機械の基礎力学

機械の基礎力学

「易」から「難」へと導く丁寧な説明に定評ある著者が,力学の基礎を確実に理解できるよう工夫した教科書。話の道筋を明快にするため数学的説明を少なめに留め,必要に応じて参照できる「数学入門」を補章に加えた。

ジャンル
発行年月日
2009/10/16
判型
A5
ページ数
224ページ
ISBN
978-4-339-04602-1
機械の基礎力学
在庫あり
2営業日以内に出荷致します。

定価

3,080(本体2,800円+税)

カートに入れる

電子版を購入

購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介

「易」から「難」へと導く丁寧な説明に定評ある著者が,力学の基礎を確実に理解できるよう工夫した教科書。話の道筋を明快にするため数学的説明を少なめに留め,必要に応じて参照できる「数学入門」を補章に加えた。

機械工学における「力学」の意味は,機械に生じる力学の諸問題を力学の法則に基づいて検討し,解決策を見出す基礎を提供してくれることである。機械の運動を正確・確実・安全・快適なものとするため,力学が果たす役割は大きい。本書は,機械系工学の分野で学ぶ学生,あるいはこの分野で仕事をする若い技術者を対象に,力学の基礎を解説したものである。

本書の執筆にあたって著者は二つの目標を掲げた。一つは,とっつきにくい力学上の概念をできる限り日常の経験と結びつけ,直感的に理解されやすい形で示したいということである。もう一つは,数学に惑わされないで力学の道筋を示し,一方で,実際問題に力学を応用する際に必要とされる,数学的な扱いに慣れていただくようにしたいということである。

第二の目標とした,数学に惑わされないで力学の道筋を示すことは,著者にとって難しい,しかしやりがいのある課題であった。この課題の解決のため,本書では,本文と密接に結びついた形で補章「数学入門」を用意した。本文だけで独立して読んでいただけるが,道筋を見失わないという目標のため,本文では,数学的な説明を最小限にとどめた。このため,本文の指示を参考にして,必要に応じて「数学入門」を読んで、いただければ,応用に際して必要な数学的な扱いにも慣れていただけるものと確信している。

これまで著者は何冊かの著書を出版し,幸いにも好評をいただいた。本書で機械の力学を解説するに当たっても,著者のこれまでの執筆の方針を踏襲し,多数の例題を配しながら,易から難へゆっくり話を進めたつもりである。

本書は,著者が名古屋大学や愛知工業大学で行ってきた講義のノートを整理してでき上ったものである。講義に際して多くの受講生からいただいた質問やコメントは,本書を仕上げるにきわめて有用であった。

本書の草稿に対して多くの同僚から貴重なコメントをいただき,本書を改善するのに役立たせていただいた。お名前は申し上げないが,感謝申し上げたい。

本書を教科書として用いる場合,教員の立場からつぎのような利用法が考えられる。本文は12章からなる。各章を1回分の講義にあて,受講生のこれまでの履修状況に応じて,「数学入門」の数章を付け加えて15週の講義とする。講義をゆっくり進めたい場合は,8,9章を省略する。各章に配した問題のうちはじめの3問(数学入門では2問)は基本問題として比較的詳細な解答を付したので,演習はこれを中心に行う。なおこれ以外の問題は答のみを本書に記載し,解説はコロナ社のホームページを参照いただく形とした。

機械の力学の基礎を学び,正確・確実・安全・快適な機械の開発・設計の際に本書が少しでも役立つならば,著者のこの上ない喜びである。

2009年8月
安田仁彦

1. 緒論
1.1 機械工学と力学
1.2 運動の法則
 1.2.1 第1法則の意味
 1.2.2 第2法則の意味
 1.2.3 第3法則の意味
1.3 ベクトル
演習問題

2. 力と力のモーメント
2.1 力
 2.1.1 力
 2.1.2 力に関する平行四辺形の法則
 2.1.3 合力
2.2 力のモーメント
 2.2.1 力のモーメント
 2.2.2 モーメントベクトル
 2.2.3 モーメントの成分表示
 2.2.4 合モーメント
2.3 偶力のモーメント
 2.3.1 偶力のモーメント
 2.3.2 偶力の合モーメント
2.4 力の置き換え
演習問題

3. 重心
3.1 重心
3.2 質点系の重心
 3.2.1 質点系の重心の式
 3.2.2 質点系の重心の性質
3.3 連続体の重心
演習問題

4. つり合い
4.1 つり合い
 4.1.1 つり合いの条件
 4.1.2 つり合いの問題の解析
4.2 接触点と支持点の力
 4.2.1 接触点の力
 4.2.2 支持点の力
4.3 摩擦力
演習問題

5. 点の速度と加速度
5.1 点の位置
5.2 点の速度
5.3 点の加速度
演習問題

6. 質点の運動-既知の力が働く場合-
6.1 運動の決定
 6.1.1 運動方程式
 6.1.2 運動の決定
6.2 重力が働く質点の運動
 6.2.1 重力が働く質点の上下運動
 6.2.2 重力が働く質点の放物運動
6.3 既知の力が働く質点の運動
演習問題

7. 質点の運動-運動に依存する力が働く場合-
7.1 運動の決定
7.2 減衰力が働く質点の運動
 7.2.1 減衰力
 7.2.2 粘性減衰が働く質点の運動
7.3 復元力が働く質点の運動
 7.3.1 復元力
 7.3.2 質点の自由振動
 7.3.3 粘性減衰が働く質点の自由振動
 7.3.4 質点の強制振動
演習問題

8. 運動量と角運動量
8.1 運動量と力積
 8.1.1 運動量
 8.1.2 運動量の式
 8.1.3 力積とその応用
8.2 角運動量と角力積
 8.2.1 角運動量
 8.2.2 角運動量の式
 8.2.3 角力積とその応用
演習問題

9. 仕事とエネルギー
9.1 仕事と運動エネルギー
 9.1.1 仕事
 9.1.2 運動エネルギー
9.2 エネルギー原理
9.3 力学的エネルギー保存の法則
 9.3.1 保存力
 9.3.2 ポテンシャルエネルギー
 9.3.3 ポテンシャルエネルギーから力を導く方法
 9.3.4 力学的エネルギー保存の法則
演習問題

10. 質点系の運動
10.1 質点系の運動
10.2 重心の運動
10.3 全運動量の式
 10.3.1 全運動量の式
 10.3.2 全運動量保存の法則
10.4 衝突する質点系の運動
10.5 全角運動量の式
 10.5.1 固定点まわりの全角運動量の式
 10.5.2 重心まわりの全角運動量の式
演習問題

11. 慣性モーメント
11.1 慣性モーメント
 11.1.1 質点の慣性モーメント
 11.1.2 質点系と連続体の慣性モーメント
11.2 慣性モーメントに関する定理
11.3 各種形状の物体の慣性モーメント
演習問題

12. 剛体の運動
12.1 剛体の運動方程式
 12.1.1 剛体の自由度
 12.1.2 運動方程式
12.2 固定軸を持つ剛体
12.3 平面運動する剛体
演習問題

補章 数学入門
A1. ベクトル入門
 A1.1 ベクトル
 A1.2 ベクトルの合成と分解
 A1.3 ベクトルの成分表示
 A1.4 ベクトルの積
 演習問題
A2. 関数入門
 A2.1 関数
 A2.2 関数の級数展開
 A2.3 オイラーの公式
 演習問題
A3. 微分入門
 A3.1 変化率と微分係数
 A3.2 導関数
 A3.3 導関数の公式
 A3.4 導関数の応用
 演習問題
A4. 積分入門
 A4.1 不定積分
 A4.2 定積分
 演習問題
A5. 微分方程式入門
 A5.1 微分方程式
 A5.2 変数分離形の微分方程式
 A5.3 定数係数の線形微分方程式
 演習問題

参考文献
演習問題解答
索引

amazonレビュー

安田 仁彦(ヤスダ キミヒコ)

関連資料(一般)

関連資料一覧