概論

航空交通管理分野を見渡し,その専門や知識に関わらず,学びたい人の指針となる一冊。

ジャンル
発行年月日
2023/03/10
判型
A5
ページ数
228ページ
ISBN
978-4-339-02932-1
航空交通管理システム概論
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定価

3,850(本体3,500円+税)

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【本書の特徴】
航空交通管理は, 航空機の運航において不可欠な存在であり, きわめて重要な学術・研究分野です。将来的に, 航空輸送の需要は増大すると予測されており, さらには無人航空機や「空飛ぶクルマ」のようなさまざまな形態の運航が関わることも予想されています。一方で, 世界的にもまだ新しい分野であるため, その基盤となる知識体系をまとめた羅針盤となる専門書になるよう, 本書を執筆しました。
本書では, 航空交通管理をハードウェア, ソフトウェアだけでなく, 航空機の運航に関わるさまざまなプレーヤを含む人間社会のような, 多様な要素から構成される社会技術システムと捉え, その成り立ちと現状, システム設計と評価に関わる研究開発, 社会実装に至るプロセスと課題を概観して論じます。

【構成と読みかた】
本書は, 著者が東京大学大学院工学系研究科で担当している「航空交通管理特論」の講義ノートを編集した教科書です。講義を開始した当初は, 航空宇宙工学を専攻する大学院生を受講対象に想定しましたが, 思いがけず, 理系分野の他専攻だけでなく, 法学や経済学などを専攻する学生も受講しています。そこで本書は, さまざまな専門分野の読者を想定し, 構成と読み方に工夫を凝らしました。

本書は,第1~第6 章を第Ⅰ編,第7~第10 章を第Ⅱ編と整理しています。
第Ⅰ編「航空交通管理システムの成り立ち」各章の内容は以下のとおりです。
第1 章: 1903 年のライトフライヤー号初飛行から今日の航空交通管理に至る歴史と,将来の航空交通管理システムの展望
第2,第3 章: 航空交通管理システムの理解に必要な最小限の専門知識
第4 章: 航空交通における航空機運動の理解を深めるための,航空機の力学モデルと誘導制御則
第5 章: 複数の航空機からなる航空交通流を模擬する数理モデルの解説
第6 章: 航空交通管理システムの設計と,社会実装に向けた評価方法

数式を扱いたくない読者は,第4,第5 章を読み飛ばし,第1,第2,第3,第6 章,と読み進めていただいても,分野全体の基礎を学ぶことができます。

また,本分野の基礎知識を有する読者は,第Ⅰ編を読み飛ばして,第Ⅱ編に進んでください。第Ⅱ編「新しい航空機運航と航空交通管理システム」はおもに著者が携わった研究開発を中心にした内容であり,各章の内容は以下のとおりです。
第7,第8 章: 新しい航空交通管理システムの代表例として,航空機の自律飛行と,大規模空港における航空機の到着・出発・空港面の航空交通の効率運用を支援するシステムの紹介
第9 章: 燃料消費量の削減など,航空機の運航の観点から地球環境への負荷を低減する運用の紹介
第10 章: ドローンなどのさまざまな形態の無人機について,飛行リスクを最小にする運用概念

このように,分野のすべてを一冊に盛り込むことこそできませんが,分野全体を見渡せる構成にしました。本書で取り上げたキーワードと引用・参考文献を起点に,読者のさらなる知的探求に繋げていただくこと, そして本書が, 航空交通管理における学際的発展と新規開拓に役立つことを願っております。

【キーワード】
航空交通管理, 航空管制, 航空機, 航空交通流, 社会技術システム, システム設計, データサイエンス, 数理モデル, シミュレーション, 社会実装, 自律飛行, 航空機力学, 誘導制御, 空港, 燃料消費, 地球環境, ドローン, 無人航空機, 空飛ぶクルマ

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

航空交通管理は,航空機の運航において不可欠な存在であり,きわめて重要な学術・研究分野でもある。将来的に,航空輸送の需要は増大すると予測されており,さらには無人航空機などさまざまな形態の運航が関わることも予想される。一方で,世界的にもまだまだ新しい分野であるため,その基盤となる知識体系をまとめた羅針盤となる専門書が必要である。そこで本書では,航空交通管理をハードウェア,ソフトウェアだけでなく,航空機の運航に関わるさまざまなプレーヤを含む人間社会のような,多様な要素から構成される社会技術システムと捉え,その成り立ちと現状,システム設計と評価に関わる研究開発,社会実装に至るプロセスと課題を概観して論じる。本書は,著者が東京大学大学院工学系研究科で担当している「航空交通管理特論」の講義ノートを編集した教科書である。著者が講義を始めた当初は,航空宇宙工学を専攻する大学院生を受講対象に想定していた。しかし思いがけず,理系分野の他専攻だけでなく,法学や経済学などを専門にする学生からも受講の希望があり,2022年からはリカレント教育を対象とした講義科目にも認定されるなど,分野の拡がりを感じている。そこで,さまざまな専門分野の読者を想定した,本書の構成と読みかたを図に表した。

本書は,第1~第6章を第Ⅰ編,第7~第10章を第Ⅱ編と整理している。第Ⅰ編「航空交通管理システムの成り立ち」各章の内容は以下のとおりである。

第1章:1903年のライトフライヤー号初飛行から今日の航空交通管理に至る歴史と,将来の航空交通管理システムの展望
第2,第3章:航空交通管理システムの理解に必要な最小限の専門知識
第4章:航空交通における航空機運動の理解を深めるための,航空機の力学モデルと誘導制御則」
第5章:複数の航空機からなる航空交通流を模擬する数理モデルの解説
第6章:航空交通管理システムの設計と,社会実装に向けた評価方法

数式を扱いたくない読者は,第4,第5章を読み飛ばし,第1,第2,第3,第6章,と読み進めていただいても,分野全体の基礎を学ぶことができる。

また,本分野の基礎知識を有する読者は,第Ⅰ編を読み飛ばして,第Ⅱ編に進んで欲しい。第Ⅱ編「新しい航空機運航と航空交通管理システム」はおもに著者が携わった研究開発を中心にした内容であり,各章の内容は以下のとおりである。

第7,第8章:新しい航空交通管理システムの代表例として,航空機の自律飛行と,大規模空港における航空機の到着・出発・空港面の航空交通の効率運用を支援するシステムの紹介
第9章:燃料消費量の削減など,航空機の運航の観点から地球環境への負荷を低減する運用の紹介
第10章:ドローンなどのさまざまな形態の無人機について,飛行リスクを最小にする運用概念

第7,第8章に表すシステムは相互に作用しているので参考にしていただきたい。また,第9,第10章には,近年,特に注目される社会課題を含む内容を取り上げた。

このように,分野のすべてを一冊に盛り込むことこそできないが,分野全体を見渡せるよう,本書の構成には工夫を凝らした。取り上げたキーワードと引用・参考文献を起点に,読者のさらなる知的探求に繋げていただきたい。本書が航空交通管理における学際的発展と,新規開拓に役立つことを願ってやまない。

本書の執筆にあたり,研究室の一期生である東京大学の加藤古都さん,日笠航希さん,森川暢明さんには,初の読者として忌憚なき意見をいただいた。閲読者を引き受けてくださった,電子航法研究所の蔭山康太さん,大津山卓哉さん,宮崎裕己さん,東京大学の岩田大輝さん,東京理科大学の関根將弘さん,国土交通省航空局の齋藤賢一さんと関係各所の皆様からは,専門的かつ有益な助言を頂戴した。加えて,本書の企画から出版に至るまで,編集,イラスト,校正,印刷,製本に携わっておられる方々の多大なご協力をいただいた。皆様方に,心から感謝の意を表したい。

2023年1月
伊藤恵理

第Ⅰ編 航空交通管理システムの成り立ち
1.航空交通管理の歴史
1.1 黎明期:1903年~1920年代
1.2 航空管制システムの基盤構築:1930年代~1960年代
1.3 日本の航空管制
1.4 21世紀の航空交通管理
 1.4.1 CNS/ATM構想
 1.4.2 世界の航空交通管理システム研究開発
 1.4.3 統合管制情報処理システム
引用・参考文献

2.航空交通管理の原理
2.1 航空交通業務と空域
 2.1.1 航空交通業務
 2.1.2 飛行情報区
 2.1.3 空域の分類
 2.1.4 航空保安業務
2.2 運用の基準
 2.2.1 単位
 2.2.2 高度
 2.2.3 位置と距離
 2.2.4 速度
 2.2.5 方位
2.3 飛行経路
 2.3.1 航空路とRNAV経路
 2.3.2 洋上経路
 2.3.3 標準計器出発方式(SID)と標準計器到着方式(STAR)
2.4 管制間隔
 2.4.1 縦・横・垂直方向の最小間隔
 2.4.2 後方乱気流区分
2.5 管制業務
 2.5.1 航空路管制業務
 2.5.2 進入管制業務
 2.5.3 飛行場管制業務
 2.5.4 航空交通管理管制業務
 2.5.5 出発から到着までの航空交通管理の流れ
2.6 運用方式
 2.6.1 間隔調整
 2.6.2 ポイントマージ
 2.6.3 ファン
 2.6.4 トロンボーン
 2.6.5 待機
 2.6.6 着陸・進入復行
2.7 航空気象
 2.7.1 航空機と気象
 2.7.2 高高度および飛行場周辺の気象情報
 2.7.3 航空気象情報
引用・参考文献

3.通信・航法・監視技術
3.1 通信
 3.1.1 航空通信
 3.1.2 周波数帯と電波の特徴
 3.1.3 遠隔対空通信
 3.1.4 国際対空通信
 3.1.5 航空衛星通信
 3.1.6 航空管制官-パイロット間データリンク通信
 3.1.7 運航管理通信用データリンク
3.2 航法
 3.2.1 航法の種類
 3.2.2 地文航法
 3.2.3 天文航法
 3.2.4 電波航法
 3.2.5 自律航法
 3.2.6 衛星航法
 3.2.7 推測航法
 3.2.8 広域航法
3.3 監視
 3.3.1 監視レーダー
 3.3.2 自動従属監視

4.航空機の運動と制御
4.1 航空機運動の基礎
 4.1.1 機体姿勢と地球座標
 4.1.2 速度系
 4.1.3 操縦と舵面
4.2 航空機運動の力学モデル
 4.2.1 航空交通管理と航空機モデル
 4.2.2 大気モデル
 4.2.3 対気速度の変換
 4.2.4 全エネルギーモデル
 4.2.5 空力係数
 4.2.6 運航可能範囲
 4.2.7 推力
 4.2.8 燃料消費量
 4.2.9 航空会社の運航手順
 4.2.10 最大加速度
 4.2.11 バンク角
 4.2.12 待機速度
 4.2.13 地上走行速度
4.3 質点モデルにおける航空機の軌道と誘導制御モデル
 4.3.1 航空機の軌道計算
 4.3.2 対地速度と横滑り角
 4.3.3 誘導制御則
 4.3.4 水平面の制御–LNAVモデル–
 4.3.5 速度と飛行経路角の制御–VNAVモデル–
引用・参考文献

5.航空交通流の数理モデル
5.1 待ち行列モデル
 5.1.1 航空交通を模擬する待ち行列モデル
 5.1.2 G/G/cモデル
 5.1.3 待ち行列モデルの応用
5.2 確率的動的彩色型ペトリネットモデル
 5.2.1 大規模複雑システムのモデル
 5.2.2 マルチエージェントモデル
 5.2.3 ローカルモデル
引用・参考文献

6.航空交通管理システムの設計と評価
6.1 社会実装に向けた研究開発
6.2 データサイエンスの応用
 6.2.1 航空交通データ
 6.2.2 データ分析
 6.2.3 機械学習の応用
6.3 シミュレーション実験
 6.3.1 ファストタイムシミュレーション
 6.3.2 リアルタイムシミュレーション
引用・参考文献

第Ⅱ編 新しい航空機運航と航空交通管理システム
7.航空機の自律飛行
7.1 航空管制と自律飛行
 7.1.1 オートメーションサプライズ
 7.1.2 人間オペレータと協調する自動化システム
7.2 機上監視応用:ASA
 7.2.1 ASAの概念
 7.2.2 ASA方式の実装レベル
7.3 ATSAの代表的な応用方式
 7.3.1 AIRB
 7.3.2 VSA
 7.3.3 SURF
 7.3.4 ATAS
 7.3.5 ITP
 7.3.6 CAVS
7.4 IM
 7.4.1 IM応用方式の概要
 7.4.2 研究開発と実用化
 7.4.3 便益
 7.4.4 IMアビオニクス
 7.4.5 FIM速度制御則
 7.4.6 GIMの機能
引用・参考文献

8.空港の効率運用
8.1 到着管理システム:AMAN
 8.1.1 AMANの概念
 8.1.2 TMA
 8.1.3 到着遅延と運用コスト
 8.1.4 地域特性に応じたシステム設計
8.2 出発・空港面管理システム:DMAN/SMAN
 8.2.1 出発スケジューリング
 8.2.2 地上走行の支援機能
 8.2.3 滑走路容量
引用・参考文献

9.環境負荷を低減する運航
9.1 航空機の運航と地球環境
9.2 継続降下運用:CDO
9.3 OPD
9.4 FPA降下
9.5 高エネルギー状態とCDO
引用・参考文献

10.無人航空機と航空交通管理
10.1 無人機の運航
10.2 低高度空域における無人機の運用概念
 10.2.1 低高度空域での交通管理
 10.2.2 飛行認証と安全性
 10.2.3 リスクの定量化
10.3 高高度空域における無人機の運用概念
 10.3.1 機材と運航
 10.3.2 運航とリスク
 10.3.3 高層クラスEでの交通管理
引用・参考文献

索引

amazonレビュー

伊藤 恵理

伊藤 恵理(イトウ エリ)

専門は, 航空交通管理, 航空管制科学, 誘導航法, マンマシンインターフェイス工学, 大規模複雑システムのモデル化とシミュレーション。これらの分野を中心に, データサイエンス, 数理モデル, シミュレーション実験に基づく社会技術システムの設計, 評価, 実装に従事。2007年 東京大学大学院工学系研究科 博士課程修了(航空宇宙工学専攻)。ユーロコントロール, オランダ航空宇宙研究所, NASAエイムズ研究所, 電子航法研究所, 南洋理工大学等での研究歴を経て, 2022年 東京大学 教授 に至る。国連の専門組織である国際民間航空機関(ICAO)にて国土交通省航空局アドバイザーとして国際規格を策定するほか, 国土交通省 交通政策審議会, 日本学術会議など, 国内外で複数の学術・政府機関での研究活動や施策決定に携わる。国際航空科学会議(ICAS)よりMcCarthy Award、John J.Green Award 等受賞, 著書に『空の旅を科学する 人工知能が拓く!?21世紀の航空管制』,『みんなでつくるAI時代 これからの教養としてのSTEAM』がある。 2012年TEDxKyoto, 2021年TEDxWasedaUに登壇するなど, メディア等を通じたアウトリーチ活動や, 企業・教育機関での講演も多数実施している。

「月刊エアライン」2023年5月号 掲載日:2023/03/29


「航空技術」2023年4月号 掲載日:2023/04/05


掲載日:2024/02/07

読売新聞広告掲載(2024年2月7日)

掲載日:2023/10/03

交通工学研究会誌「交通工学」第58巻4号

掲載日:2023/09/19

日本機械学会 2023年度年次大会総合プログラム広告

掲載日:2023/07/05

日本機械学会誌2023年7月号

掲載日:2023/05/17

情報処理学会誌「情報処理」2023年6月号広告

掲載日:2023/05/01

電子情報通信学会誌2023年5月号

掲載日:2023/04/03

函館新聞広告掲載(2023年4月3日)

掲載日:2023/03/30

日刊工業新聞広告掲載(2023年3月30日)

掲載日:2023/03/15

電子情報通信学会2023年総合大会プログラム広告

掲載日:2023/03/15

日本航空宇宙学会誌2023年3月号

掲載日:2023/03/13

「計測と制御」2023年3月号

掲載日:2023/03/07

読売新聞広告掲載(2023年3月7日)

掲載日:2023/03/01

電子情報通信学会誌2023年3月号

掲載日:2023/03/01

函館新聞広告掲載(2023年3月1日)