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レビュー

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Book Review

木村俊範 北海道大学名誉教授

人間社会の発展と共に環境汚染が深刻化し、それが地球全体の問題となっていることに誰も異論を唱えないであろう。しかし、我が国の高度成長期にもあったように、環境保全対策は利益を生むものではなく、金食い虫と見なされ、後回しにされるのが今日なお発展途上国などにおいて普通だと言えよう。その克服には、初期投資やランニングコストが低く、かつ安定した機能を持続できる技術が必要とされる。
本書の著者も同様な理解に立っているようであり、現状では反応速度が遅く、不安定で再現性も高くはないという欠陥はあるが、技術の熟成によっては克服要件を具備できると思われる微生物機能を活用する環境修復技術を取り上げて紹介している。
本文1において環境汚染の現状を示した上、2においては主要な環境修復技術、取り分け3においては微生物を用いた環境修復技術のあれこれを平易に解説しており、初心者にも理解しやすい。次いで4では、著者らが実際に取り組んだ、あるいは取り組みつつある新しい環境修復技術の開発や実用化について比較的詳しく例示しており、技術資料としても参考にできるものと思われる。最終章の5においては、当該技術の課題と今後の展望などが述べられているが、著者が挙げている4つの課題の②が開発技術の実用化に不可欠な論点であろう。如何に技術の持つ性能が高いとしても、コストの妥当性がないと実用化、商業化レベルの持続性は保持できず、間もなく消えゆく運命を辿ることになる。
本書を読み終えて感ずるのは、著者が自身の活動を手前みそに述べるのではなく、技術の弱みやコストについてしっかり目配りされていて、公平性の高い内容であり、好感の持てる入門書の一つであると言えるようである。

新コロナシリーズ 63

  微生物パワーで環境汚染に挑戦する

椎葉究 東京電機大教授 博士(農学) 著

… 著者ホームページです
発行年月日:
2017/07/06
判 型:B6
ページ :144頁
ISBN:
978-4-339-07713-1
定 価: 1,296円
(本体1,200円+税5%)
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