再生医療のための 発生生物学

再生医療の基礎シリーズ 1

再生医療のための 発生生物学

正常な発生過程における肢や種々の器官形成と未分化な胚性幹細胞や体性幹細胞からの器官形成はどのように違うのだろうか。本書では,再生能力をもつ動物の,脳,眼,腎臓,肝臓などの再生に焦点を当てながら概説していく。

ジャンル
発行年月日
2006/04/27
判型
B5
ページ数
280ページ
ISBN
978-4-339-07251-8
再生医療のための 発生生物学
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定価

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正常な発生過程における肢や種々の器官形成と未分化な胚性幹細胞や体性幹細胞からの器官形成はどのように違うのだろうか。本書では,再生能力をもつ動物の,脳,眼,腎臓,肝臓などの再生に焦点を当てながら概説していく。

1. プラナリアの再生
1.1 プラナリアとは
1.2 プラナリアの体のつくり
1.3 プラナリアの生殖
1.4 プラナリアの分化全能性幹細胞
 1.4.1 プラナリアの幹細胞とは
 1.4.2 プラナリア幹細胞で発現する遺伝子
 1.4.3 プラナリア幹細胞はすべて同じなのか
 1.4.4 幹細胞はどこからくるのか
1.5 プラナリアの体づくりのルール
 1.5.1 前後軸
 1.5.2 背腹軸
 1.5.3 組織の分化をコントロールする因子
1.6 プラナリアの再生能力から再生を考える

2. コオロギの脚の再生メカニズム
2.1 はじめに -歴史的背景-
 2.1.1 再生実験について
 2.1.2 再生現象に関する基本的な法則
 2.1.3 再生メカニズムのモデル
2.2 コオロギの脚の発生
 2.2.1 コオロギの特徴
 2.2.2 脚の発生過程
 2.2.3 脚の発生過程における遺伝子発現
 2.2.4 RNA干渉法による解析
2.3 コオロギの脚の再生
 2.3.1 脚の再生過程
 2.3.2 脚の再生過程における遺伝子発現
 2.3.3 RNA干渉法による解析
2.4 おわりに -脊椎動物との関係-

3. 組織再構築過程としての無尾両生類の変態
3.1 はじめに
3.2 変態とはなにか
3.3 変態を誘導する物質 -甲状腺ホルモン-
3.4 変態スイッチとしてのTR -TRによる遺伝子発現の制御機構-
3.5 変態遺伝子プログラム
3.6 変態における表皮幹細胞の振る舞い
3.7 消化管の変態における上皮幹細胞の振る舞い
3.8 おわりに

4. 両生類の四肢の再生
4.1 はじめに
4.2 四肢再生過程
 4.2.1 再生の開始
 4.2.2 再生芽細胞の由来
 4.2.3 四肢の再形成
4.3 再生研究の応用
 4.3.1 アフリカツメガエルにおける再生は,高等脊椎動物の四肢再生への道筋を開く鍵
     となりうるのか
 4.3.2 そのほかの動物における再生能の検討
 4.3.3 幹細胞を用いた組織工学の発展は再生への道筋なのか
4.4 おわりに

5. 両生類の器官形成
5.1 はじめに
5.2 アニマルキャップの多分化能と試験管内での組織や器官の誘導
5.3 濃度勾配説
5.4 中胚葉誘導のメカニズム
5.5 試験管のなかで再現する幼生の形づくり
5.6 試験管のなかでの心臓形成と生体への移植実験
5.7 Activinとレチノイン酸による腎臓および膵臓の誘導
5.8 ActivinとAngiopoietinによる血管内皮細胞の誘導
5.9 おわりに

6. 脳形成と再生
6.1 はじめに
6.2 脊椎動物の脳形成
 6.2.1 神経誘導
 6.2.2 神経管形成
 6.2.3 神経管の分化
 6.2.4 中枢神経系の組織構築
6.3 脳の再生
 6.3.1 神経再生の種類
 6.3.2 脊椎動物の脳の再生
 6.3.3 脳の再生過程
 6.3.4 終脳再生と嗅神経の関係
 6.3.5 再生した脳は正常に機能するのか
 6.3.6 オタマジャクシとカエルの再生能力の差
6.4 哺乳類の脳再生の可能性

7. ニワトリの消化器官形成
7.1 はじめに
7.2 脊椎動物の消化器官
 7.2.1 消化器官の概観と構造
 7.2.2 消化器官の発生
 7.2.3 消化器官の発生と上皮・間充織相互作用
7.3 消化器官形成の分子機構
 7.3.1 消化器官発生に伴う遺伝子発現の変化
 7.3.2 消化器官形成における成長因子の機能解析
 7.3.3 前胃腺形成に対するNotch・Deltaシグナルの作用
 7.3.4 前胃上皮の形態形成と細胞分化におけるsonic hedgehogの機能
 7.3.5 前胃腺上皮細胞における特異的遺伝子発現の機構
 7.3.6 初期胚における胃と腸の領域化の分子的解析
7.4 消化器官の発生と再生医療
 7.4.1 ニワトリ胚消化器官の発生と幹細胞
 7.4.2 発生研究が再生医療に資すること

8. 脊椎動物の眼の形成と再生
8.1 眼の器官形成の概略
8.2 水晶体の発生
8.3 水晶体分化の開始機構
8.4 分化転換による水晶体分化 -下垂体と網膜から-
 8.4.1 下垂体原基からの水晶体分化
 8.4.2 網膜原基からの水晶体分化
 8.4.3 網膜色素上皮からの水晶体分化
8.5 カエルの角膜からの水晶体再生
8.6 イモリの虹彩背側からの2段階による水晶体再生
 8.6.1 水晶体再生の第1段階
 8.6.2 水晶体再生の第2段階
8.7 網膜の発生
 8.7.1 眼胞から眼杯形成へ
 8.7.2 眼胞の発生と背腹の問題
 8.7.3 網膜の層構築形成
8.8 網膜の再生
8.9 両生類における網膜の再生
 8.9.1 網膜の成長と網膜幹細胞
 8.9.2 色素上皮細胞の分化転換と網膜再生
 8.9.3 培養下での色素上皮分化転換と神経分化
8.10 トリにおける網膜の再生
 8.10.1 ニワトリ初期胚でみられる色素上皮の分化転換
 8.10.2 網膜幹細胞
8.11 魚類における網膜の成長と再生
 8.11.1 毛様体辺縁部の幹細胞と網膜内幹細胞
 8.11.2 網膜の再生
8.12 哺乳類の網膜再生
8.13 網膜再生研究の今後

9. マウス神経の発生と再生
9.1 はじめに
9.2 発生過程における神経幹細胞
9.3 グリアと神経幹細胞
 9.3.1 神経前駆細胞としてのradial glia
 9.3.2 神経前駆細胞としてのアストロサイト
9.4 培養条件下での神経幹細胞
9.5 マウスとほかの脊椎動物の神経前駆細胞の比較
 9.5.1 radial glia
 9.5.2 アストロサイト
 9.5.3 網膜神経幹細胞
9.6 マウス成体における神経新生および神経再生
9.7 神経幹細胞を用いた神経治療
9.8 おわりに

10. 腎臓形成のメカニズムと再生への挑戦
10.1 はじめに
 10.1.1 腎臓をめぐる現在の状況
 10.1.2 慢性腎疾患に対する今日の治療法
10.2 腎臓の発生
 10.2.1 腎発生の概要
 10.2.2 ZincフィンガータンパクSall 1の単離
 10.2.3 ノックアウトマウスの作製方法
 10.2.4 Sall 1は腎臓発生に必須である
 10.2.5 そのほかのSallファミリーの機能
10.3 腎臓発生の分子機構
 10.3.1 腎発生開始シグナル
 10.3.2 尿管芽の分岐
 10.3.3 間葉の上皮化
 10.3.4 糸球体形成
10.4 尿の流れが発生を制御する
10.5 腎臓は再生できるか
 10.5.1 ES細胞からの誘導
 10.5.2 骨髄幹細胞からの誘導
 10.5.3 成体腎からの腎臓前駆細胞単離
 10.5.4 胎児腎臓からの腎臓前駆細胞単離
 10.5.5 細胞工学を用いた移植可能なバイオ人工腎臓
 10.5.6 ブタからの腎臓移植
10.6 おわりに

11. 消化器領域における幹細胞分離と医療応用
11.1 はじめに
11.2 幹細胞とは
11.3 フローサイトメトリーを用いた幹細胞分離法
11.4 肝臓における幹細胞システム
11.5 肝臓における組織幹細胞の分離・同定
11.6 肝幹細胞の純化と自己複製
11.7 膵臓における組織幹細胞の分離・同定
11.8 消化器官における幹細胞システムの階層性
11.9 腸管細胞を用いたインスリン産生細胞の分化誘導
11.10 再生医学の方法論
 11.10.1 幹細胞移植
 11.10.2 内在性幹細胞・前駆細胞の分化増殖の誘導
 11.10.3 幹細胞の可塑性を利用した再生誘導
 11.10.4 胚性幹細胞の分化誘導
11.11 将来の展望
11.12 おわりに

浅島 誠(アサシマ マコト)