コンテンツクリエーション (改訂版)

メディア学大系 3

コンテンツクリエーション (改訂版)

  • 三上 浩司 東京工科大教授 博士(政策・メディア)
  • 戀津 魁 東京工科大助教 博士(メディアサイエンス)
  • 近藤 邦雄 東京工科大名誉教授 工博
  • 茂木 龍太 東海大講師 博士(メディアサイエンス)
  • 兼松 祥央 東京工科大助教 博士(メディアサイエンス)

映像コンテンツの制作工程,シナリオやキャラクター制作の考え方や技術をひと通り解説

ジャンル
発行年月日
2023/03/23
判型
A5
ページ数
204ページ
ISBN
978-4-339-02799-0
コンテンツクリエーション (改訂版)
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定価

2,970(本体2,700円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

【読者対象】
映像コンテンツの制作工程,シナリオやキャラクター制作の工学的な考え方や技術を学ぼうとする学生

【書籍の特徴】
筆者らは映像作品の工学的な分析に基づく「シナリオの執筆・評価手法」や「キャラクターメイキング・評価手法」,「ミザンセーヌ手法(演出手法)」など,勘と経験による制作手法を体系化する研究と教育を行ってきました。これらの成果をもとに文・理・芸融合の学部であったメディア学部の特徴を生かし,コンテンツの制作技能の習得とディジタル映像の原理や技術の教育を行ってきました。そして1年次からCGアニメやゲームなどの開発に参加できるカリキュラムを活用し,独自の教材や制作システムを開発して,制作とそれを支える技術の双方を関連付けて学べる仕組みを生み出しました。これは,単に既存のソフトを使用して映像制作をするのではなく,その仕組みや原理を理解することができるような教育内容です。本分野の教育研究成果は学会や産業界で高い評価を得ています。本書はこれらの教育成果をもとに執筆しました。

【各章について】
第1章ではコンテンツクリエーションと産業,コンテンツにかかわるスタッフとキャリアパス,およびクリエーションにかかわるリソースについて述べ,市場や資金,費用などのプロデュースの視点から考え方を紹介しています。第2章では,コンテンツの制作工程について述べています。とくにディジタル化によって進化するパイプラインについて焦点をあてています。さらに,プレプロダクション段階における企画,シナリオ,デザイン,ミザンセーヌ,そして,プロダクション,ポストプロダクション段階について説明しています。
第3章では、シナリオライティングの手法とシナリオ制作支援システムについて解説し,シナリオ制作の実際について述べています。さらにシナリオエンジンの使い方に加え,その仕組みなどを解説しています。
第4章では,ストーリーやキャラクターの行動,性格設定などのリテラル資料の作成や,キャラクター原案の制作などを考慮したディジタルキャラクターメイキング手法と制作事例をもとにキャラクターメイキングの実際について紹介しています。第5章ではDREAMプロセスにおけるビジュアル化のための手法とデザイン支援システムを解説し,第6章では演出のためのライティングやカメラワークの支援システムについて解説した。コンテンツクリエーションのための支援システムの説明を加えるとともに,支援システムやテンプレートを公開してコンテンツクリエーションの演習を実施しやすくした。本書をもとにした制作体験を通じて,コンテンツ制作の基礎を習得できることを狙っている。

【著者からのメッセージ】
私たちは,高度なコンテンツ制作技術の教育と研究開発に取り組んできました。従来から,一部の芸術系大学のなかで対象とされてきたコンテンツ教育において,工学的な知識の再構築を行いました。これは経験や勘などの暗黙知を形式知化しコンテンツ制作手法を体系化する研究です。この研究成果は産業界からも注目を集めるコンテンツ制作手法です。多くの学生が,この書籍でコンテンツ制作手法を学び,多くの魅力ある映像コンテンツやゲームを制作できるようになることを信じています。

改訂版の発行に寄せて

『コンテンツクリエーション』初版第1刷の出版から8年が経ち,コンテンツクリエーションにおけるシナリオ,キャラクター,演出の研究を行っている戀津魁,茂木龍太,兼松祥央を共著者に迎え,研究の進捗を取り入れた改訂版を発行することになった。

本改訂のおもな内容は以下の通りである。1章では産業界の発展による最新の情報を追加し,3章ではシナリオエンジンの使い方に加え,その仕組みなどを解説した。また,初版の第4章を分割し,改訂版では4章キャラクターメイキング,5章キャラクターデザイン,6章演出・ミザンセーヌとした。

4章ではキャラクターメイキングに関する教育経験をもとに,DREAMプロセスに基づいたテンプレートを利用した実例を新たにした。5章ではDREAMプロセスにおけるビジュアル化のための手法とデザイン支援システムを解説,6章では演出のためのライティングやカメラワークの支援システムについて解説した。

また,改訂版ではコンテンツクリエーションのための支援システムの説明を加えるとともに,支援システムやテンプレートを公開してコンテンツクリエーションの演習を実施しやすくした。本書をもとにした制作体験を通じて,コンテンツ制作の基礎を習得できることを狙っている。

2023年1月
著者一同


まえがき
本書は,映像コンテンツの制作工程,シナリオやキャラクター制作の工学的な考え方や技術を学ぼうとする学生を対象としたコンテンツ制作技術の教科書である。

アニメやゲームなどのコンテンツは日本文化の一端を担っており,国際的な競争力も高く,多くの国から注目を集める分野である。欧米を代表とする諸外国では,アニメーションやゲーム,映画などのコンテンツを専門とする大学が多く存在している。一方で,日本は制作現場での実務による習得や現場の経験が重視され,これまで体系的な高等教育がなく,専門学校等における実務教育が中心であった。筆者らは1999年メディア学部設立時から,工科系大学を基盤とする高度なコンテンツ制作技術の教育と研究開発に取り組んできた。従来は,一部の芸術系大学のなかで,対象とされてきたコンテンツ教育において工学的な知識の再構築を行い体系化することによって,産業界からも注目を集めるコンテンツ制作教育手法を確立してきた。

この研究教育を実践するなかで,大学内にアニメやゲームなどの制作プロダクション体制を整備し,この制作環境を活用し学生をプロジェクトベースで教育することによって,産業界が必要とするディジタル映像制作のための人材を育成してきた。これらの人材はクリエイティブな制作経験を積むと同時に高度な情報技術を身に付けることができるため,産学連携のプロジェクトが数多く生まれ,それら学術界のみならず産業界で高く評価されている。

アニメの分野では,コンピュータや3D‒CGの導入に伴う制作工程の変化に際し,従来からの技術をディジタル技術に発展的に移行するために,著者のひとりである三上らがアニメーション制作会社と連携して,制作工程の詳細な調査とその体系化を行った。これらの成果は「プロフェッショナルのためのデジタルアニメマニュアル」として,業界団体を通じて,アニメーション制作会社や映像制作会社などに配布され,日本のアニメ制作を最も詳細に記した書籍として評価されている。

また,筆者らは映像作品の工学的な分析に基づく「シナリオの執筆・評価手法」や「キャラクターメイキング・評価手法」,「ミザンセーヌ手法(演出手法)」など,勘と経験による制作手法を体系化する研究と教育を行ってきた。これらの成果をもとに,映像コンテンツ制作にかかわる最大の業界団体である映像産業振興機構(VIPO)や画像情報教育振興協会(CG-ARTS協会)と連携して人材育成セミナーを実施し,きわめて高い評価を得ている。

さらに,この成果をもとに,文・理・芸融合の学部であったメディア学部の特徴を活かし,芸術作品ではなく,産業界における商品たるコンテンツをより早く,安全に,高品質に生み出すことを教育の柱とした。そのためには,コンテンツの制作技能の習得とディジタル映像の原理や技術の理解の双方が必要になった。そこで1年次からCGアニメやゲームなどの開発に参加できるカリキュラムを活用し,独自の教材や制作システムを開発して,制作とそれを支える技術の双方を関連付けて学べる仕組みを生み出した。これにより,単に既存のソフトを使用して映像制作をするのではなく,その仕組みや原理を理解することができるような教育内容を構築した。

工科系大学における高度コンテンツ教育は,プロフェッショナルと同じ環境を用いた制作の経験を土台に,制作技術をさらに高度化させるための開発力を身に付ける教育である。そのために「プロフェッショナルのものづくりと高度な工学教育を両立させた取り組み」を,未来のコンテンツ制作人材を生み出す優位性の高い教育カリキュラムに展開してきた。この教育成果は,「アニメやゲームなどのコンテンツ制作分野における実学的工学教育の創生と高度化」というテーマで,関東工学教育協会賞(業績賞)の受賞という高い評価を得ている。

このような先端的でユニークな教育・研究の成果をもとに,本書をつぎのように構成した。

1章ではコンテンツクリエーションと産業,コンテンツにかかわるスタッフとキャリアパス,およびクリエーションにかかわるリソースについて述べ,市場や資金,費用などのプロデュースの視点から考え方を述べる。

2章では,コンテンツの制作工程について述べる。特にディジタル化によって進化するパイプラインについて焦点を当てて述べる。さらに,プレプロダクション段階における企画,シナリオ,デザイン,ミザンセーヌ,そして,プロダクション,ポストプロダクション段階について述べる。

3章では,シナリオライティングの手法とシナリオ制作支援システムについて解説し,シナリオ制作の実際について述べる。

4章では,ストーリーやキャラクターの行動,性格設定などのリテラル資料の作成やキャラクター原案の制作などを考慮したディジタルキャラクターメイキング手法,DREAMプロセスによるキャラクターメイキング支援システムについて解説し,キャラクターメイキングの実際について述べる。

本書は,コンテンツ制作工程やシナリオ執筆の教育を行っている三上が1~3章を,コンピュータグラフィックスを応用したキャラクターメイキングの教育を行っている近藤が4章を分担執筆した。

本書をまとめるにあたって,本書の基盤となるコンテンツ工学を提唱した金子満先生,東京工科大学クリエイティブラボのスタッフの伊藤彰教氏,川島基展氏,岡本直樹氏,中村陽介氏,松島渉氏,早川大地氏,茂木龍太氏,菅野大介氏,兼松祥央氏,戀津魁氏,土田隆裕氏,下田美由紀氏にたいへんお世話になった。深く感謝する。

また,コンテンツ制作技術に関係する研究を一緒に行った東京工科大学大学院メディアサイエンス専攻の大学院生,ならびにメディア学部のコンテンツプロデューシングプロジェクトおよびコンテンツプロダクションテクノロジープロジェクトの卒業研究生に感謝する。

2014年8月
近藤邦雄
三上浩司

1.コンテンツクリエーションと産業
1.1 コンテンツクリエーションの導入 
 1.1.1 本書におけるコンテンツ 
 1.1.2 メディアコンテンツの分類と要素技術 
 1.1.3 メディアコンテンツ制作を学ぶための心構え 
1.2 コンテンツにかかわるスタッフとキャリアパス 
 1.2.1 コンテンツ制作にかかわるスタッフ 
 1.2.2 コンテンツ制作のキャリアディベロップメント 
1.3 クリエーションにかかわるリソース 
 1.3.1 メディアコンテンツ制作の構造 
 1.3.2 メディアコンテンツ産業の市場規模とトレンド 
 1.3.3 制作にかかる費用 
 1.3.4 資金調達 
演習問題 

2.プレプロダクションの全体像
2.1 進化する制作工程 
 2.1.1 コンテンツの制作工程の体系 
 2.1.2 制作工程を変化させてきたディジタル化 
 2.1.3 コンテンツクリエーションと新技術のバランス 
 2.1.4 コンテンツクリエーションのためのメディアリテラシー 
2.2 プレプロダクション 
 2.2.1 プレプロダクションの全体像 
 2.2.2 企画 
 2.2.3 シナリオ 
 2.2.4 デザイン・設定 
 2.2.5 絵コンテ 
演習問題 

3.シナリオライティング
3.1 シナリオとは 
 3.1.1 シナリオの大構造 
 3.1.2 筋立てと描写 
 3.1.3 満足感のある作品を生み出すために(シナリオの外的構造) 
 3.1.4 確かなシナリオにするために(シナリオの内的構造) 
3.2 シナリオライティング手法 
 3.2.1 Sプロット,Mプロット 
 3.2.2 Lプロット,フルプロット 
 3.2.3 フェイズプロットからシーン分けフルフェイズプロット 
 3.2.4 準備稿から完成稿まで 
3.3 シナリオ執筆支援システム 
 3.3.1 本システムにおけるシナリオ記述ワークフロー 
 3.3.2 構造化シナリオの情報管理手法 
 3.3.3 インタフェース概要 
 3.3.4 執筆用インタフェース 
 3.3.5 情報閲覧インタフェース 
3.4 シナリオの評価 
 3.4.1 シナリオ基礎情報 
 3.4.2 シナリオ総合分析・評価 
 3.4.3 シナリオ構造分析・評価 
 3.4.4 シナリオ内容分析・評価 
 3.4.5 そのほかの分析・評価 
 3.4.6 アナリスト 
3.5 シナリオ情報の可視化 
 3.5.1 配色タイムライン 
 3.5.2 シーンの登場人物情報を用いた関係性の可視化 
演習問題 

4.キャラクターメイキング
4.1 キャラクターメイキングの概要 
 4.1.1 映像コンテンツ制作産業の現状とキャラクター 
 4.1.2 キャラクターとその制作手法 
 4.1.3 キャラクターメイキングと制作プロセスの課題 
4.2 映像コンテンツ制作の産業構造とキャラクター 
 4.2.1 映像コンテンツ制作と産業構造の関係 
 4.2.2 キャラクターの定義 
 4.2.3 キャラクターの構成要素 
 4.2.4 キャラクターメイキングの職種による視点 
 4.2.5 キャラクター創作と産業や社会との関係 
4.3 DREAMプロセス 
 4.3.1 キャラクターメイキングプロセスと要素 
 4.3.2 DREAMプロセスの概要 
 4.3.3 ディベロッピング工程:リテラル資料 
 4.3.4 ディベロッピング工程:ビジュアル資料 
 4.3.5 レンダリング工程 
 4.3.6 エクスプロイティング工程 
 4.3.7 アクティベーション工程 
 4.3.8 マネージメント工程 
4.4 キャラクターメイキングテンプレートと実例 
 4.4.1 ディベロッピング工程:リテラル情報の作成 
 4.4.2 ディベロッピング工程:ビジュアル情報設定,デザイン原案制作 
 4.4.3 レンダリング工程:キャラクターの特徴化 
 4.4.4 エクスプロイティング工程 
演習問題 

5.キャラクターデザイン
5.1 キャラクターデザインの概要 
 5.1.1 キャラクターデザイン 
 5.1.2 暗黙的知識と形式知 
 5.1.3 ディジタルスクラップブック 
5.2 キャラクターの表情 
 5.2.13 D−CGキャラクターの表情表現 
 5.2.2 キャラクターの表情の分類と活用 
5.3 キャラクターの配色デザイン 
 5.3.1 キャラクターの配色シミュレーションシステム 
 5.3.2 集団キャラクターの配色シミュレーションシステム 
5.4 3D−CGパーツスクラップブックによるキャラクター形状デザイン 
 5.4.13 D−CGロボットパーツ 
 5.4.2 ロボットデザイン原案制作支援システム 
演習問題 

6.演出・ミザンセーヌ
6.1 演出・ミザンセーヌの概要 
6.2 演出のためのライティング 
 6.2.1 キャラクター演出のためのライティング 
 6.2.2 背景のためのライティング 
6.3 演出のためのカメラワーク 
演習問題 

引用・参考文献 
索引 

読者モニターレビュー【 DHMO 様 (専門分野:ビジネス:IT/学術研究: 心 理 学 )】

本書はコンテンツクリエーション(以下、CC)実践知を体系化する試みであり、工学的な分析に基づいて形式知化する研究を教科書化したものの改訂版である。
リニアコンテンツ(映像等)を素材に各論を展開する構成だが、後述する通りの特徴を備えるため、他の形式のコンテンツに携わる立場でも読み替えによって得るものがある。
基本はCC全体を概観する流れではあり、各工程を個別に深く解説したものではない。
しかし、各工程に触れる際には、目的や概念、支援するフレームワークや道具立ての紹介が行われ、深入りしすぎない程度にデータや具体事例を通じた腹落ちを企図した工夫が見て取れる。これにより、重要な考え方、ツボのようなものを理解することが容易である。
されば、CCにおけるどこかの工程をこれから学びたい立場には、その工程の導入に十分な情報が提供され、またCC全体の流れから自身の携わろうとする工程の前後で行われる事柄が具体的に想像できる。一方、既に特定の工程に携わる立場に於いても、我流の理解との差分を確かめたり、集団的かつ流れを持った営みであるCCにおける俯瞰した視座を提供する。そのため、クリエリターのキャリア段階を問わず座右の書として機能するものと考えられる。
また、本書の目的からは外れるかもしれないが、コンテンツの受け手の立場で本書を通読すると、普段目にするコンテンツの理解や楽しみが立体的になると感じ、その意味では消費者(製作者も、制作以外の場面では他者が制作したコンテンツを嗜むため、これも含む)までコンテンツのライフサイクルに関与する全ての立場で、得るものが有る良書と言える。

読者モニターレビュー【 N/M 様 (専門分野:総合情報学(情報科学))】

本書は,メディア学大系シリーズ(全19巻)の3巻目に位置する書籍の改訂版である.本巻では「コンテンツクリエーション」,つまり,各種コンテンツ制作についての記述がなされている.

第1章では,コンテンツ制作に入る前に,本書における「コンテンツとは何か?」という定義から始まり,コンテンツを制作する際に必要な専門的な職種,制作工程,制作に当たり資金調達の方法,各種コンテンツ産業の実態などについて触れられている.普段,何気に視聴しているドラマやアニメ,映画,ゲーム等が,どのような職種の方々が関わっているかということが改めて考えるきっかけにもなるだろう.また,それらの映像作品やゲームなどのエンディングの際に字幕で表示されるクレジットの職種の意味も,この章を読むことで同じく理解できるだろう.

第1章と第2章で,コンテンツクリエーションの各工程での大まかな制作に関する全体像について触れられている.その後の第3章〜第6章では,第1章と第2章で登場した制作工程をさらに詳しく取り上げた解説がなされている.

また本書は,『コンテンツクリエーションのための支援システムの説明を加えるとともに,支援システムやテンプレートを公開してコンテンツクリエーションの演習を実施しやすくした。本書をもとにした制作体験を通じて,コンテンツ制作の基礎を習得できることを狙っている』とまえがきにもある通り,2014年発行の初版の書籍(https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339027853/)から支援ツールが充実している点が挙げられる.

具体的には,一般公開されている関連資料として,第3章で使用するプログラミング言語
PHPを用いたWebアプリ「シナリオエンジン」(名前,メールアドレス,パスワードの登録が必要),第4章で使用するPowerPoint(pptx形式)の「キャラクターメイキングテンプレート」,第5章で使用するオートデスク社製の3DCG作成用のソフト「3dsMAX」で動作する「ロボットデザイン原案制作支援システム」,第6章で使用する「LightingScrapBook(HTML版)」と「回避カット設計支援システム」等が用意されている.

私自身,学生ではないのと,コンテンツクリエーション技術に関しては情報科学の分野の一部としての概論的な知識なので,これらのツールの使い方としての知識は,本書で得られたが,実際にモノを制作するというクリエイティブな面での有効的な使いこなし方は,残念ながら分からなかった.さらに,私自身,macOSユーザであるため,手元に自身が使えるWindowsマシンと該当アプリを所持していないため,exe形式のWindowsアプリ,3dsMAXファイル,「LightingScrapBook(HTML 版)」はWindows版のWebブラウザ EdgeでIE (InternetExplorer) モードでないと動作できないため,実際に試すことができていない.可能ならば,Windowsだけではなく他のOSやWebブラウザでも試せると,さらに便利になるのではないかと思われる次第である〔それらに加えて,個人的には「シナリオエンジン」のプログラムの中身(PHPプログラムのソースコード)が気になるところではあるが・・・〕.

最後に,各章末には,コンテンツクリエーションの分野についての簡単な設問,実際にコンテンツを制作するような,学んだことを演習・実習形式で身につけていくような演習問題が用意されている.

三上 浩司(ミカミ コウジ)

戀津 魁(レンツ カイ)

近藤 邦雄

近藤 邦雄(コンドウ クニオ)

1973年からコンピュータグラフィックス(CG)の研究をはじめ、1982年に「モダングラフィックス(コロナ社)」を執筆しました。半世紀近くCGの研究とCGを利用する映像コンテンツ制作に関係する研究を行ってきました。モダングラフィックスの内容は図的表現と理解を主題にしたことから従来の図学の教科書の内容とは全く異なった書籍となりました。CGそのものの研究と映像コンテンツ制作の研究成果をもとに、それらを体系的にまとめ教育を行い、その結果をもとにメディア学入門、コンテンツクリエーション、視聴覚メディアを共著で執筆しました。

茂木 龍太(モテギ リュウタ)

兼松 祥央(カネマツ ヨシヒサ)

掲載日:2023/06/30

芸術科学会誌「DiVA」54号

掲載日:2023/05/17

情報処理学会誌「情報処理」2023年6月号広告

掲載日:2023/04/03

電子情報通信学会誌2023年4月号