組織形成と拡散方程式

組織形成と拡散方程式

組織の形成過程に関する基礎事項の習得を目的とした材料科学の入門書である。特に,拡散に支配される諸現象に重点を置き,組織形成の動力学,熱力学,材料組織学の知識と基本概念について解説し,いくつかの応用例も取り上げた。

ジャンル
発行年月日
2000/05/17
判型
A5
ページ数
184ページ
ISBN
978-4-339-04349-5
組織形成と拡散方程式
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定価

2,530(本体2,300円+税)

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組織の形成過程に関する基礎事項の習得を目的とした材料科学の入門書である。特に,固体中の原子の移動,すなわち拡散に支配される諸現象に関する基礎理論に重点を置いた。
具体的には,組織形成の動力学に関する3章「組織形成の動力学と拡散」と4章「相分離後期過程の組織形成と拡散」を中心とし,これらを理解するために必要な熱力学,材料組織学の知識と基本概念を得ることを目的に,1章に「組織形成の熱力学」,2章に「拡散方程式の熱力学的基礎」を配置し,解説した。5章では応用例としてコンピュータシミュレーションを取り上げている。また,数理物理的な取扱いに関しては付録にまとめて示した。

1. 組織形成の熱力学
 1.1 相平衡
  1.1.1 平衡条件
  1.1.2 Gibbs‐Duhemの関係式
  1.1.3 Gibbsの相律
 1.2 2元合金の熱力学
  1.2.1 混合Gibbs自由エネルギー
  1.2.2 混合エントロピー
  1.2.3 混合エンタルピー
  1.2.4 正則溶体モデルによる2元合金のGibbsの自由エネルギー
 1.3 拡散現象
  1.3.1 拡散の機構
  1.3.2 巨視的拡散
  1.3.3 熱活性化過程と拡散
  1.3.4 拡散の熱力学
 1.4 相分離の熱力学
  1.4.1 核形成・成長とスピノーダル分解
  1.4.2 核形成の駆動力
 章末問題
 引用・参考文献

2. 拡散方程式の熱力学的基礎
 2.1 非平衡熱力学の基礎
  2.1.1 保存方程式
  2.1.2 エントロピー釣合い
  2.1.3 局所平衡
  2.1.4 エントロピー生成とエントロピー流
 2.2 線形熱力学
 2.3 拡散方程式の導出
 章末問題
 引用・参考文献

3. 組織形成の動力学と拡散
 3.1 古典的核形成理論とその発展
  3.1.1 液滴モデル
  3.1.2 Becker‐Doringモデル
 3.2 拡散律速成長
 3.3 連続体モデル
  3.3.1 不均一系の自由エネルギー
  3.3.2 粗視化
  3.3.3 連続体モデルによる核形成過程の取扱い
  3.3.4 Cahn‐Hilliard方程式
 3.4 クラスタダイナミックス
 3.5 核形成の一般理論
 章末問題
 引用・参考文献

4. 相分離後期課程の組織形成と拡散
 4.1 析出物の粗大化
 4.2 界面移動
 4.3 相変態の動力学
 4.4 ケーススタディ1.変態曲線の解析
 4.5 ケーススタディ2.結晶粒成長
 章末問題
 引用・参考文献

5. 組織形成のコンピュータシミュレーション
 5.1 計算材料科学概観
 5.2 モンテカルロ法による組織形成過程予測の基礎
  5.2.1 モンテカルロ法の基礎
  5.2.2 モンテカルロ法のマスター方程式とCahn‐Hilliard方程式との関係
 5.3 フェーズフィールド法
 5.4 相分離のコンピュータシミュレーション
  5.4.1 モンテカルロ法によるシミュレーション
  5.4.2 Cahn‐Hilliard方程式による相分離挙動の予測
 5.5 結晶粒成長のシミュレーション
  5.5.1 モンテカルロ法による結晶粒成長の予測
  5.5.2 フェーズフィールド法による結晶粒成長のシミュレーション
 章末問題
 引用・参考文献

付録A. 拡散方程式の解法
 A.1 Fourierの方法
 A.2 Fourierの方法による拡散方程式の解法
  A.2.1 形式解
  A.2.2 解の存在
  A.2.3 解の一意性
 A.3 Fourier変換
 A.4 Fourier変換法による拡散方程式の解法
  A.4.1 拡散方程式の初期値問題
  A.4.2 初期値・境界値問題
 A.5 補足
  A.5.1 両端が一定濃度に保たれた有限の長さの棒における拡散
  A.5.2 球の内部での物質拡散
  A.5.3 Boltzmann変換

付録B. Gauss積分に関するいろいろな公式
 B.1 f(x)=e-ay2 ,a>0のFourier変換
 B.2 多変数関数のGauss積分

付録C.鞍部点法

付録D.変分法

付録E.微分方程式の固有値問題

章末問題の解答
索引

齊藤 良行(サイトウ ヨシユキ)