聴覚診断と聴覚補償

音響テクノロジーシリーズ 11

聴覚診断と聴覚補償

聴覚診断と聴覚補償の技術は,工学的な技術だけでなく医学的な知識を踏まえて成り立つ。本書では音感覚に関する生理学的測定法と補聴器や人工内耳などの聴覚補償装置を臨床的観点だけでなく音響技術の観点も含めて体系的に解説した。

ジャンル
発行年月日
2007/02/28
判型
A5 上製
ページ数
208ページ
ISBN
978-4-339-01111-1
聴覚診断と聴覚補償
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定価

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聴覚診断と聴覚補償の技術は,工学的な技術だけでなく医学的な知識を踏まえて成り立つ。本書では音感覚に関する生理学的測定法と補聴器や人工内耳などの聴覚補償装置を臨床的観点だけでなく音響技術の観点も含めて体系的に解説した。

Ⅰ部 聴覚と言語の理解
 1. 聴覚の重要性
1.1 人における聴覚の意義
1.2 耳が聞こえない,話ができないことの辛さ
1.3 聴覚を引き起こす機構
 2. 音の属性
2.1 音とは
2.2 音の物理的属性
 2.2.1 音とは
 2.2.2 音の種類
引用・参考文献
 3. 外中耳の構造と機能
3.1 はじめに
3.2 外     耳
 3.2.1 耳介の作用
 3.2.2 外耳道の作用
3.3 中耳
 3.3.1 鼓膜の振動
 3.3.2 耳小骨の振動
 3.3.3 耳小骨筋の作用
 3.3.4 中耳のインピーダンス整合作用
 3.3.5 中耳の音圧変換特性
引用・参考文献
 4. 内耳の構造と機能
4.1 内耳の概説
4.2 蝸牛の構造と機能
 4.2.1 求心性神経
 4.2.2 遠心性神経
4.3 基底膜の振動
 4.3.1 Georg von Bekesyの進行波説
 4.3.2 ドップラー効果による生体蝸牛の基底膜振動計測
 4.3.3 基底膜振動における外有毛細胞の役割
4.4 中央階(蝸牛管)の構造と蝸牛神経の興奮
4.5 前庭階と鼓室階の関係
4.6 コルチ器(特に有毛細胞)
4.7 血管条
4.8 前庭膜
4.9 ラセン神経節
4.10 蝸牛神経
 4.10.1 蝸牛神経核の周波数局在
 4.10.2 蝸牛神経線維の数量と音の認知機能
 4.10.3 音声の周波数帯域と音圧
引用・参考文献
 5. 聴覚中枢の構造と機能
5.1 蝸牛神経
 5.1.1 求心性神経線維
 5.1.2 遠心性神経線維
5.2 脳幹・大脳の聴覚中枢路の各核の概要
 5.2.1 聴神経核
 5.2.2 上オリーブ核
5.3 外側毛帯
5.4 下丘
5.5 内側膝状体
5.6 大脳皮質聴覚領(横側頭回)
引用・参考文献
 6. 大脳の言語理解機能とその部位
6.1 はじめに
6.2 言語機能を扱う領域
6.3 音声言語を習得できる年齢の上限
6.4 言語に携わる三つの機構
6.5 言語理解,発語・発話の障害(失語症)
6.6 言語の諸要素
 6.6.1 言語の諸要素と大脳の各言語野の働き
 6.6.2 大脳の各言語野の障害と言語の乱れ
 6.6.3 大脳基底核と海馬の働き
引用・参考文献
Ⅱ部 聴力検査法
 7. 聴力検査 ・ その歴史と各種検査法
7.1 はじめに
7.2 聴力検査の歴史
7.3 検査対象となる聴力
 7.3.1 気導聴力と骨導聴力
 7.3.2 語音聴力
7.4 聴力測定機器の変遷
7.5 エレクトロニクス機器(オージオメータ)の出現
7.6 音響性脳波誘発反応の応用
 8. 種々の聴力検査とそれらの意義
8.1 はじめに
8.2 自記オージオメトリー(ベケシーオージオメトリー)
8.3 語音弁別能,語音聴取閾値,語音明瞭度の特殊検査
 8.3.1 聴力検査法と検査結果,対応の現況
 8.3.2 聴力図
 8.3.3 マスキング
 8.3.4 種々の難聴と純音聴力図
 8.3.5 語音聴力検査とその意義
 8.3.6 語音聴力検査と純音聴力検査との関係
 8.3.7 特殊な聴力検査
引用・参考文献
 9. 音に対する他覚的反応による聴力検査
9.1 はじめに
 9.1.1 条件詮索反射聴力検査
 9.1.2 加算誘発反応聴力検査
9.2 音響による耳内筋反射を応用した聴力検査 (インピーダンス・オージオメトリーを含む)
 9.2.1 耳内筋反射について
 9.2.2 耳内筋反射の意義
 9.2.3 耳内筋反射収縮の神経経路
 9.2.4 耳内筋収縮による音響インピーダンス変化の聴力検査への応用 
 9.2.5 鼓膜音響インピーダンスの静的(絶対値)測定と動的(相対値)測定
 9.2.6 ティンパノメトリー
9.3 聴器の音響インピーダンス
9.4 音響インピーダンスの静的測定法
 9.4.1 Zwislocki型機械的音響ブリッジ
 9.4.2 Madsen型電気音響ブリッジ
9.5 音響インピーダンスの動的測定法
9.6 他覚的聴力検査法としての臨床的意義
9.7 連続周波数ティンパノメトリー
9.8 ピクツキ反射,眼瞼反射を指標とした聴力検査
 9.8.1 ピクツキ反射を指標とした検査
 9.8.2 眼瞼反射を指標とした検査 
 9.8.3 まとめ
引用・参考文献
 10. 聴性脳幹反応による聴力検査
10.1 はじめに
10.2 聴性脳幹反応の開発
10.3 聴性脳幹反応記録のための音刺激
10.4 聴性脳幹反応の基本波形と各波形の起源
10.5 他覚的聴力検査としての聴性脳幹反応
10.6 蝸牛や脳幹障害の判定法としての聴性脳幹反応
 10.6.1 第Ⅰ波の消失や振幅減少,潜時延長
 10.6.2 第Ⅱ波の消失や振幅縮少,潜時延長
 10.6.3 第Ⅲ波の消失や振幅縮少,潜時延長
 10.6.4 第Ⅲ波,第Ⅳ波,第Ⅴ波の異常
10.7 発生機構(ヒト)
 10.7.1 ヒトにおける聴性脳幹反応波形起源の研究の概況
 10.7.2 Ⅰ波
 10.7.3 Ⅱ波
 10.7.4 Ⅲ波
 10.7.5 Ⅳ波
 10.7.6 Ⅴ波
 10.7.7 Ⅵ,Ⅶ波
 10.7.8 slow brainstem response(SN10) 
 10.7.9 聴性脳幹反応における神経活動
 10.7.10 成育・加齢・性別による聴性脳幹反応波形変化
引用・参考文献
 11. 耳音響放射
引用・参考文献
Ⅲ部 聴覚機能の障害
 12. 乳児の言語習得過程
12.1 音声言語の使用は人間の本能
12.2 母親語・養育者語の特徴と役割
12.3 乳児の言語発達
 12.3.1 乳児の反射的な発声
 12.3.2 生後3箇月の初期喃語
 12.3.3 生後7~10箇月の基準喃語
 12.3.4 個体語から共通語へ
 12.3.5 聴覚正常な乳幼児の言語習得過程の要約
12.4 音声言語習得における年齢の壁と大脳聴覚領のニューロン結合
 13. 先天聾・高度重度難聴児の言語習得
 14. 聴覚経路の各部位の機能低下
14.1 はじめに
14.2 蝸牛の機能とその劣化
 14.2.1 蝸牛基底膜の振動
 14.2.2 蝸牛機能の劣化
14.3 脳幹での機能劣化
 14.3.1 脳幹での音声コーディング
 14.3.2 聴性脳幹反応の変化
14.4 大脳における劣化
 14.4.1 病理組織学的変化
 14.4.2 機能の劣化
14.5 高齢者難聴によるハンディキャップと対策
14.6 高齢者の聴覚機能低下のまとめ
引用・参考文献
Ⅳ部 聴覚補償
 15. 補聴器
15.1 補聴器と難聴者
 15.1.1 補聴器の選択や調整
 15.1.2 補聴器が有効な感音難聴の程度
 15.1.3 補聴器が無効な感音難聴
 15.1.4 補充現象による不快感
 15.1.5 フルデジタル補聴器の機能
 15.1.6 フルデジタル補聴器の特徴
 15.1.7 フルデジタル補聴器による不要会話音声の抑制
 15.1.8 フルデジタル補聴器の限界
15.2 高度難聴に対する補聴器の装用に対する世評
引用・参考文献
 16. 手術による聴覚補償
16.1 鼓膜切開およびチューブ挿入
16.2 鼓膜形成術
16.3 鼓室形成術
引用・参考文献
 17. 人工内耳の構造と機能,そしてその効果
17.1 はじめに
17.2 人工内耳の構成
17.3 チルドレン・センター(東京)の設立
17.4 先天聾・高度難聴乳児と人工内耳応用の実態
 17.4.1 人工内耳装用の基準について
 17.4.2 人工内耳の有効性に関する知識について
 17.4.3 人工内耳の応用における官庁規制
 17.4.4 乳幼児人工内耳装用手術後の正しい言語習得訓練の不足
 17.4.5 人工内耳の乳幼児適用に関して
17.5 人工内耳の効果
 17.5.1 人工内耳での聴き取り効果
 17.5.2 人工内耳装用乳幼児の将来
 17.5.3 人工内耳で会話が再び可能となった方々の感想
索     引

舩坂 宗太郎(フナサカ ソウタロウ)