工学・物理のための 基礎ベクトル解析

工学・物理のための 基礎ベクトル解析

電磁気学,力学,流体力学など物理分野,さらには幅広い工学分野におけるベクトル解析の応用例,具体例を数多くあげ,ベクトルの「発散」「回転」など,応用上,重要なベクトル解析の知識・手法が自然に身につくよう工夫した。

ジャンル
発行年月日
2009/03/25
判型
A5
ページ数
222ページ
ISBN
978-4-339-06098-0
工学・物理のための 基礎ベクトル解析
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定価

3,080(本体2,800円+税)

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電磁気学,力学,流体力学など物理分野,さらには幅広い工学分野におけるベクトル解析の応用例,具体例を数多くあげ,ベクトルの「発散」「回転」など,応用上,重要なベクトル解析の知識・手法が自然に身につくよう工夫した。

ベクトル解析の知識や手法は,電磁気学,力学などの基礎物理学の分野はもちろん,幅広い工学分野において活用されている。物理系,工学系の学生にとって必須の科目である。

私の所属する慶應義塾大学理工学部物理情報工学科では,「電磁気学」が2年次必修科目になっている。その際,「電磁気学の理解が容易」になるように,最初の3週分を「基礎ベクトル解析の習得」にあてている。本書は,この基礎ベクトル解析の講義ノートをもとに,加筆修正してまとめたものである。

著者(畑山)の所属する上記学科は,応用物理をキーワードに,物性工学,制御工学,システム工学,医療工学など,幅広い分野を研究対象としている。著者(畑山)自身も,現在はプラズマ,特に核融合プラズマを専門としており,数学をその生業とはしていない。したがって,本書をまとめるにあたって,厳密な数学的理解よりは,むしろ本書で学んだ基礎知識や手法が,将来,電磁気学,力学,流体力学などの基礎科目の学習に役立つこと,さらには,大学の学部3,4年で学ぶ様々な工学分野における応用科目の学習に役立つことを最優先させた。

そのため,身近な日常生活や電磁気学,力学,流体力学など物理分野,さらには幅広い工学分野における,ベクトル解析の応用例,具体例を数多く挙げている。これをもとに,ベクトルの「発散」,「回転」など,応用上,重要なベクトル解析の知識や手法が,自然に身につくよう工夫した。物理や工学では様々な場面で「保存則」に出会う。その理解に重要と考えられる「流束の概念」,「ガウスの定理」については,具体例をいくつか挙げ,かなりのページ数を割いて丁寧に説明している。この点は,本書の特長の一つではないかと思われる。

また,著者の一人(櫻林)は,現在,高等学校の数学科教員である。本書では,高等学校の数学を前提に無理なく,ベクトル解析の基礎が学習できるように配慮した。例えば,2章では,「ベクトルの微分」を学習する前に,高等学校で学んだ普通の「微分」を復習する(冗長と思われる読者は読み飛ばしても一向に構わない)。また,「偏微分」について,まだ学習していない読者もいることに配慮し,4章では「偏微分」の概念を,最初にまとめた。5章では,同様に「重積分」を学習していない読者のために,「太陽光パネル」に入射する
エネルギーの例を用いてその概念をやさしく説明している。

以上のように,本書では読者の理解が容易であるように,いくつか工夫をしたつもりである。しかしながら,本書が真に読者に役立つためには,ある程度,理屈抜きの問題練習も不可欠であろう。九九を学んだときのことを思い出すと,私自身,必ずしも理屈を完全に理解して演算を行っていたわけでない。多くの問題を解いてみることによって,掛け算の意味をだんだんに身体で感じ,理解していったように思う。そこで,項目の区切りごとに,できる限り多くの問題を用意した。ぜひ,自分でできる限り多くの問題を解いてみることをお勧めする。また,各章末には,「まとめのQuiz」を用意した。基本知識のチェック,さらに,チェック後は基本事項のまとめとして,役立てていただければ幸いである。

最後に,本書をまとめるのにあたり,原稿に目を通していただき,内容に関して多くのご助言をいただいた慶應義塾大学の植田利久 教授,本多 敏 教授,伊藤公平 教授,石樽崇明 准教授に心から感謝を申し上げたい。著者(畑山)が担当する「電磁気学」関連の科目でティーチングアシスタントを勤めてくれた博士課程学生の星野一生 君,水野貴敏 君(現:日本原子力研究開発機構),修士課程学生の江原 毅 君(現:シャープ(株)) ,山口翔太 君(現:キヤノン(株)),藤野郁朗 君,松下大介 君,藤間光徳 君らには,問題解答作成などで協力を得た。彼らの協力に深く感謝する。

2009年1月
畑山明聖
棲林 徹

1. ベクトルに関する基本事項
1.1 ベクトルとスカラー
1.2 座標系とベクトルの成分表示
1.3 ベクトルの内積
1.4 ベクトルの外積
1.5 ベクトルの三重積
 1.5.1 スカラー三重積
 1.5.2 ベクトル三重積
まとめのQuiz

2. ベクトルの微分
2.1 微分の復習
2.2 ベクトルの微分
2.3 ベクトルの積の微分
 2.3.1 スカラーfとベクトルAとの積の微分
 2.3.2 内積の微分
 2.3.3 外積の微分
まとめのQuiz

3. 場の考え方と流束の概念
3.1 スカラー場とベクトル場
3.2 流束と流束密度
 3.2.1 太陽からのエネルギー流
 3.2.2 流体の例
 3.2.3 一般ベクトル場の場合
まとめのQuiz

4. 場の微分
4.1 偏微分
4.2 スカラー場の勾配
4.3 ベクトル演算子
4.4 ベクトル場の発散
4.5 ベクトル場の回転
4.6 勾配ベクトルの回転
4.7 回転によって定義されるベクトル場の発散
まとめのQuiz

5. ベクトルの積分
5.1 線積分
5.2 面積分
5.3 ガウスの定理
5.4 ベクトル場の循環
5.5 ストークスの定理
5.6 渦なし場と湧き口なし場
まとめのQuiz

6. 曲線座標系
6.1 直角座標系
6.2 曲線座標系
 6.2.1 円柱座標系
 6.2.2 球座標系
 6.2.3 一般曲線座標系
6.3 曲線座標系におけるベクトル微分演算
 6.3.1 曲線座標系における勾配ベクトル
 6.3.2 曲線座標系におけるベクトル場の発散
 6.3.3 曲線座標系におけるベクトル場の回転
6.4 曲線座標系におけるラプラシアン
6.5 まとめ
まとめのQuiz

7. 付録(基本事項のまとめと主な公式)
7.1 ベクトルに関する基本事項
7.2 ベクトルの微分
7.3 ベクトル場,スカラー場の微分
7.4 ベクトルの積分と主な定理
7.5 曲線座標系におけるベクトル微分演算
7.6 ベクトルの応用

参考文献
問の略解
索引

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畑山 明聖(ハタヤマ アキヨシ)

櫻林 徹(サクラバヤシ トオル)