株式会社コロナ社

バイオインフォマティクス シリーズ

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2021.11.22 更新

シリーズ刊行のことば

現在の生命科学においては,シークエンサーや質量分析器に代表される計測機器の急速な進歩により,ゲノム,トランスクリプトーム,エピゲノム,プロテオーム,インタラクトーム,メタボロームなどの多種多様・大規模な分子レベルの「情報」が蓄積しています。これらの情報は生物ビッグデータ(あるいはオミクスデータ)と呼ばれ,このようなデータからいかにして新しい生命科学の発見をしていくかが非常に重要となっています。

このような状況の中でその重要性を増しているのが,生命科学と情報科学を融合した学際分野である「バイオインフォマティクス」(生命情報科学,生物情報科学)です。バイオインフォマティクスは,DNAやタンパク質の配列などの,生物の配列情報をディジタル情報として捉え,コンピュータにより解析を行うことを目的として誕生しました。このような,生物の配列情報を解析するバイオインフォマティクスの一分野は「配列解析」と呼ばれます(これは本シリーズでも主要なテーマとなっています)。上述の計測機器の進歩とともに,バイオインフォマティクスはここ数十年で飛躍的に発展し,いまや配列解析にとどまらずに,トランスクリプトーム解析,メタボローム解析,プロテオーム解析,生物ネットワーク解析など多岐にわたってきています。また,必要な知識も,統計学,機械学習,物理学,化学,数学などの多くの分野にまたがっています。しかしながら,これらのバイオインフォマティクスの多岐にわたる分野を,教科書的・体系的に学ぶことができる成書シリーズは,国内外を見てもほとんどありません。

そこで,大学生,大学院生,技術者,研究者などに,バイオインフォマティクスの各分野を体系的に学習することを可能とするための教科書を提供することを目的として本シリーズを企画しました。これを実現するために,バイオインフォマティクス分野の最前線で活躍をしている,若手・中堅の研究者に執筆を依頼しております。執筆者の方々には,バイオインフォマティクス研究の基盤となる理論やアルゴリズムを中心に,可能な限り厳密かつ自己完結的に解説を行うようにお願いしています。そのため,本シリーズは,大学などにおけるバイオインフォマティクスの講義の教科書として活用可能であるのみならず,読者が独学する場合にも最適な書籍になっていると確信しています。

最後になりますが,本シリーズの企画の段階から辛抱強くサポートしてくださったコロナ社の皆様に御礼を申し上げます。本シリーズが,今後のバイオインフォマティクス研究さらには生命科学研究の一助となることを切に願います。

2021年9月 「バイオインフォマティクスシリーズ」監修者 浜田道昭

シリーズラインナップ

監修 浜田道昭

  • バイオインフォマティクスのための生命科学入門(福永津嵩,岩切淳一 共著)
  • 生物ネットワーク解析(竹本和広 著)
  • 生物統計(木立尚孝 著)
  • システムバイオロジー(宇田新介 著)
  • ゲノム配列情報解析(三澤計治 著)
  • エピゲノム情報解析(齋藤 裕 著)
  • トランスクリプトーム解析(尾崎 遼,松本拡高 共著)
  • RNA配列情報解析(佐藤健吾 著)
  • タンパク質の立体構造情報解析(富井健太郎 著)
  • プロテオーム情報解析(吉沢明康 著)
  • ゲノム進化解析(岩崎 渉 著)
  • ケモインフォマティクス(山西芳裕,金子弘昌 共著)
  • 生命情報科学におけるプライバシー保護(清水佳奈 著)
  • 多因子疾患のゲノムインフォマティクス(八谷剛史 著)

バイオインフォマティクスseries2

生物ネットワーク解析

生物ネットワーク解析の基礎から応用までを,具体的な事例を交えながら解説

NEW
バイオインフォマティクスシリーズ2 生物ネットワーク解析
  • 浜田 道昭 監修/ 竹本 和広 著
  • A5サイズ/222頁
  • 定価3,520円(本体3,200円+税)
書籍の特徴
  • 生物ネットワーク解析の基礎から応用までを,いくつかの具体的な事例を交えながら説明しました。
  • 高校レベルの数学知識に加えて,入門レベルの線形代数の知識で読み進められる内容となっています。
  • 生物学分野から見た場合もわかりやすくなるよう意識しました。
  • 本書で紹介する手法や解析などの一部は,統計解析ソフトウェアRとそのネットワーク解析用パッケージのigraphを用いて体験できます。(本書詳細ページの「関連資料」参照

【各章について】

  1. 1章:生物ネットワーク解析を学ぶ上での基礎事項
  2. 2章:ネットワーク解析で頻出する基本的な指標
  3. 3章:ネットワーク解析の理論の中心をなすいくつかの代表的なネットワークモデルについて説明しています。
  4. 4章~7章にかけて,代表的な生物ネットワーク解析を紹介しています。
  5. 4章:ネットワークにおける重要なノードを順位づけするために用いられる中心性解析
  6. 5章:ネットワークを制御するための重要なノードを見つけるために用いられるネットワーク可制御性解析
  7. 6章:ネットワークをクラスタリングするために用いられるコミュニティ検出
  8. 7章:オミクスデータから生物ネットワークを推定するために用いられる相関ネットワーク解析
    について紹介しました。
目次
1. 生物ネットワーク解析の基礎
1.1 なぜ生物ネットワーク解析か
 1.1.1 生物学における多様な役者たち
 1.1.2 システム的理解とネットワーク科学
1.2 ネットワーク解析の準備
 1.2.1 ネットワークの基礎
 1.2.2 ネットワークの種類
 1.2.3 行列表現
 1.2.4 経路と閉路
 1.2.5 部分ネットワーク
 1.2.6 連結性と連結成分
1.3 さまざまな生物ネットワーク
 1.3.1 遺伝子制御ネットワーク
 1.3.2 タンパク質構造ネットワーク
 1.3.3 タンパク質相互作用ネットワーク
 1.3.4 代謝ネットワーク
 1.3.5 脳ネットワーク
 1.3.6 生態系ネットワーク
 1.3.7 疾病や創薬に関連するネットワーク

2. 基本的なネットワーク指標
2.1 次数
 2.1.1 無向ネットワークの場合
 2.1.2 有向ネットワークの場合
 2.1.3 重み付きネットワークの場合
 2.1.4 次数分布
 2.1.5 スケールフリー性
2.2 次数相関
 2.2.1 同類度係数
 2.2.2 同類度係数の拡張版
2.3 クラスタ係数
 2.3.1 各ノードに対するクラスタ係数
 2.3.2 平均クラスタ係数
 2.3.3 重み付きクラスタ係数
2.4 最短経路長
 2.4.1 平均最短経路長
 2.4.2 大域効率性

3. ネットワークモデル
3.1 Erdös-Rényiのランダムネットワークモデル
 3.1.1 Erdös-Rényiモデル
 3.1.2 次数分布
 3.1.3 平均最短経路長
 3.1.4 クラスタ係数
 3.1.5 現実のネットワークとの比較
3.2 格子ネットワーク
 3.2.1 格子ネットワークとは
 3.2.2 平均クラスタ係数
 3.2.3 平均最短経路長
3.3 Watts-Strogatzのスモールワールドネットワークモデル
3.4 Barabási-Albertのスケールフリーネットワークモデルとその改良版
 3.4.1 Barabási-Albertモデルとそのネットワークの性質
 3.4.2 Barabási-Albertモデルの改良版
 3.4.3 優先接続の検証
 3.4.4 優先接続の解釈
3.5 Chung-Luモデル
3.6 コンフィギュレーションモデル
3.7 ランダム化ネットワーク
3.8 ネットワーク指標の統計的有意性評価
 3.8.1 Z検定に基づく評価
 3.8.2 経験的p値に基づく評価
 3.8.3 比に基づく評価
 3.8.4 ランダムネットワークとの比較の妥当性

4. 中心性解析
4.1 中心性解析とは
4.2 次数中心性
4.3 固有ベクトル中心性
4.4 PageRank
4.5 近接中心性とその別形
 4.5.1 近接中心性
 4.5.2 点効率性
4.6 媒介中心性
4.7 そのほかの中心性指標
 4.7.1 カッツ中心性
 4.7.2 サブグラフ中心性
4.8 統計解析や機械学習における中心性

5. ネットワーク可制御性解析
5.1 可制御性
5.2 構造可制御性
5.3 最大マッチングに基づくドライバ・ノードの求め方
5.4 最小支配集合に基づくドライバ・ノードの求め方
5.5 ネットワーク可制御性に基づくノード分類

6. コミュニティ検出
6.1 コミュニティ検出とは
6.2 ノード間の類似度に基づくコミュニティ検出
 6.2.1 階層的クラスタリング
 6.2.2 構造的重複度に基づくクラスタリング
 6.2.3 そのほかの類似度に基づくクラスタリング
6.3 モジュラリティに基づくコミュニティ検出
 6.3.1 モジュラリティ
 6.3.2 重み付きネットワークや有向ネットワークにおけるモジュラリティ
 6.3.3 モジュラリティ最大化問題としてのコミュニティ検出
 6.3.4 ネットワーク間でのモジュラリティの比較
 6.3.5 モジュラリティ最大化に基づくコミュニティ検出の限界
 6.3.6 そのほかのコミュニティ分割指標
6.4 機能地図作成
6.5 コミュニティの重複を考慮する場合
 6.5.1 エッジ間の構造的重複度に基づく手法
 6.5.2 モジュラリティ最大化に基づく手法

7. 相関ネットワーク解析
7.1 相関ネットワーク解析とは
7.2 相関ネットワーク解析の基本
7.3 相関ネットワークの閾値化
 7.3.1 p値による閾値化
 7.3.2 相関係数による閾値化
7.4 重み付き相関ネットワーク解析
7.5 偏相関ネットワーク解析
 7.5.1 偏相関ネットワーク解析の基本
 7.5.2 偏相関と多重回帰
 7.5.3 偏相関ネットワーク解析の限界
 7.5.4 正則化付き偏相関ネットワーク解析
7.6 相対量を考える場合
 7.6.1 オミクスデータにおける相対量
 7.6.2 定数和制約による見せかけの相関
 7.6.3 対数比変換
 7.6.4 相対量データに対する相関ネットワーク解析
 7.6.5 相対量データに対する偏相関ネットワーク解析
7.7 相関ネットワークの比較
7.8 相関ネットワーク解析は「なに」を推定しているのか

引用・参考文献
索引
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著者からのメッセージ
学部生をはじめとする初学者も無理なく読めるよう平易に執筆しました。実際の生物ネットワーク解析や新規手法の開発に役立てていただければ幸いです。
キーワード
遺伝子ネットワーク,タンパク質ネットワーク,代謝化合物ネットワーク,生態系ネットワーク,脳ネットワーク,疾病ネットワーク,創薬ネットワーク,ランダムネットワーク,格子ネットワーク,スモールワールドネットワーク,スケールフリーネットワーク,ネットワーク指標,クラスタリング,中心性解析,コミュニティ検出,モジュラリティ,相関ネットワーク解析,偏相関ネットワーク解析,ネットワーク可制御性解析,統計解析,機械学習
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