農産物性科学(2) - 音・電気・光特性と生化学特性 -

農産物性科学(2) - 音・電気・光特性と生化学特性 -

農産物の音響・導電率などの電気的特性,X線からテラヘルツ波までの光学的特性,味,香り,ケモメトリックスなどの生化学的特性をまとめた。農産物特有の特性と,その計測方法等を具体例を交えて述べている。

ジャンル
発行年月日
2010/10/28
判型
B5
ページ数
190ページ
ISBN
978-4-339-05230-5
農産物性科学(2) - 音・電気・光特性と生化学特性 -
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農産物の音響・導電率などの電気的特性,X線からテラヘルツ波までの光学的特性,味,香り,ケモメトリックスなどの生化学的特性をまとめた。農産物特有の特性と,その計測方法等を具体例を交えて述べている。

果物や野菜にはいつも驚かされる。子供のときにリンゴ箱から取り出したリンゴを洋服で磨くとピカピカ光り,それにかぶりついたときのカプッ,ジュワッという音,しっかり手で持っておかないと包丁がすべって入らないような,固くツルツルの新鮮なピーマン,まだ緑色が残っているのに予測をはるかに超える甘さの温室ミカン,外見は同じように見えるにもかかわらず,食したときの味に対する喜びと落胆の差が非常に大きなモモ,この30年ほどの間に多くの新しい品種が登場したナシやカンキツなど,農産物は時代とともに新鮮な驚きを与えてくれる。

「物性科学」とは,基本的には物質の性質をミクロなレベルで理解する学問といえるが,「農産物性科学」は農産物の収穫,運搬,前処理,選別,乾燥,冷蔵,貯蔵,加工,利用などにおいて,基礎的特性を統一的に理解する学問とでもいえるだろうか。

小職が知りうる限りでは,この「農産物性」の研究を日本で初めて体系的に行い,種々のデータを調査,報告したのは,1979年3月,農産物性研究グループ(代表:京都大学,山下律也教授)の「農産物性研究(第1集)農産物の物性および測定法に関する総合的研究」ではないかと思われる。当時は,まだワープロなどが普及していなかったことから全219ページの手書きの報告書であったが,小職自身,卒業論文,修士論文などの研究において,さらにその後の仕事上でも大変参考にさせていただいた。

その内容は主として1950年代後半から1970年代にかけての欧米の研究成果と当時の日本の最新データが集められたもので,基礎的であるがゆえにいまでも通用するデータも多い。その書には,当初,農業機械学会農産機械部会が立案し,1976年4月に研究グループが組織され,1978年度に採択された科学研究費で完成されたと記されている。その目次は,基礎的物理特性,圧縮・引張・せん断特性,粘弾性的特性,力学的特性,摩擦特性,光学的・音波的特性,水分と熱に関する特性,電気的特性などからなっており,本書の目次にも影響を与えている。この30年以上も前の書を体系化し,きれいな活字でいまの学生に読んでもらいたいという編者らの想いが本書の出版につながったともいえるだろう。

本書(第2巻)は第1巻の続編として,比較的新しく研究が進められた農産物の特性を取り扱っている。まず1章では,打音,減衰係数,共振周波数などの音響・振動特性について紹介している。2章では,導電率,誘電率の電気的特性について述べるとともに,マイクロ波にかかわる特性もこの章で説明した。3章では,可視領域や赤外領域だけでなく,X線からテラヘルツ領域に至るまでの光学的特性について記述している。さらに,4章では,味,香り,ケモメトリックスという,いままでの農産物性の範疇では取り上げられなかったテーマも取り扱っているので,両巻を通して是非ごー読いただきたい。

小職をはじめ編者サイドの言い訳になるが,最近の大学菓務の多様化により,時間が細切れに分割され,原稿段階での調整など,綱集のための時間が不十分なこともあった。是非,読者の皆様のご叱正をいただき,改訂版などを出す機会には,ブラッシュアップしたいと考えている。そのような多忙の日々を送られている著者のかたがたには,貴重な時間を本書の執筆に割いていただいた。編者を代表して,この場で厚くお礼申し上げる。最後に,本書の企画段階から深い理解で協力していただいたコロナ社各位に深く感謝の意を表する。

2010年8月
近藤直

1 音響・振動特性
1.1 音響・振動学 
1.1.1 振動学  
1.1.2 音響学  
1.2 音速 
1.2.1 定義と特徴  
1.2.2 超音波  
1.3 減衰係数 
1.3.1 定義と特徴  
1.3.2 計測方法とその注意点  
1.3.3 利用例  
1.4 共振周波数 
1.4.1 定義と特徴  
1.4.2 計測方法  
1.4.3 利用例  
演習問題 

2 電気的特性
2.1 電磁気学 
2.1.1 マクスウェルの方程式 
2.1.2 電荷と電界の関係  
2.1.3 磁場と電界の関係  
2.1.4 磁束の保存則  
2.1.5 電流と磁場の関係  
2.2 導電率 
2.2.1 定義と特徴  
2.2.2 計測方法  
2.2.3 利用例  
2.3 誘電率 
2.3.1 定義と特徴
2.3.2 計測方法
2.3.3 利用例
2.4 マイクロ波 
2.4.1 定義と特徴
2.4.2 計測方法  
2.4.3 利用例  
演習問題 

3 光学的特性
3.1 光学と色彩学 
3.1.1 光の基礎  
3.1.2 電磁波の種類と特徴  
3.1.3 色の表現方法  
3.2 X線
3.2.1 定義と特徴  
3.2.2 計測方法  
3.2.3 利用例  
3.3 紫外線 
3.3.1 定義と特徴  
3.3.2 計測方法(反射,蛍光)  
3.3.3 利用例  
3.3.4 遅延発光と蛍光,リン光,遅延蛍光  
3.4 可視光線 
3.4.1 定義と特徴  
3.4.2 計測方法  
3.4.3 利用例  
3.5 赤外線 
3.5.1 定義と特徴  
3.5.2 計測方法  
3.5.3 利用例  
3.6 テラヘルツ波 
3.6.1 定義と特徴  
3.6.2 計測装置および光源・検出技術
3.6.3 テラヘルツ波の応用研究例
演習問題 

4 生化学的特性
4.1 味
4.1.1 味の定義と計測の対象
4.1.2 計測方法
4.1.3 利用例  
4.2 香り 
4.2.1 香りの定義と計測の対象
4.2.2 計測方法
4.2.3 利用例
4.3 データ解析(ケモメトリックス) 
4.3.1 ケモメトリックスとは
 4.3.2 解析方法
4.3.3 利用例
演習問題 

参考文献 
演習問題解答 
索引 

林 孝洋(ハヤシ タカヒロ)

清水 浩(シミズ ヒロシ)

後藤 清和(ゴトウ キヨカズ)

掲載日:2023/10/03

電子情報通信学会誌2023年10月号

掲載日:2021/06/01

「電子情報通信学会誌」2021年6月号広告

掲載日:2021/02/03

「電子情報通信学会誌」2021年2月号広告

複雑で多様な農産物の物性を理解するための1冊です。