要点がわかる ベクトル解析

要点がわかる ベクトル解析

本書は,長年の講義における学生との対話から生まれた。特に電気系学生の教科書となるべく,電気工学に関わりの深い例題,さらに「過去のQ&Aから」,「アドバイスコーナー」という項目を設け学生の理解を助けるよう工夫した。

ジャンル
発行年月日
2007/04/25
判型
A5
ページ数
184ページ
ISBN
978-4-339-06093-5
要点がわかる ベクトル解析
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定価

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本書は,長年の講義における学生との対話から生まれた。特に電気系学生の教科書となるべく,電気工学に関わりの深い例題,さらに「過去のQ&Aから」,「アドバイスコーナー」という項目を設け学生の理解を助けるよう工夫した。

ベクトル解析は,電気系技術者にとって,多くの専門科目を学ぶ上で必要不可欠な科目である。特に,電磁気学(物理学の一分野)では,ベクトル量として取り扱われる物理量が頻繁に現れる。また,勾配(傾き),発散・湧き出し,回転などの概念も頻繁に必要となる。数学と物理学との違いは,物理学においては数値や数学記号などが,すべて物理的意味を持つという点にある。したがって,数学的手法を実際の物理量や物理現象と結びつけて理解しておくことが大切である。

本書は,「良い講義は教員と学生の共同作業で生まれる」という信念に基づいて行っている講義のレジュメ(講義要録)をベースとして書きあげた自信作である。レジュメは電気系学生に対してわかりやすい講義を行うことを目的に作成したものである。技術者にとって,数学は専門分野を理解するために,あるいは,研究するために必要なツールである。必要な場面で,必要な知識を使えなければ意味がない。そこで,数学的な厳密さよりも,電気系の技術者として“使える数学”を身につけることを主眼として執筆した。このため,できるだけ電気工学にかかわりの深い例題を取り上げて説明するとともに,随所に電磁気学との関連についても記述した。また,同様の観点から,位置ベクトルに関する演習を数多くとり入れた。

本書の大きな特徴は,講義に際して実施してきた長年にわたる学生とのQ&A(Question and Answer)を通じてつかんだ,学生のウイークポイントを熟知した上で執筆していることである。つまり,学生の立場に立って執筆した本である。このことは「過去のQ&Aから」や「アドバイスコーナー」を拾い読みしていただけばわかるだろう。学生からの質問に対する回答については,できるだけわかりやすくするため,イメージをつかみやすいように解説してある。いま,本書を手にとって立ち読みをしている学生の皆さん,ぜひ「過去のQ&Aから」や「アドバイスコーナー」を読んでみていただきたい。皆さんが知りたかった内容がわかりやすく書かれているはずである。

なぜこのような本を執筆する気になったかについて,簡単に触れておきたい。筆者らは,ベクトル解析の講義を担当することになった1999年以来,受講者の立場に立ってわかりやすい講義を行うために,学生の意見や要望を積極的に取り入れるなど,種々の試みをしてきた。その一つが,学生の疑問や質問に答えるため,また,講義の聞き間違いなどによる誤解や勘違いを次回の講義で解消するために,毎回の講義終了後に実施してきた「Q&Aの質問票」である。本来ならば,授業中に質問を受け付け,その場で回答するのがよいのだが,いまどきの学生はなかなか質問をしてくれない。そこで,考案したのがこの「Q&A」である。毎回,講義終了後に「質問票」を配布・回収し,次回の講義の際に,学生の疑問・質問に対する回答集をプリントにして配布した。本書に記載した「過去のQ&Aから」や「アドバイスコーナー」は,8年間にわたって蓄積した膨大なQ&Aデータの中から選んだ『珠玉』である。これらは,教える側の押し付けではなく,教わる側の率直な疑問に対して回答した事柄であるので,ベクトル解析を初めて学ぶ初心者にとっては,同世代の先輩からのたいへん心強いプレゼントといえる。ぜひ読んでみていただきたい。

本書は電磁気学を学ぶためのベクトル解析という位置づけであるが,電磁気学の教科書として本書と同じ趣旨で著者の一人が執筆した「要点がわかる電磁気学」(コロナ社)をあげておく。

最後に,本書の出版に当って,原稿の整理,製版,校正などでお世話になった,コロナ社の編集部の皆さんに,感謝の意を表します。問題解答例のチェック,誤字脱字のチェックなどに協力してくれた,大学院生の川上歩君,長浜大作君,片桐康男君に謝意を表します。
2007年2月

丸山武男
石井 望

1. ベクトル
1.1 ベクトルの代数
1.1.1 ベクトルの基本事項
1.1.2 ベクトルの代数演算
1.2 内積と外積
1.2.1 内積
1.2.2 外積
1.3 ベクトルの三重積
1.3.1 スカラー三重積
1.3.2 ベクトル三重積
章末問題
2. ベクトル関数の微分と積分
2.1 ベクトル関数の微分
2.2 ベクトル関数の積分
章末問題
3. 勾配・発散・回転
3.1 勾配
3.2 発散
3.3 回転
章末問題
4. 線積分・面積分
4.1 空間曲線
4.2 線積分
4.2.1 スカラー場の線積分
4.2.2 ベクトル場の線積分
4.3 曲面と面積
4.4 面積分
4.4.1 スカラー場の面積分
4.4.2 ベクトル場の面積分
4.5 体積分
4.5.1 スカラー場の体積分
4.5.2 ベクトル場の体積分
章末問題
5. 積分定理
5.1 ガウスの発散定理
5.2 ストークスの定理
章末問題
付録
A.1 行列式の展開
A.2 内積と外積の物理的応用例
A.3 スカラー関数の偏微分・全微分
A.4 ベクトル関数の微分と積分のイメージ
A.5 勾配のイメージ
A.6 積分定理の数学的な証明
公式
引用・参考文献
問題解答
索引

amazonレビュー

丸山 武男(マルヤマ タケオ)

【営業部より】

電磁気学を学ぶ前に学んでおきたいベクトル解析の教科書で,多数の教育機関でご採用いただいている定評のある1冊です。学生さんたちがつまづきやすい点などをQ&Aのコーナーで実例を取り上げ,「なるほどなっとく」と疑問点が解消できるのも本書の大きな特徴で,ご好評をいただいております。

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