分子ナノシステム - 光化コンピュータと太陽エネルギー変換への応用 -

分子ナノシステム - 光化コンピュータと太陽エネルギー変換への応用 -

分子ナノシステムは分子配列制御された自己組織化ポリマワイヤ網からなる。その構築技術と応用(3次元光回路・微細構造を導入した光化コンピュータ,集積化太陽エネルギー変換システム)について,体系化と研究構想の提案を行う。

ジャンル
発行年月日
2007/04/16
判型
A5
ページ数
190ページ
ISBN
978-4-339-00789-3
分子ナノシステム - 光化コンピュータと太陽エネルギー変換への応用 -
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定価

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分子ナノシステムは分子配列制御された自己組織化ポリマワイヤ網からなる。その構築技術と応用(3次元光回路・微細構造を導入した光化コンピュータ,集積化太陽エネルギー変換システム)について,体系化と研究構想の提案を行う。

1. IT・エネルギー分野における分子ナノシステムの役割
2. ナノテクノロジーの概要
2.1 Top Down型とBottom Up型
2.2 従来のBottom Up型ナノテクノロジー
 2.2.1 走査型トンネル顕微鏡
 2.2.2 分子線エピタキシー
 2.2.3 原子層エピタキシー/原子層堆積
 2.2.4 蒸着重合
3. 分子ナノシステム構築プロセス
3.1 単分子層形成
 3.1.1 p型・n型分子の自己配列分子層
 3.1.2 自己組織化単分子膜
3.2 ポリマワイヤネットワークの自己組織化成長
 3.2.1 分子層成長
 3.2.2 選択成長
 3.2.3 選択配向成長
 3.2.4 3次元的選択配向成長
3.3 省資源集積化
 3.3.1 選択的多段一括移植
 3.3.2 分子ナノ複製
 3.3.3 3次元マイクロ・ナノ構造形成
3.4 光分子操作
 3.4.1 フォトリフラクティブ材料における光分子操作
 3.4.2 自己組織化光波ネットワーク
4. 波動関数制御と非線形光学効果
4.1 次元効果
4.2 波動関数制御
 4.2.1 分子配列量子ドットの非線形光学効果
 4.2.2 ポリマ超格子
4.3 非線形光学導波路と量子ドットの作製
 4.3.1 ポリマ非線形光学導波路
 4.3.2 量子ドット組込みポリマ超格子
5. 光化コンピュータ・光スイッチングシステム
5.1 問題点と解決策・効果
 5.1.1 コンピュータ
 5.1.2 スイッチングシステム
5.2 3次元光化プラットフォーム
 5.2.1 S-FOLM
 5.2.2 3次元光化プラットフォームと要素技術
5.3 自己組織化3次元光配線
 5.3.1 概念と効果
 5.3.2 45°ミラーつき光導波路フィルムの作製
 5.3.3 3次元光回路の作製
5.4 ナノ光回路
 5.4.1 超小型・高速光変調器/光スイッチ
 5.4.2 光導波路プリズム偏向器型光スイッチ
 5.4.3 高屈折率コントラスト導波路リング共振器型光スイッチ
 5.4.4 フォトニック結晶導波路
5.5 ナノ集積化
 5.5.1 ナノ光回路用SORT
 5.5.2 ナノ光回路用SOLNET
5.6 分子回路
6. ウェアラブルコンピュータと光合成器・太陽電池
6.1 集積化フィルムシステム
6.2 集積化光エネルギー変換システム
 6.2.1 従来の技術
 6.2.2 集積化光エネルギー変換システムの提案
 6.2.3 自己配列分子層による増感波長領域の拡大
おわりに
付録1 固体内電子の状態密度とエネルギーバンド
付録2 非線形光学効果
付録3 電子波動関数と光の電場のアナロジー
引用・参考文献
索引

吉村 徹三(ヨシムラ テツゾウ)

【著者の吉村徹三氏(東京工科大教授)の本書紹介コメント】

本書は,著者が発明・研究してきた2つの技術,「Molecular Layer Deposition (MLD)」および「自己組織化光波網(SOLNET)」を軸に,基本概念,実証実験,応用について解説したものです。

MLDは, 1990年頃の発明で,複数種類の分子を設計通りの順序で配列させ,Tailored有機材料を成長させるプロセスです。材料物性を自由にコントロールできるという特長から,発明当時は光スイッチや色素増感太陽電池・人工合成への応用が検討されていました。ここ数年においては,これらの当初の狙いに加えて,凹凸面,トレンチ面,立体構造面にconformalな超薄膜を均一にコーティングできるという特長も生かし, LSIのCu Diffusionバリヤ,有機EL・バッテリ用の薄膜,MEMS/NEMS・nano particleのコーティングなど,各所で新規応用研究が始まり,用途が広がってきています。本書では,著者の研究に基づいて,MLDの全貌を系統的に紹介するとともに,光スイッチ,太陽エネルギー変換への応用に触れています。

SOLNETは, 1995年頃の発明で,光システムにおける最大のネックである光デバイス間の接続をセルフアライン化する夢の技術です。光システムの低コスト・小型化に向けて,SOLNETの「光はんだ」や「3次元光導波路」への適用を目指してきました。今ではトヨタ自動車をはじめ各所で研究が行なわれ,車載LANなど応用分野の広がりも見られます。本書では,著者の研究に基づいて,SOLNETの全貌を系統的に紹介するとともに,コンピュータ内部の3次元光配線,大規模光スイッチングシステムへの応用を紹介しました。さらに,フリップチップボンディングに基礎をおく従来の「実装」を排除し,半導体プロセス(フォトリソプロセス)のみで光配線を実現する省資源集積化プロセスと組み合わせた次世代製造プロセスの提案も行なっています。

今現在では,開発研究も進み「MLD/SOLNETのがん治療への応用」,「MLDによるポリマ多重量子ドット,色素ワイヤ成長」など,本書刊行後の進展をも包括して,“Thin-Film Organic Photonics: Molecular Layer Deposition and Applications”(CRC/Taylor & Francis, 2011) が刊行されました。また,エレクトロニクスへの低コスト光導入法について体系的にまとめた“Optical Electronics: Self-Organized Integration and Applications”(Pan Stanford, 2011)が今後刊行予定です。本書は,これらに対する日本語の入門書としても有用です。