変容する人生 - ライフコースにおける出会いと別れ -

ヒューマンサイエンスシリーズ 3

変容する人生 - ライフコースにおける出会いと別れ -

人生の途上で経験される「出会い」と「別れ」を伴う出来事を,ライフコース研究の視点から分析し,近・現代の日本社会における人間の一生の特徴とそれが社会変動によりどのように変容したか,またどのように変容するのかを論じた。

ジャンル
発行年月日
2001/04/27
判型
B6 上製
ページ数
190ページ
ISBN
978-4-339-07833-6
変容する人生 - ライフコースにおける出会いと別れ -
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人生の途上で経験される「出会い」と「別れ」を伴う出来事を,ライフコース研究の視点から分析し,近・現代の日本社会における人間の一生の特徴とそれが社会変動によりどのように変容したか,またどのように変容するのかを論じた。

1 近代日本における「人生の物語」の生成
 〔1〕 「人生の物語」とは  1
  (a) 「大きくなったらなんになる?」  1
  (b) 「物語」の意味  2
  (c) 「人生の物語」と社会  3
 〔2〕 「成功の物語」の誕生  5
  (a) 『西国立志編』――輸入された近代版「人生の物語」  5
  (b) 「立身出世」の制度化――学校制度の導入  6
  (c) 「野口英世」伝――和製「成功の物語」の聖典  8
  (d) 上京――個人化する「人生の物語」  9
  (e) 「人生の物語」の四類型  12
  (f) 社会移動の上方硬直化  13
 〔3〕 「幸福の物語」の誕生  14
  (a) 反転する「人生の物語」  14
  (b) 「諦めの文学」の登場  15
  (c) 「田舎」へのまなざし  16
  (d) 『青い鳥』――「幸福の物語」の原典  18
  (e) 『赤い鳥』――「家庭」と「子ども」へのまなざし  21

2  実家を失った世代の「実家」
 〔1〕 「実家」、奇妙な現代バージョン  26
 〔2〕 血のつながり意識――親子関係  29
 〔3〕 結婚というメディア――同盟形成から愛への移行  33
 〔4〕 家族的世帯の形成と解体  36
 〔5〕 「家」世帯集団の選別的な子どもの排出要因  39
 〔6〕 より大きな社会のプル要因  42
 〔7〕 唯一の家族、すなわち「実家」  47

3 子と出会いたい――出会いの期待と生殖補助医療の現在――
 〔1〕 「産まない女たち」?――少産化神話  49
  (a) 「少産化」ではなく「少子化」――DINKS・一人っ子の神話  50
 〔2〕 『赤ちゃんが欲しい!』――不妊と生殖補助医療  53
  (a) 「法的な親子」か「遺伝子的な親子」か  53
  (b) 「不妊」への関心の増大  55
  (c) 生殖補助医療の現在――医療科学技術によって増幅される実子をもつことへの期待  57
  (d) 実子とはなにか――「遺伝子のつながり」と「血のつながり」は別物?  64
 〔3〕 「一人は欲しい」の社会学  70

4 職業との出会い
 〔1〕 人にとって職業とは  77
 〔2〕 職業との出会い方の歴史的変遷  78
  (a) 近年の若者の離職傾向  78
  (b) 初就職の時点が曖昧  80
  (c) 安定した職業との出会いは試行錯誤の後  81
  (d) 女性にとっての「初就職」  82
  (e) 時代がつくる職業との出会い  83
 〔3〕 生活のなかでの職業との出会い  83
  (a) 初就職に伴う生活の変化  84
  (b) 職業へのコミットの仕方は多様  85
  (c) 満足度はどんどん低下  87
  (d) 関心と活動の優先度によって満足度は異なる  88
  (e) 職業との出会いはどのような変化を人にもたらすのか  90
 〔4〕 キャリアの第一歩としての初就職  91
  (a) キャリアとは  92
  (b) キャリアという視点のもつ意味  94
  (c) 人生における職業の意味の多様化  95

5 職業との別れ――定年退職をめぐるヤング・オールドの選択――
 〔1〕 定年退職はヤング・オールドへの通過儀礼  98
  (a) 定年後,新たな生活基盤を求めて――就農夫婦の場合  98
  (b) ヤング・オールドへの移行――定年退職  101
 〔2〕 ヤング・オールドをめぐる社会制度――定年退職制度と年金制度  103
  (a) 「生涯現役」か「第二の人生エンジョイ」か――定年退職制度のナゾ  103
  (b) 早期退職・退職優遇措置  104
  (c) 定年延長・雇用延長  105
  (d) 「豊かな老後」を支える退職金と年金――蜜月の終焉  107
 〔3〕 「現役神話」と「第二の人生エンジョイ神話」  110
  (a) 定年退職後のキャリアの連続性  110
  (b) 定年退職からシルバー人材へ――生涯現役神話  112
  (c) 引退者の実像――第二の人生エンジョイ  114
 〔4〕 子ども世代と親世代からのせめぎあい  115
  (a) 子どもの巣立ち――巣立たない子どもと長引く経済的援助  115
  (b) オールド・オールドの人生の終え方――親の介護の問題  116
 〔5〕 ヤング・オールドはどこへ―中年期の延長  119

6 インターネット・コミュニティにおける新しい組織形態
 〔1〕 情報化社会における出会いの構造の変化  122
  (a) インターネットがもたらした変化  122
  (b) ネット社会における出会い  124
  (c) 新しい組織化の原理  126
 〔2〕 リナックスとはなにか  129
  (a) ネット社会の生産様式  130
  (b) 知的所有権の疑義  132
 〔3〕 開発者集団たちのポトラッチ  135
  (a) リナックスを育てたもの  135
  (b) コミュニティにおける評価  137
 〔4〕 リナックス・コミュニティとの出会いと別れ  140
  (a) 開発者たちの日常  140
  (b) ゆるやかなコミットメント  142
 〔5〕 インターネット・コミュニティのゆくえ  144
  (a) リナックスはなにをもたらすのか  144

7 死生観のゆくえ――死と出会う日本社会――
 〔1〕 死の非日常化  148
  (a) 新しい死生観の要請  148
  (b) 死の偏在化  149
  (c) 死亡数の減少  149
  (d) 死のタブー化  150
  (e) 産業化と老い・病い・死の排斥  151
 〔2〕 死と出会う日本社会  152
  (a) 超高齢社会  152
  (b) 死者の急増  153
  (c) 死生観の復権  154
 〔3〕 伝統社会の死生観  155
  (a) 民俗宗教のなかの死生観  155
  (b) 祖  霊  化  156
  (c) 生と死の円環  157
 〔4〕 コスモスの崩壊  158
  (a) アノミーと生の意味喪失  158
  (b) アイデンティティの喪失  159
  (c) 伝統的な死生観の崩壊  160
  (d) 心の豊かさへの希求  161
 〔5〕 死生観のゆくえ  162
  (a) 若者の宗教意識  162
  (b) ニューエイジ運動  164
  (c) 霊性の時代  165
  (d) 霊性的知識人  166
  (e) 二十一世紀の死生観  167
 
索     引  172

早大人間総合研究センター(ソウダイニンゲンソウゴウケンキュウセンター)

大久保 孝治(オオクボ タカジ)