電気回路ノート

電気回路ノート

電気回路理論の基本的な性質や動作を,豊富な例題を通し平易に解説。〔内容〕キルヒホッフの法則・回路素子の性質・回路方程式・回路における諸定理・基本回路の性質・ラプラス変換・正弦波定常状態の解析・状態変数ほか

ジャンル
発行年月日
1977/05/10
判型
A5 上製
ページ数
222ページ
ISBN
978-4-339-00429-8
電気回路ノート
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定価

2,640(本体2,400円+税)

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電気回路理論の基本的な性質や動作を,豊富な例題を通し平易に解説。〔内容〕キルヒホッフの法則・回路素子の性質・回路方程式・回路における諸定理・基本回路の性質・ラプラス変換・正弦波定常状態の解析・状態変数ほか

序言

本書は著者の勤務する大学の工学部2年の一般学生に,工学基礎科目として設けてある電気回路理論の内容をまとめたものである. したがって,受講する学生は将来電気工学科に進む学生だけではないので,細かい事柄や具体的な事柄にはあまり触れずに,電気回路理論における考え方や取扱い方を主にして記述した. また,本書を理解するために必要な基礎知識としては,高等学校卒業程度の微分・積分と初歩的な行列の計算だけにし,それ以上の事柄については必要に応じて解説を行っているつもりである.

著者が学生時代には,電気回路理論といえばまず交流理論がでてきて,かなり後になってから過渡現象論がでてくるのが普通であったようである. そのために過渡現象の解析に交流理論を用いるという笑うに笑えないような大失敗をするという学生も時にはあったようである. 近年回路理論の内容が大きく変わってきた. それは,電気工学の分野が変わってきただけではなくて,回路理論の概念が他の分野に直接応用されるようになったからであろう. たとえば,生体・医学関係者の聞でも《電気回路モデル》という言葉が常識のようになってきたことからみても明らかであろう. このように回路理論はいまや工学理論の根底をなしているといっても過言ではない時代になっているようである.

本書の読者が回路理論の分野に進みたいという気が起こるならばもちろんのこと,他の分野に進んだ後で回路理論を思い出して,その分野で応用してみようという気が起こるならば,著者にとってこれ以上の幸はないと思っている次第である.

本書の内容についてもう少し詳しく述べた参考書としては「回路網解析序説」(末崎著,コロナ社),電気工学専門課程寄りの参考書としては「電気回路理論」(末崎他著,コロナ社),より高度の回路理論としては「回路解析論」(斎藤著,コロナ社),また,回路理論よりも広い立場で論じたものとしては「回路網とシステム理論」(高橋他著,コロナ社〉などその他多くの参考書があるので輿味のある読者は参考にされたい.

本書の出版にあたって御激励いただいた末崎輝雄名誉教授,いろいろ御討論いただいた藤田広一教授,高橋進一助教授ならびに,大変お世話になったコロナ社各位に謝意を表する.

1977年3月
森真作

1.キルヒホッフの法則
1.1 キルヒホッフの電流則
1.2 キルヒホッフの電圧則
演習問題

2.回路素子の性質
2.1 抵抗
 2.1.1 抵抗の性質
 2.1.2 抵抗で消費する電力
2.2 電流
 2.2.1 電圧源
 2.2.2 電流源
 2.2.3 電源の変換
2.3 コンデンサ
 2.3.1 コンデンサの性質
 2.3.2 コンデンサに蓄えられるエネルギー
2.4 インダクタンス 
 2.4.1 インダクタンスの性質
 2.4.2 インダクタンスに蓄えられるエネルギー
2.5 回路素子の接続
 2.5.1 抵抗およびコンダクタンスの直列・並列接続
 2.5.2 コンデンサの直列・並列接続
 2.5.3 インダクタンスの直列・並列接続
 2.5.4 電源の直列・並列接続
演習問題

3.回路方程式
3.1 節点方程式と網路方程式
 3.1.1 節点方程式
 3.1.2 網路方程式
3.2 閉路方程式とカットセット方程式
 3.2.1 グラフ理論の基本的概念
 3.2.2 閉路方程式
 3.2.3 カットセット方程式
3.3 双対性
演習問題

4.回路における諸定理
4.1 重ねの理
4.2 テブナンの定理
4.3 相反定理
4.4 テレゲンの定理
演習問題

5.基本回路の性質
5.1 1階微分方程式で表わされる回路
 5.1.1 RC回路の性質
 5.1.2 RL回路の性質
 5.1.3 1階線形微分方程式の解法
5.2 2階微分方程式で表わされる回路
 5.2.1 RLC回路の性質
 5.2.2 電源を含むRLC回路
 5.2.3  2階線形微分方程式の解法
演習問題

6.ラプラス変換
6.1 ラプラス変換の定義
6.2 ラプラス変換の例
6.3 ラプラス変換の性質と応用
演習問題

7.正弦波定常状態の解析
7.1 インピーダンスとアドミタンス
7.2 正弦波定常状態における電力
7.3 正弦波電圧・電流の実効値
7.4 ベクトル軌跡
7.5 共振回路
演習問題

8.結合回路素子の性質
8.1 相互インダクタンス
 8.1.1 相互インダクタンスM
 8.1.2 相互インダクタンスを含む回路
8.2 従属電源
 8.2.1 従属電源の性質
 8.2.2 従属電源の種類
演習問題

9.複雑な回路の初期値
9.1 電荷と磁束の連続性
演習問題

10.回路の入出力表現
10.1 回路の入出力微分方程式
10.2 入出力微分方程式の形式的な導出法
10.3 静止状態におけるステップ応答
演習問題

11.状態変数
11.1 状態変数と状態方程式
11.2 状態微分方程式の解法
11.3 遷移行列の計算法
 11.3.1 ラプラス変換による方法
 11.3.2 ケーリー・ハミルトンの定理を用いる方法
演習問題

12.2端子対回路
12.1 2端子対回路
12.2 2端子対回路のパラメータの意味
 12.2.1 Yパラメータ
 12.2.2 Zパラメータ
 12.2.3 伝送パラメータ
12.3 2端子対回路の等価
12.4 2端子対回路の接続
 12.4.1 縦続接続
 12.4.2 並列接続
 12.4.3 直列接続
演習問題

演習問題解答
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